警察(取調室)

文字数 412文字

「刑事さん、あの遺書は自分のためのものです。」
「正直に言え。口封じのため殺した同僚を自殺にみせかけるための遺書だろ。」
「いやだな。刑事ドラマの見すぎですよ。議員本人に問題が起これば、いつでも責任をかぶって自殺する。議員の秘書なんてものは、保険と一緒なんです。あなたたちだって辞職願を用意しているでしょ。われわれは、それが遺書なんです。万一の場合、遺書を書いている間があるかどうかわかりませんから。ですから、『今回のことはすべて自分ひとりの責任です』みたいな抽象的なことしか書いてないでしょ。」
「その遺書が何で他人の手にあるんだ。まさか、そっちまで関係してるんじゃないだろうな。」
「ですから、刑事さん、何度も言っているように掏られたんですよ。電車で財布と一緒に。」
「警部、確かに、財布の被害届は出てますね。」
「その時、なぜ、遺書の事は言わなかったんだ。」
「言う必要はないと思って。また、書き直せば済むことです。」
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登場人物紹介

武志

自分が死んだ理由を霊になって調べる

事務計算会社営業の係長補佐

主な仕事は電話番

運転は苦手でほとんどしない

酒は飲めない

将史

武志の兄

両親の死後、家業の買取屋を継ぐ

出張買取が多く、運転は得意

鈴木係長

武志の上司

気が弱く、酒好きで、おっちょこちょいのお調子者

議員の息子

親の秘書。議員を守るためなら死をもいとわない


看護師

武志を担当していた

気が弱い

保険会社の課長

取引先の武志をとても気に入って、担当に指名

武志の勤める会社社長の中学での先輩

スリの男

公園に住み着いている

武志と将史の父

一代で財を築いた

還暦

豪華客船の旅が夢

武志と将史の母

武志の友人

病院の掃除のおばちゃん

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