4.探偵:西行寺久叉②

文字数 7,601文字

「そういえば君。君の名前は、なんて言うんだ?」
「さっきも言いましたが、神沢です」
「いや違う。私が聞いているのは姓ではなく、名前の方さ」
「神沢武志です」
「なるほど、神沢武志君か。さっき支店長と話した時、支店長が君のことを、えらく褒めててね。帝陽銀行の出世頭らしいじゃないか。君はまだ二十代だろう? その歳で調査役という役職とは凄いじゃないか」
「いえ、そうでもありません。銀行員の肩書なんて、飾りみたいなものですから……」
「謙遜だねえ。一つ訊いてもいいかい? 銀行で出世できる人間と、できない人間って何が違うんだ? 神沢君の見解でいいさ。教えてほしいな」
「そうですね……。その人の能力もありますが、運が一番大きいと思います」
「運? どういうことかな?」
「どれだけ能力が高い人間でも、酷い上司に当たって、かつ周りに誰も助けてくれる人間がいなければ、そこで終わりですから」
「……ふむ。なるほどねえ」
 営業車の中で二人きりになると、西行寺は饒舌だった。面倒臭いなと思いつつ、僕はハンドルを切る。
その日の夕方。僕と西行寺は営業車で、都内へ向かっていた。僕にも仕事があり、本来なら西行寺に付き合っている時間はない。しかし支店長の命令は絶対である。仕方なく仕事は全て、部下の桜木に託してきた。
 西行寺の指示で走っているため、この車がどこに向かっているのかは僕も解らない。
助手席の西行寺が顎に手を当てる。
「なぁ神沢君。もう一つ聞いてもいいかな?」 
「はい。なんでしょう?」
「君は隠し事とか嘘を吐く事を、どう思う? またはそういう事が得意かな?」
 逡巡し、僕は答える。
「そうですね。個人的には得意ですかね。仕事柄、顧客に隠さなくてはならない事も多いですし……」
 助手席から弾んだ声が返ってくる。
「ほう、顧客に隠さなければならないこと? 具体的にはどんなことだ?」
「……例えば信用情報です。融資を審査する際に、必ず過去に自己破産などがないか、信用情報を照会します。そこで問題があれば、その時点で融資を謝絶します。ただし、その理由を我々銀行員は顧客に伝える事ができません」
「いわゆる、総合的判断により謝絶というやつだね」
「そうです。なので銀行の仕事というのは、普通よりも隠し事や秘密の多い仕事だと思いますね」
「なるほどねぇ。ちなみにさっきも言ったけど、私は隠し事が苦手でね。だから君には打ち明けておこうと思うんだ」
「何をですか?」
「決まってるだろう。私がこの支店へ調査に来た詳細だよ」
 芝居かかった調子で、西行寺は続ける。
「先週の話だ。帝陽銀行本部のお客様相談室に匿名の告発メールが届いたのさ。平たく言えば、最近首都圏で発生している強盗事件は帝陽銀行が関係していて、行員が犯罪者に情報を流している……って感じのメールさ」
 背中に氷水を掛けられた様な、そんな錯覚。さっき言葉は嘘ではなく、僕は隠し事や秘密事をするのが得意である。全身全霊で動揺を隠し、そして何も言わず、僕は話に耳を傾ける。
 西行寺は言葉を吐く。
「それがもし本当なら。そして、この事実が世間に知られたとしたら大変なことになるだろう。少なくとも金融庁からの業務改善命令は避けられないし、それ以上に凄まじい信用問題が発生する。銀行としては、何としてもそれは避けたい。……そんな訳で、この私に仕事が回ってきたのさ。その告発メールの事実関係を調査し、もしも事実なら警察よりも先に真相を暴き、事件を揉み消す。それが私の今回の仕事さ。……ああ、そこを右に入ってくれ」
 西行寺の指示で、僕はハンドルを切った。営業車を右折させたところで、僕は訊く。
「……僕はあまり探偵という仕事を知らないのですが。探偵というのは法人相手に仕事をして、事件をもみ消すとか、そういうこともやるんですか?」
「いや、普通の探偵はこんなことをやらない。というより、やれないな。法人専門の探偵をしているのは、私の知る限り日本では西行寺探偵事務所だけだな。どうだ? 格好いいだろ?」
 その問いに僕は何も答えなかった。
 話を変える。
「……ところで、どうして調査をするのに千葉支店を選んだんですか? 何か理由でも?」
「それについては単純明快さ。単に私の事務所から一番近い支店が、帝陽銀行千葉支店だったというだけの話だね。今後どうするかは、調査の進展で考えるつもりだ。……ふむ。神沢君、さっきから顔色が優れないようだが、大丈夫かい?」
 言われ、僕はルームミラーで自分の顔色を一瞥する。自分では特に顔色が悪いようには見えないが……僕は適当に話を繕う。
「すみません。実は今、急ぎの案件を抱えていまして。そちらのほうが気がかりで……」
「なるほど。忙しいところ申し訳ないね。でもその心配には及ばないさ。私の依頼主は帝陽銀行役員の浅倉常務だ。後で常務と支店長に言って、君の仕事は何とかしてもらうよ。……と、このあたりかな。適当にそこらのコインパーキングにとめてくれよ」
 目的地に到着したらしい。近くのコインパーキングに車をとめ、僕と西行寺は外に出る。
 営業車を走らせ、千葉から高速道路で正味一時間。僕達は今、東京都葛飾区新小岩にいた。
 それは繁華街から外れた、閑静な住宅街の一角だ。日中にも関わらず人通りはなく、烏だけが電信柱の上から僕達を見下ろしていた。
 周辺に車の通りもなく、車道の中央に立った西行寺が両手を広げる。
「つい先日の話、一人の老人が強盗に遭った。そして、ここがその事件現場さ。……水城鉄工所という会社を、神沢君は知っているかな?」
「……以前、僕は新小岩支店にいましたから。名前ぐらいは覚えています」
 少し調べれば分かることなので、僕は正直に答えた。
 西行寺が満足そうに頷く。
「この会社の経理をしているのは高齢の女性で、毎月月末になると帝陽銀行新小岩支店の窓口で従業員の給料を下ろしていたそうだね。それで今回、その帰りに強盗に遭って奪われたと。被害総額は一千五百万円。警察も捜査しているけど、まぁ暗礁に乗り上げている様子だね。付近に防犯カメラもないし、目撃者もいない。唯一の手がかりは犯行に使われた金属バットが路上に落ちていて、それが押収されているぐらい。現時点で警察は、通り魔の犯行と考えているみたいだ」
「警察の捜査状況が分かるんですか?」
「分かるよ。警視庁や県警の内部にツテがあるからね」
「すごいですね」
 僕がそう言うと、西行寺が鼻で笑う。
「すごいも何も。警察や弁護士、政治家などにツテがないと、こんな法人専門の探偵なんてできないさ。……話を戻そう。昨日、その被害者の女性が会話できるまで回復してね。警察の事情聴取によると、右手にバットを持った若い男に話しかけられ、突然、頭を殴られたらしい。被害者から鞄を奪った犯人は、その鞄を右手に持ち、そのまま走り去ったとの証言だ。さて、ここで神沢君に一つ問題を出そう。以上の話から、この事件の犯人像について、どんな事が解る? 思った事を教えてほしい」
 まさか、こんなところに来て、推理ごっこを始めるとは思わなかった。とは言え、西行寺を無碍にもできない。僕はその余興に少し付き合ってやることにした。
「……そうですね。その話だと、どうやら犯人は右利きの様子ですね」
「そうだね。小学生でもできる様な推理を、どうもありがとう。それ以外で、他に何かあるかな?」
「すいません。それ以外は特に思いつきませんが……」
 僕がそう答えると、西行寺は残念そうに首を左右に振る。
「君は銀行員としては優秀かもしれないけど、探偵としては三流以下だね。犯人は確かに右利きなんだろう。右利きの犯人は右手で持ったバットで被害者を殴った。ここまではいいさ。ではその後、何故犯人は被害者の鞄を右手で持ったんだ? 何故、犯人は左手で鞄を持たなかったんだろうね。何故、犯人は凶器の金属バットを落としていったんだろうね。普通に考えれば、そのまま右手でバットをもったまま、左手で鞄を持てば良い話だろう?」
 ここでようやく僕は西行寺が言わんとしている事に気づいた。そしてその理由について、僕は知っていた。
僕が沈黙していると、西行寺が人差し指をたてる。
「つまり――犯人は何かしらの理由で左手が使えなかったんだろう。例えば怪我をしていたとか――」
 一拍おいて西行寺が続ける。
「――後はそうだねぇ。そもそも犯人には左腕がなかった、という線も考えられるな」
 それはただの推測だ。
 そしてただの推理である。
 しかし、その言葉に僕は総毛立った。恐怖すら覚える。
 僕が絶句していると、西行寺が口元をゆるめた。そして肩をすくめる。
「まぁここまで考えてみたけど、高齢者の証言だからね。ましてや襲われた直後で、担当した捜査官によると、当時の記憶が混乱しているらしい。話の信憑性は割と疑問かな」
 西行寺が身を翻し、営業車の方へ戻っていく。
僕が立ち尽くしていると、西行寺が不機嫌そうな顔を僕に向けてきた。
「神沢君。何ボケっとしているのかね。千葉に帰るよ」
「えっ、もう帰るんですか?」
「事件現場だから一応は来てみたんだが、思った以上に何もないな。これ以上ここで得られるものはないだろう。神沢君、早く車を回してきたまえ」
 そう促され、僕は営業車に向かって走る。
 僕の頭の中で、これ以上ここで得られるものはないだろう、という西行寺の言葉が引っかかっていた。何も残されていない事件現場だが、西行寺には得るものがあったのだろうか。
 西行寺探偵。僕は目前のこの探偵に、底知れぬ恐怖を感じていた。
 千葉支店に戻ると、時刻は十七時を回っていた。西行寺は遅くまで仕事をするつもりはないらしく、そのまま退行。僕はようやく解放される。
 僕は仕事を進めようと机に向かうが、全く手につかない。西行寺との会話を、ひたすら頭の中で反芻していた。仕方なく、僕は気分転換を兼ねて外回りへ出る。
 担当している大口融資先へ訪問。年商五十億のIT会社であり、社長とは個人的に仲も良い。社長と面談し、僕はまだ貰っていなかった直近の決算書の提出を依頼する。
 雑談の中で、僕はふと社長に訊いてみる。
「そういえば社長。法人専門の探偵っていうのがあるらしいんですが、聞いたことあります?」
 社長が、どこか歯切れが悪そうに答える。
「あー……もしかして西行寺探偵事務所のこと?」
 ストレートに社長の口からその名が飛び出し、僕は内心で驚く。
「ご存知なんですか?」
「知ってるも何も、経営者や有力者の間では有名だよ。名うての探偵だね。何でも警察や政府上層部にパイプがあるらしくて、その探偵に依頼すれば、大抵の事件や事故は解決して、もみ消してくれるって噂だよ」
「事件や事故って、具体的にどんな話をですか?」
 社長が腕を組む。
「僕が聞いた話だと、例えば従業員の自殺を揉み消しただとか……従業員が上司を惨殺した事件をなかった事にしたとか……。後は従業員が会社の金を持って行方不明になった事件を解決した、みたいな話も聞いたことあるなぁ。何でも解決して無かった事にしてくれるって話だけど、やはりもの凄い報酬金を払わないといけないらしい。何にしても、あまり関わらない方がいいよ。……その西行寺探偵、なんて異名で呼ばれているか知ってる?」
「いいえ、そこまでは。なんて呼ばれているんですか?」
 僕がそう聞くと、社長は一段低い声色で、
「怪人シャーロック・ホームズ」
 と、その名を重々しく告げた。



 支店に戻った僕は、そのまま書類を片づけて退行。その後、尾行がないか念入りに確認した後、いつも通り船橋で佐々木と落ち合った。
 西行寺探偵事務所。怪人シャーロック・ホームズ。
 その名を言うと、佐々木は苦虫を噛み潰した様な顔になった。
「そいつはアレだぜ。一番関わっちゃいけない奴だ」
「……知っているのかい?」
「暴力団の間でも、そいつが出てきたら手を引けって言われてる探偵だよ。アングラな業界でも有名だ。そいつが介入すると、大体ロクな事にならない」
「随分と有名人みたいだね。シャーロック・ホームズって異名は、まぁ腕がいい探偵だからって理由で解るけど。どうして怪人と呼ばれているんだろう」
「なんか噂によるとそいつ、事件の度に姿形が変わるらしいんだよ」
「……すまない。意味が解らない。どういうことだい?」
 言葉の意味が分からず、僕は聞き返した。佐々木がビールを煽り、ジョッキの底をテーブルに叩きつける。
「言葉通りだよ。俺も聞いた話なんだが、ある依頼主のところには老人の姿で現れ、違う依頼主のところには少女の姿で現れる事もあるらしい。……ちなみに神沢、お前が今日一緒に都内へ行ったっつー西行寺はどんな姿だった?」
「四十代ぐらいの男だったけど……」
「壮年の男って話は初めて聞いたぜ。かっ、噂に違わぬ怪人だな。正体不明だ」
 四杯目のジョッキビールを注文しながら、佐々木が口を開く。
「で、どうすんだよ。状況があまりよろしくないな。怪人シャーロック・ホームズなんて奴が出てきたが、この話を続けるか? 正直、西行寺が退場するまで、あまり動かない方が無難だぞ」
 佐々木の意見は正しい。期日さえ無ければ、僕も計画を考え直しただろう。
南条から言われている金の期日は、後十九日。
 怪人だかシャーロック・ホームズだか知らないが、花火のためにも、僕は止まる訳にはいかない。
「いや、僕は続行したいと思う。悪いけど時間がないんだ。……逆にこのタイミングで、西行寺が来て犯行を止めると、内部犯だと認める様なものだよ」
 佐々木が楽しそうに口元を歪める。
「まー、神沢さんならそう言うと思ったよ。そういう強引さ、俺も嫌いじゃねーぜ。得体の知れない探偵だが、所詮は人間だ。最悪面倒くさくなったら始末しちまえばいい。俺が殺してもいいし、神沢さんがやってもいい」
 言いながら佐々木が、テーブルに紙包みを置いた。
 そして続ける。
「それ神沢さんに餞別で渡しとく。まー好きに使えよ」
 僕は紙包みを開ける。中には、掌サイズの黒い拳銃と、同色の黒い筒が入っていた。
 佐々木が付け加える。
「デリンジャーと、それにつけられるサイレンサーだ。銀行員でも名前ぐらいは聞いたことあんだろ? 使い方はイチイチ説明しねーから、ネットで調べろ」
 拳銃を手に持ち、僕は天井で電球色の光を放つ蛍光灯に翳した。その殺人道具が、全てを塗り潰す様な色の光を弾く。
 例え誰かを殺すことになろうとも。何人殺そうとも、僕は花火を救う。その決意に変わりはなく、今更、躊躇いなんてない。
 僕が拳銃を背広のポケットに入れると、それを眺めていた佐々木は人が悪そうに言う。
「すげー、どうでもいいんだけどさ。一つ聞いてもいいか?」
「……なんだい?」
「絶対にないとは思うが、神沢さん。アンタ人を殺したことはあるのか?」
「僕は今までは模範的な社会人だったからね。当然、直接人を殺したことはないよ」
「随分と含みのある言い方だな? 直接はないって事は、間接的にはあるのかよ?」
「そうだね。銀行に勤めてから借金の督促にいってた客に二人ぐらい自殺されてる」
 ゲラゲラと佐々木が笑う。
「そうかい。アンタも俺と同じ、ただの殺人者だったか。いやはや、くだらねー話だな」
「そうだね。ゴミみたいな話だね」
 そして僕達は、次の犯行の話に移る。
「神沢さんよぉ、それじゃ話を続けようぜ。次はどうする? 西行寺なんて探偵が出てきた以上、今まで以上に事を慎重に進めなきゃなんねぇ。何か考えはあるのか?」
「当然、考えてあるよ。次は――――侵入強盗だ」
 そう告げて、僕はポケットから一枚の紙をテーブルに出した。住所だけが十先程並べてあるリストだ。それ以外に氏名などの情報はない。
 佐々木が眉を潜める。
「これは、なんだ?」
「帝陽銀行に多額の預金があって、かつ身よりのない年寄りで、かつ頻繁にキャッシュカードで払い戻しをしている顧客の住所だよ」
「……わりーな。頭が悪いから話が見えないんだが。俺はこの情報で何をすりゃいい?」
「この住所の住居に侵入して、キャッシュカードを探し出せ。頻繁にカードを利用しているから絶対に身近にあるはずだ。そのカードを使ってATMで毎日限度額の二百万円ずつ引き出して行く」
「なるほどねぇ。十件全部上手くいけば、毎日二千万ずつ現金が手に入る計算か。……でもよ、キャッシュカードの暗証番号が分からないじゃねーか。どうすんだ?」
「分からない? おいおい佐々木、よく考えてくれ。キャッシュカードを作るとき、暗証番号を書いた伝票を預かるのは他ならぬ銀行員だよ」
 僕はテーブルの紙面を裏返した。裏には四桁の数字が羅列している。その四桁の数字が何なのか。流石に説明不要らしく、佐々木が盛大に吹き出す。
「いやはや神沢さん。アンタ本当にすごいねぇ。尊敬すんぜ。おーけー話は分かった。要するに住宅に忍び込んでキャッシュカードを奪って、それで金を下ろす。家にいるだろうババアとかジジイはどうすんだ?」
 そう問われ、僕は先ほどの言葉を、そっくりそのまま佐々木に返す。
「なぁ佐々木。一つ質問があるんだが……君は人を殺したことがあるかい?」
 何が言いたいは察してくれた様子で、佐々木は愉快そうに机を叩く。
「そりゃ俺はアンタみたいな銀行員じゃねーからな。俺はいつだって誰かを殺して生きてるよ。今までも、そしてこれからもな。でも殺しちまって問題はないのか? 金持ちの年寄りが長期の旅行へ行った、って形で他人は欺けるだろうよ。ただ家族から連絡が来たら繕いようがないぞ」
「だからさっき言ったろ。これは身よりのない年寄りのリストだって。家族から連絡が来る可能性はまずない」
「っつーかさ、神沢さん。毎度思うんだけどさ。お前そういうの、どう調べてくるんだよ」
「相続の手続きだよ。銀行は相続の手続きをするときに、遺産分割協議書を徴求する。その書類を見れば、大体、付近に身寄りがあるかどうかを察することができる」
 佐々木が呻く様な笑い声を発する。
「神沢さんは本当に凄いねぇ。正直、尊敬するわ。お世辞でも何でもねーが、俺なんかよりも、よっぽど犯罪者に向いてる」
「やめてくれ。君と一緒にしないでほしいな」
 佐々木が乾杯を求め、ビールのジョッキをつきだしてきた。僕はそれにウーロン茶の入ったコップをぶつけて応じる。
 居酒屋の個室で、氷と硝子ぶつかる小さな音が響いた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み