病院(特別室)
文字数 377文字
厳つい先客がいるが、幸い霊は見えてないようだ。
「すいぶん、元気なやつだ。30、いや40歳近いだろうか。テレビは見る、菓子は食べる。本当に病人か?」
特別室には格子のない大きな窓がいくつかある。ベランダもある。飛び降りることは可能だ。ベッドの横の窓からなら突き落とすのも楽だろう。落ちたという場所とも一致する。部屋の中は見覚えがある気もするが、手術中に自分の姿を外から見ていたという体験談もよく聞く。
「ここにいるのも、飽きたよ。早く出してくれよ。」
奥の部屋から声が聞こえる。もう一人いるのか。
「坊ちゃん、選挙間近の大事な時期なんですから、あまり議員を困らせないでください。やっとここへ入れたんですから。」
部屋の男が、奥のやつに叫ぶ。
こいつら、どっかの議員の息子と、そのボディーガードといったところか。病気で入院したわけではなさそうだ。
「すいぶん、元気なやつだ。30、いや40歳近いだろうか。テレビは見る、菓子は食べる。本当に病人か?」
特別室には格子のない大きな窓がいくつかある。ベランダもある。飛び降りることは可能だ。ベッドの横の窓からなら突き落とすのも楽だろう。落ちたという場所とも一致する。部屋の中は見覚えがある気もするが、手術中に自分の姿を外から見ていたという体験談もよく聞く。
「ここにいるのも、飽きたよ。早く出してくれよ。」
奥の部屋から声が聞こえる。もう一人いるのか。
「坊ちゃん、選挙間近の大事な時期なんですから、あまり議員を困らせないでください。やっとここへ入れたんですから。」
部屋の男が、奥のやつに叫ぶ。
こいつら、どっかの議員の息子と、そのボディーガードといったところか。病気で入院したわけではなさそうだ。