第29話

文字数 252文字

 ヱイは叶うことのない恋を、業火の炎により焼き尽くした。

 和田少年は己の恋心を、未だ告げてはいない。

 若宮は二人の友人としての仲を取り持つだけで、和田少年の思いは伝えてはいない。

 だが、若宮は種を蒔いた。

「君にとって和田くんは……特別なんだね」と絶妙な間を開け、どこか含みのある言葉を友人へ投げかけていた。

 その後、高校生の二人がどうなったか若宮は知らない。

 興味がないからだ。

 蒔かれた種はやがて根を張り、枝を伸ばし、葉を茂らせ、花を咲かせ、実をつける……かもしれない。





 もちろん、世羅くんはフラれた。
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登場人物紹介

若宮カイ(41)

目明し堂を営む張本人

人嫌いで、大のめんどくさがり屋/なまめかしい雰囲気を漂わせている/いつも寝癖がついている/受けた依頼は、世羅くんを振り回してきっちり解決する、やればできる人

世羅宏(30)

若宮の助手兼、運転手、本業は医師

善良な人間(若宮談)/料理を含む、家事全般が得意/彼女が途切れない/いつも若宮に振り回されてる、ちょっとかわいそうな人

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