三途の川

文字数 332文字

「いつまでも真相を追いかけていれば、成仏しそびれ、やがて地縛霊になってしまう。」
 半ばあきらめながら武志は三途の川の淵へとやっときた。川を渡れば、もうこちらへ自由に来ることも出来なくなる。もし、あの事故が仕組まれたものなら、将史がサイドを外した後、動き始めた車を降りても車は勝手に川に落ちるだろう。
「なぜ、おれを助ける必要がある。証言させるためか?」
 運転席側から脱出したと見せかけるには、武志が運転席にいたままでは都合が悪かったはずだ。
「特に泳ぎがうまいというわけでもない兄が、わざわざ真冬の川に服を着たまま入ったのだろうか?」

「お~い、た~け~し~。」
 後ろから、武志を呼ぶ気味の悪い声が聞こえた。振り返ると、先に死んだ彼の両親が迎えに来ていた。
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登場人物紹介

武志

自分が死んだ理由を霊になって調べる

事務計算会社営業の係長補佐

主な仕事は電話番

運転は苦手でほとんどしない

酒は飲めない

将史

武志の兄

両親の死後、家業の買取屋を継ぐ

出張買取が多く、運転は得意

鈴木係長

武志の上司

気が弱く、酒好きで、おっちょこちょいのお調子者

議員の息子

親の秘書。議員を守るためなら死をもいとわない


看護師

武志を担当していた

気が弱い

保険会社の課長

取引先の武志をとても気に入って、担当に指名

武志の勤める会社社長の中学での先輩

スリの男

公園に住み着いている

武志と将史の父

一代で財を築いた

還暦

豪華客船の旅が夢

武志と将史の母

武志の友人

病院の掃除のおばちゃん

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