第23話 開き直り
文字数 1,411文字
「ふぉ────っふぉふぉふぉふぉ!」
高笑いで誤魔化す。
言うに事及んで一国の王女がとる態度ではない。
どこで手に入れたか鶏 の卵ほどもある魔石を差し出し赤い光に下顎 から不気味に照らされたイルミ・ランタサルと背後に騎士4人と侍女 ヘリヤが見えた。
「王女!? 何で2階層にいるんですか!?」
女騎士ヘルカ・ホスティラが非難めいた詰問を絞り出した。
「あなた達が心配で見に来たの」
王女は魔石を握った右腕を差し出したまま腰に左手を当て胸を張る。
「王女、だからまずいと進言いたしたのです」
彼女の耳元に騎士団長が顔を近づけ囁いたのが洞窟 のせいで丸聞こえだった。
「な────にが心配だぁ! お前、俺達を混乱させて楽しんでただろ! ゾンビ女!」
ビシッと指さす。アイリ・ライハラが右腕を振り上げ死人の様に見えるイルミ王女を指し示していた。
「だっ、誰がぁ、ゾンビ女ですかぁ!」
「いやぁ本物のゾンビに見えますよ御師匠」
王女が声を荒げた後、アイリの耳元に女暗殺者 イラ・ヤルヴァがぼそりと呟 いた。それが洞窟 のせいで王女らに丸聞こえなのを目尻を下げた女暗殺者 は知っていた。
「だいたいアイリ・ライハラ──お前は私 の事を一国1の我がまま王女だの、くるんくるん頭だのと卑下 し敬いの心を持たない────悪女め」
悪女と言われ少女はカチンときた。
「だいたいてめぇが、その石を振り回して魔物を呼び寄せたんだろうがぁ!」
赤黒い顔のイルミ王女は顔を引き攣 らせ一歩後退 さった。
王女が弁解がましい事を言いだす前に女騎士ヘルカ・ホスティラが声を裏返し尋ねた。
「ほっ、本当にですかぁ王女ぉ!?」
「あ、アイリ────なっ、何を根拠に振り回したなどと────」
動揺が真実だと気づかない王女が近衛兵副長に問い返した。
「お前が突き出した魔石に『何で』紐 が絡 げてあるんだよ!?」
アイリが顎 を突き出し指摘すると王女はたったいま気づいたとでもいうように自分の手首を曲げ石を見つめ苦笑いを浮かべた。その直後、イルミ・ランタサルは高笑いを飛ばしながら、右手を振り回し始めた。
「ふぉ────っふぉふぉふぉふぉ!」
その手を中心に赤い光がぶんぶん回る。
「お前、魔女かぁ!? 魔女だったんだな!」
「うるさい小娘! 魔物使いとお呼び!」
開き直ったイルミ王女は振り回す腕を止めるどころか勢いをつけて回転させ始めた。それを顔を強ばらせた騎士団長が止めに入った。
「まずいですよイルミ王女。またわらわらと魔物が来ます。来ますってば」
「ひぃいいいっ!」
女騎士ヘルカ・ホスティラが裏返った悲鳴を漏らし一同は洞窟 の前後に流し目を向けた。
暗がりから毛を生やした節足が出てくる。闇に横6つその下に2つ並んだ丸く赤い目が見えた。それがイルミ王女の振り回す赤い光の中に姿を見せると彼女の乗る馬車 ほどもの大きさをした胴体の手足の長い蜘蛛 だった。
躯が黒と汚い黄色の縞模様でその模様が手足まで広がっており、躯の表面に人の指ほどもある硬毛が疎 らに生えている。
「げっ!」
アイリ・ライハラが不快そうな表情で吐き捨てる様に呟 いた。
同じ大蜘蛛 がアイリらの後方からも現れイルミ王女らも挟 まれてしまった。その刹那 、少女は大声で皆 に命じた。
「皆 、壁に寄り動くな! イルミ・ランタサルが蜘蛛 の糸でダブルす巻きになるまで放っておけ!」
「ちょっ、ちょっとあんたら!」
赤い魔石を振り回すイルミ王女が洞窟 の真ん中に取り残された。
高笑いで誤魔化す。
言うに事及んで一国の王女がとる態度ではない。
どこで手に入れたか
「王女!? 何で2階層にいるんですか!?」
女騎士ヘルカ・ホスティラが非難めいた詰問を絞り出した。
「あなた達が心配で見に来たの」
王女は魔石を握った右腕を差し出したまま腰に左手を当て胸を張る。
「王女、だからまずいと進言いたしたのです」
彼女の耳元に騎士団長が顔を近づけ囁いたのが
「な────にが心配だぁ! お前、俺達を混乱させて楽しんでただろ! ゾンビ女!」
ビシッと指さす。アイリ・ライハラが右腕を振り上げ死人の様に見えるイルミ王女を指し示していた。
「だっ、誰がぁ、ゾンビ女ですかぁ!」
「いやぁ本物のゾンビに見えますよ御師匠」
王女が声を荒げた後、アイリの耳元に女
「だいたいアイリ・ライハラ──お前は
悪女と言われ少女はカチンときた。
「だいたいてめぇが、その石を振り回して魔物を呼び寄せたんだろうがぁ!」
赤黒い顔のイルミ王女は顔を引き
王女が弁解がましい事を言いだす前に女騎士ヘルカ・ホスティラが声を裏返し尋ねた。
「ほっ、本当にですかぁ王女ぉ!?」
「あ、アイリ────なっ、何を根拠に振り回したなどと────」
動揺が真実だと気づかない王女が近衛兵副長に問い返した。
「お前が突き出した魔石に『何で』
アイリが
「ふぉ────っふぉふぉふぉふぉ!」
その手を中心に赤い光がぶんぶん回る。
「お前、魔女かぁ!? 魔女だったんだな!」
「うるさい小娘! 魔物使いとお呼び!」
開き直ったイルミ王女は振り回す腕を止めるどころか勢いをつけて回転させ始めた。それを顔を強ばらせた騎士団長が止めに入った。
「まずいですよイルミ王女。またわらわらと魔物が来ます。来ますってば」
「ひぃいいいっ!」
女騎士ヘルカ・ホスティラが裏返った悲鳴を漏らし一同は
暗がりから毛を生やした節足が出てくる。闇に横6つその下に2つ並んだ丸く赤い目が見えた。それがイルミ王女の振り回す赤い光の中に姿を見せると彼女の乗る
躯が黒と汚い黄色の縞模様でその模様が手足まで広がっており、躯の表面に人の指ほどもある硬毛が
「げっ!」
アイリ・ライハラが不快そうな表情で吐き捨てる様に
同じ
「
「ちょっ、ちょっとあんたら!」
赤い魔石を振り回すイルミ王女が