三途の川
文字数 332文字
「いつまでも真相を追いかけていれば、成仏しそびれ、やがて地縛霊になってしまう。」
半ばあきらめながら武志は三途の川の淵へとやっときた。川を渡れば、もうこちらへ自由に来ることも出来なくなる。もし、あの事故が仕組まれたものなら、将史がサイドを外した後、動き始めた車を降りても車は勝手に川に落ちるだろう。
「なぜ、おれを助ける必要がある。証言させるためか?」
運転席側から脱出したと見せかけるには、武志が運転席にいたままでは都合が悪かったはずだ。
「特に泳ぎがうまいというわけでもない兄が、わざわざ真冬の川に服を着たまま入ったのだろうか?」
「お~い、た~け~し~。」
後ろから、武志を呼ぶ気味の悪い声が聞こえた。振り返ると、先に死んだ彼の両親が迎えに来ていた。
半ばあきらめながら武志は三途の川の淵へとやっときた。川を渡れば、もうこちらへ自由に来ることも出来なくなる。もし、あの事故が仕組まれたものなら、将史がサイドを外した後、動き始めた車を降りても車は勝手に川に落ちるだろう。
「なぜ、おれを助ける必要がある。証言させるためか?」
運転席側から脱出したと見せかけるには、武志が運転席にいたままでは都合が悪かったはずだ。
「特に泳ぎがうまいというわけでもない兄が、わざわざ真冬の川に服を着たまま入ったのだろうか?」
「お~い、た~け~し~。」
後ろから、武志を呼ぶ気味の悪い声が聞こえた。振り返ると、先に死んだ彼の両親が迎えに来ていた。