警察(取調室)
文字数 524文字
中年の刑事と若い男がテーブルを挟んで向かい合わせで座っている。隅には制服の警察官がいる。
「お前が、特別室に最後に入ったのは監視カメラでわかってるんだ。」
刑事の問いに、灰色のパーカーを着た若い男はうつむいたまま
「ですから、そのときはもう落ちてたんです。」
と、ふてくされて答えた。
「その後、屋上に行ったな。」
「はい、行きましたよ。意識不明の患者ですよ。自分が落とした思われるじゃないですか。それに部屋からの転落となれば当分部屋も使えなくなるでしょ。それだと困るんですよ。だから、スリッパを屋上に置いて細工しました。何か、罪になりますか?」
「捜査妨害。他殺だったら、殺人幇助。」
刑事は厳しい口調だった。
「お前の指紋が遺書にあったが、どうした。」
なおも、刑事が問い詰める。
「拾ったんですよ。公園のゴミ箱で。現金かと思ったら遺書だったんです。ですけど病院のどこかで落としちまって。本当ですよ。新聞については、へやのゴミ箱にあったのを机におきましたよ。それだけです。」
机の上の新聞記事によると、サイドブレーキはかかっておらず、助かった二人は助手席の窓を開け、水が十分溜まったところで、運転手席側のドアから脱出と書いてあった。
「お前が、特別室に最後に入ったのは監視カメラでわかってるんだ。」
刑事の問いに、灰色のパーカーを着た若い男はうつむいたまま
「ですから、そのときはもう落ちてたんです。」
と、ふてくされて答えた。
「その後、屋上に行ったな。」
「はい、行きましたよ。意識不明の患者ですよ。自分が落とした思われるじゃないですか。それに部屋からの転落となれば当分部屋も使えなくなるでしょ。それだと困るんですよ。だから、スリッパを屋上に置いて細工しました。何か、罪になりますか?」
「捜査妨害。他殺だったら、殺人幇助。」
刑事は厳しい口調だった。
「お前の指紋が遺書にあったが、どうした。」
なおも、刑事が問い詰める。
「拾ったんですよ。公園のゴミ箱で。現金かと思ったら遺書だったんです。ですけど病院のどこかで落としちまって。本当ですよ。新聞については、へやのゴミ箱にあったのを机におきましたよ。それだけです。」
机の上の新聞記事によると、サイドブレーキはかかっておらず、助かった二人は助手席の窓を開け、水が十分溜まったところで、運転手席側のドアから脱出と書いてあった。