火葬場
文字数 488文字
武志は死んでしまった。気が付いたのは、火葬場の釜の中だった。
「熱くない。」
あたりは火の海だったが、まったく熱さは感じなかった。武志は骨と化していく自分の姿をじっと見ていた。
釜から出されると、親族が彼の遺骨を二人一組で骨壷に入れていく。兄たちが葬儀を取り仕切っていた。
「兄ちゃん、何で死んだんだよ。」
仲の良かった甥の仁史が泣きながら骨を拾う。
「武志は、人一倍責任感が強い子だったからね。」
母方の伯母の声は震えていた。
「なんで、飛び降り自殺なんか・・・。」
伯父も肩を落としている。伯父と伯母のところは、毎年、正月になると親戚が集まっていた。
「遺書があったんだよな。」
伯父がそっと兄に尋ねる。
「警察の話では、遺書がパジャマのポケットに入っていたというんだ。」
兄の将史は周囲に聞こえないように小声でささやいた。
「ぼくは、なぜ死んだんだ?それに両親はどこだ?」
武志は自分が死んだ理由が思い出せなかった。そもそも、自殺する動機が思い当たらない。遺書を書いた覚えもない。
「葬儀場へ戻ります。」
葬儀会社の人に促され、親族は車に移動した。
「熱くない。」
あたりは火の海だったが、まったく熱さは感じなかった。武志は骨と化していく自分の姿をじっと見ていた。
釜から出されると、親族が彼の遺骨を二人一組で骨壷に入れていく。兄たちが葬儀を取り仕切っていた。
「兄ちゃん、何で死んだんだよ。」
仲の良かった甥の仁史が泣きながら骨を拾う。
「武志は、人一倍責任感が強い子だったからね。」
母方の伯母の声は震えていた。
「なんで、飛び降り自殺なんか・・・。」
伯父も肩を落としている。伯父と伯母のところは、毎年、正月になると親戚が集まっていた。
「遺書があったんだよな。」
伯父がそっと兄に尋ねる。
「警察の話では、遺書がパジャマのポケットに入っていたというんだ。」
兄の将史は周囲に聞こえないように小声でささやいた。
「ぼくは、なぜ死んだんだ?それに両親はどこだ?」
武志は自分が死んだ理由が思い出せなかった。そもそも、自殺する動機が思い当たらない。遺書を書いた覚えもない。
「葬儀場へ戻ります。」
葬儀会社の人に促され、親族は車に移動した。