第27話
文字数 666文字
今回の調査中、痣だらけの若宮さんから「警察は困る」と告げられたのを思い出す。そのときボクは「明日、何時に起こしましょうか?」と、わけのわからないことを口走ってしまった。今ならその理由が少しだけわかる。ボクは若宮さんをできるだけ自由にさせたいのだ……たぶん。
ボクはどちらかといえば犬派だが、猫を崇拝している友人が『孤高で自由を重んじる猫が、私の存在を認め、側にいることを許してくれたことに感謝し、報いたい』と、言っていたのと思い出した。あの時は、宗教かどこかの国王の話をしているのかと勘違いするほど、意味がわからなかったが、今なら少しだけわかる。
人嫌いな若宮さんがボクを家に招き入れてくれた。食事をするのも面倒くさがるくせに、ボクが促すと必ず食べてくれる。人に触れられることを嫌う若宮さんが、ボクに髪を洗って欲しいと頼んでくる。若宮さんがくれる『特別』にボクは感謝し、報いたいのだ。
怪我やその他のやっかいごとは、できるだけない方がいい。それでも若宮さんの身体に何かあれば、医師であるボクがなんとかすればいいことだし、ボクに難しければ同僚に助けを求めればいい。法に反するようなことがあれば、友人の弁護士に頼もう。身体でもなく、法律でもなく、ボクの想像がおよばないほどの危険があれば、ボク自身が身代わりになればいいのだ。
ボクはこれからも若宮さんに振り回され、そしていつも通り彼女に振られることになるかもしれない。それでもボクは………………いや、いくらなんでも振り回されすぎだろ。
やっぱり、少しは大人しくしてください、若宮さん。
ボクはどちらかといえば犬派だが、猫を崇拝している友人が『孤高で自由を重んじる猫が、私の存在を認め、側にいることを許してくれたことに感謝し、報いたい』と、言っていたのと思い出した。あの時は、宗教かどこかの国王の話をしているのかと勘違いするほど、意味がわからなかったが、今なら少しだけわかる。
人嫌いな若宮さんがボクを家に招き入れてくれた。食事をするのも面倒くさがるくせに、ボクが促すと必ず食べてくれる。人に触れられることを嫌う若宮さんが、ボクに髪を洗って欲しいと頼んでくる。若宮さんがくれる『特別』にボクは感謝し、報いたいのだ。
怪我やその他のやっかいごとは、できるだけない方がいい。それでも若宮さんの身体に何かあれば、医師であるボクがなんとかすればいいことだし、ボクに難しければ同僚に助けを求めればいい。法に反するようなことがあれば、友人の弁護士に頼もう。身体でもなく、法律でもなく、ボクの想像がおよばないほどの危険があれば、ボク自身が身代わりになればいいのだ。
ボクはこれからも若宮さんに振り回され、そしていつも通り彼女に振られることになるかもしれない。それでもボクは………………いや、いくらなんでも振り回されすぎだろ。
やっぱり、少しは大人しくしてください、若宮さん。
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