ああ面白い、虫の声!

文字数 10,914文字

ある日の事。一行はスコアランド南部に位置する小さな村を訪れた。


ここは虫の亜人種が住む村。甲虫類から蝶、はたまたコオロギや鈴虫と、色々な虫の触覚や羽が生えた人間たちが住んでいる。
スコアランドのみならずTS世界には魔法人間はじめ、一般の人間、亜人種、非人間の一族と様々な種族が共存しているので、虫の亜人種も特に珍しいものではなかった。彼らはむしろ、音楽大国のスコアランドでは大歓迎だ。
今回一行は『困った事がある』と言う用件で、ここの村長に呼び出されたのであった。


普段は住民たちの鳴き声が広がるこの村も、今日は静かだった。と言うか全く鳴き声がしない。
それもそのはず、いつもなら住民で溢れ返っているはずなのに、今は人っ子一人いないのだ。

代わりに向こうから聞こえて来るのは、ナイトクラブのようなやかましいビート音だった。やけに音量が大きいし、これでは近所迷惑だ。

【リズ】

村にクラブでも出来て、みんなそっちに行っちゃったのかなぁ?

【カロ】

ですが、村長さんはじめこの村の方々は、ああ言った騒音はお嫌いなはずでは…。

【Z・ジェット】

オレが聴いててもイライラするわ、この騒音。

【パト】

これじゃ静かな所が好きな人には迷惑だよ。
そうこう言っている間に、村長の家に到着した。

やはり虫らしく、草で出来た家だ。

【カロ】

ごめん下さい。
シーン…。カロがチャイムを鳴らしそう言うが、返答がない。

【リズ】

すいませーーーん!!!
次にリズが自慢の大声で呼びかける。今度は聞こえたようだ。

【??】

はいはい、今出ますよ。
入り口と思われる、草のカーテンが開いた。

中から蛍のような触覚と羽を持った老人が姿を現す。

【カロ】

こんにちは、メイン勢の者です。

【??】

…ん?何だって?

【Z・ジェット】

せやから、メイン勢のモンや!!

【??】

…おぉ、待っておりましたよ!私がここの村長でございます!

どうもこの騒音のせいで聞こえなくってね…ささっ、お入り下さい!

村長はそそくさと一行を招き入れた。




【村長】

では本題に…。

皆さん、外の騒音はお分かりですかな?

【リズ】

あのガンガン響いてくる、うるさい音?

【村長】

そうだよ、お嬢ちゃん。
あの騒音は、室内にいても若干聞こえて来る。

道理で外では普通に話しても聞こえないはずだ。

【Z・ジェット】

村にクラブでも出来たんかと思うたわ。

【村長】

とんでもない!村の者たちがああ言った騒音を嫌うのはご存知のはずです。

ここが音楽大国のスコアランドであろうと、こんな田舎村にクラブ建設なんぞ、住民たちが許すはずがありません。

【パト】

え?じゃあ、誰が…。

【村長】

誰か外部の者が無断であの建物を造って、音を出しているに決まっています。

それでこの村の者は困っているんです!

夜は眠れないし、仕事に集中は出来ないし、頭は痛くなるし…。

確かに。あんな迷惑騒音を一日中聞かされていては、誰でもおかしくなりそうだ。

【村長】

お願いです、皆さん!

騒音を鳴らしている犯人を説得して、何とか村から立ち退かせる事は出来ませんか!?

このままでは今夜開催予定のコンサートも中止になり得ない…!

涙目で訴える村長。当然、一行の答えは決まっていた。

【パト】

村長さん、泣かないで。

【リズ】

あんな騒音、あたしたちも嫌だよ!

【Z・ジェット】

そんな連中、ガツンと一喝したるで!

【カロ】

ご安心下さい、必ず立ち退かせてみせます。
一行の言葉を聞き、村長が笑顔になった。

【村長】

おぉ、やって下さいますか!

流石はメイン勢! ありがとうございます!!

と言う訳で、まずは村長に音が出ている場所を教えてもらう事に。

村長はテーブルの上に村の地図を広げ、ある地点を指差しながら話す。

【村長】

騒音が出る建物があるのは、この川の向こうにある空き地です。

ここは本来橋を渡らないといけないのですが、どうやら犯人がその橋を全て壊してしまったようで…抗議にも話し合いにも行けず困っているのです。

【リズ】

虫なら飛んで渡れないの?

【村長】

それが、対岸からは我々虫人がめっぽう弱い超音波が出ておりまして…。

至近距離では気絶して川へ落ちてしまうので、全く近寄れないのです。

【パト】

うーん…となるとまず、その音を何とかしないと…。

【Z・ジェット】

超音波やったら、電源とかあるんやろか?

【リズ】

とにかく様子だけでも見に行ってみようよ!

考えててもしょーがないし!

【カロ】

そうですね。何か手がかりが見つかるかもしれません。




村長の言った通り、教えてもらった地点にはカラフルなテントがあった。テントが建つ場所は川で隔てられている。

【リズ】

あ、あれ!
リズが指差した先には、ズタズタに壊された木製の橋があった。また、ここから見える他の橋も同様に壊されていた。
これでは向こう岸に渡れそうにない。飛び越えようとしてもテントが陸地ギリギリまで張られており、着地出来ずに跳ね返されてしまいそうだ。

泳いで、もしくは舟か何かを使って渡るにしても、川の流れが激し過ぎて難しい。

【Z・ジェット】

犯人、派手にやりよるなぁ。

【カロ】

困りましたね…。

住民さん方は騒音のせいで、みんなお家に引きこもってますし。

【パト】

何か他の方法を探し出した方が良いね。
村へ戻ろうと、一行が歩き出そうとしたその時。


ガササッ!!草陰から何かが飛び出した。

【メイン勢全員】

うわぁ~~!!
突然の出来事に、一行は驚いて尻もちをついてしまった。

【リズ】

…あれ?
よく見ると、それは人だった。

イブニングドレスを着た女性、海賊風の身なりの少年、プロレスラーのような大男。
どこかで見たような…。

【リズ】

あ~~~っ!!!!!!!!!

【ツバメ】

げ~~~っ!!!!!!!!!
そう、それは鳳凰団だった。リズとツバメがお互いに大声を上げる。

【ツバメ】

お前らはいつぞやのっ!!!

【孔雀】

何だい、またアンタたちね!!
鳳凰団はとっさに身構えた。一行もならって身構える。

【ツバメ】

いや~またファンが増えちまったなぁ~、へへへ!

【リズ】

んな訳ないでしょ!!

ってか何でここにいるのさ!!

【Z・ジェット】

なぁ…思うたんやけど、鳳凰団ってそんなすごいんか?

【孔雀】

当たり前だろ?

しづキャラワールドのみならず、存在する全次元を鳳凰団の管轄にしちゃうんだかんねっ!

【イーグル】

オレたち、お前らなんかよりも偉くなるガー。

【孔雀】

こんなちっぽけな次元もいつかは鳳凰団のものになるんだから、アンタたちもこっちへいらっしゃいな。

今ならメイン勢としての強さに免じて、アンタたちを仲間にしてあげても良いわよ。

驚かせといて謝らない上に、ワールドを『ちっぽけな次元』呼ばわり。

挙句の果てには鳳凰団へ勧誘までされ、一行が怒らない訳がなかった。

こいつら、失礼にも程がある。

【パト】

こんな失礼な人たちの仲間になるなんて、絶対嫌だ!!

【リズ】

ふざけないで!!

あたしたちはダテにワールド守ってないんだから!!

【Z・ジェット】

ちっぽけな次元やとぉ~!?

お前らなんかにTS世界やしづキャラワールドの価値が分かるかいこのドアホ!!

【カロ】

勧誘のお話はお断りします!!
ここまで散々言われた鳳凰団も、一行の怒りをそのままもらったようだ。

【ツバメ】

このヤロー共、鳳凰団に向かって!!

【孔雀】

ふんっ、まぁ~生意気だこと!

ザコガラス、思い知らせておやり!!

【イーグル】

ザコガラス、ゴー!
孔雀の命令のままに、イーグルがザコガラスを何羽か召喚した。

【ザコガラス】

ア"ァァァ!!
ザコガラスたちが一行に襲いかかって来た。

パトとリズは前回と同じく、メトロとノームを呼び出す。

【パト】

メトロさん、頼むよ!

【リズ】

ノームちゃん、お願い!

【メトロ&ノーム】

うふふ、行くわよ。
メトロとノームはみるみる、各自の姿を刀へと変化させた。刀と化した二人を、パトとリズがそれぞれ握る。
これで戦闘準備は万端だ。ジェットもカロも、同じく戦闘態勢に入った。
猛スピードで飛びかかって来るザコガラスたちをパトとリズは次々斬り倒し、ジェットは豪快に鉄拳と足技を決め、カロはかわしながらも確実に射撃魔法で狙い撃ち落として行く。




そして数分後には、ザコガラスたちは全て地面に落ちてしまっていた。

【孔雀】

あの数のザコガラスを倒しちまうなんて…!

ええい、覚えてらっしゃい!!

【ツバメ】

お前ら、やっぱりタダモンじゃねぇみてぇだなぁ!!

【イーグル】

でもテントから流れる音楽、誰にも止められないガー!

【孔雀】

そう言う事だから、とっとと諦めな~!

【ツバメ】

へへ~ん、バ~カ!!
鳳凰団はたちまちきびすを返し、逃げて行った。




【パト】

やっぱり逃げてったね。

【リズ】

犯人はあいつらだったんだ!

【Z・ジェット】

ホンマにどこ行っても、傍迷惑な連中やなぁ~。

【カロ】

自己中心的過ぎます!
とにかくまずは、この川を渡る方法を見つけなければならない。

空中と陸地がダメなら水中のみだが、この水を真っ二つにでも割らない限り、渡るのは無理だろう。
と、近くに倒れている人影を見つけた。

【パト】

あ!誰か倒れてる!
慌てて駆け寄ってみると、それは虫人族の男だった。

何だか顔色が悪い。

【男性】

うぅ…。

【カロ】

きっと、超音波をもろに受けてしまったんでしょう。

【Z・ジェット】

まぁこの距離やったらなぁ…。

【リズ】

お兄さん、大丈夫?

【パト】

とにかく音を受けないようにしないと!
そう言ってパトはヘッドフォンを取り出し、彼の耳に装着する。

【男性】

…あれ?急に体が軽くなった…。
どうやら男は気が付いたようだ。

【リズ】

気分はどう?

【パト】

良かった、持ち歩いてた“ノイズ遮断ヘッドフォン”が効いたみたい!

【男性】

あなた方が助けて下さったんですね、どうもありがとうございます!

このままだったら危うく死んでしまう所でした…。

パトが持っているこの“ノイズ遮断ヘッドフォン”は、超音波を含めたノイズのみをカット出来る、冒険者用の魔法のアイテムである。

【カロ】

どうしてこのような所に?

【男性】

実は僕、虫の種族の中でも鳴き声で超音波を発する事が出来るもんでしてね…。

あの凶悪な超音波を止めようとしてここまで来たんですが、距離が届かない上にあれをもろに受けてしまいまして…。

【Z・ジェット】

なるほどな、それで気絶してしもうたっちゅー訳か。

【男性】

はい、お恥ずかしい…。

…はっ、そうだ! テントへの潜入方法が分かったんですよ!

【パト】

え!?本当ですか!?
次の瞬間、男の口から驚くべき事実が出た。

【男性】

実はあのテントの入り口は水中にあるんです!

【Z・ジェット】

ホンマかいな!?

【男性】

はい。それもちょうど、この方角から川へまっすぐ入った所です!

【リズ】

でも、あの川って流れが速くて入れないんじゃない?

【男性】

普通はそうです、けど今は大丈夫です!

僕に任せて下さい!

男はそう言うと、ゆっくり川の方を向く。

そして背中に付いた虫の羽を開き、そのまま猛スピードでこすり合わせる。

リリリリ~~~!!鈴虫が一斉に鳴いたような、とびきりうるさい音が響き渡る。一行も思わず耳をふさぐ。

この大音量でも、超音波を止めると言う音は対岸に届かないのだから驚きだ。




と、次の瞬間、川の水に大きな変化が起こった。

【パト】

うねってる…。
そう、水が大波でも起こすかのようにうねり出したのだ。

そのままうねりにうねりを重ねて行き…。

【リズ】

わぁ!道が出来た!!
そのまま水は真っ二つに別れ、左右を水の壁で隔てる一本の道が出来上がった。
よく見ると、一本道の最奥部には上りの階段がある。どうやって作ったのかは不明だが、あれが内部への唯一の入り口なのだ。

【男性】

(さぁ、見つかる前に早く行って下さい!)
男がテレパシーで話しかけて来た。鳳凰団に見つかるのは時間の問題だ。

【カロ】

(ありがとうございます!助かりました!!)
同じくカロがテレパシーで返し、一行は耳を塞いだまま一目散に階段へ向かって走って行った。
リ…。全員が階段の向こうへ消えたのを確認した男は、羽をこすり合わせるのをやめた。

ザッパ~~~ン!!!その途端に道は一気に崩れ、元の流れの激しい川へと戻ってしまったのだった…。

【男性】

そうだ、早く村のみんなに知らせないと!
そう言いながら、男はヘッドフォンをつけたまま村へと急いだ。




【パト】

見つけたぞ、鳳凰団!!
階段を上り切った先に鳳凰団はいた。

ここは地下部にあたるらしく、土がむき出しでジメジメしている。

【ツバメ】

うげぇっ!?お前ら、どうやってここに!?

【リズ】

そんなのどうだっていいでしょ!?

【リズ】

そんなのどうだっていいでしょ!?

【孔雀】

きーっ!またアンタたちかい、しつこいねぇ!!

イーグル、さっさと入り込んだタチの悪い害虫共を駆除しな!!

【イーグル】

ザコガラス、ゴー!!
イーグルがザコガラスを数体召喚した。先程同様、ザコガラスたちが一斉に襲い掛かって来る。一行も前回同様、各自武器を召喚して戦闘態勢に入る。

相変わらず突進してくるザコガラスたちを、一行は余裕の表情で次々と倒して行った。




やはりザコガラスは量産型とだけあって弱く、あっと言う間に全て倒してしまった。

【孔雀】

覚えてらっしゃい!

お前たち、さっさとコントロールルームに戻るわよ!!

【ツバメ&イーグル】

へい、姐御!
孔雀とツバメがイーグルの両肩に飛び乗ると、イーグルは宙に浮いて逃げて行った。
どうやらイーグルには飛行能力があるようだ。そのまま天井にぽっかり空いた穴を越えて、見えなくなってしまった。

【リズ】

あっ、待て!!
後を追いかけようとする一行の前に立ちはだかるのは…長い螺旋階段。

【パト】

えっ、これ上るの!?

【リズ】

当たり前でしょ!?

でなきゃ逃げられちゃうよ!!

リズがすたこらさっさと走って階段を上り始める。

【パト】

あ、ちょっと、リズちゃ~~~ん!!
リズに続いて慌てて追いかけるパト。

ふと後ろを見ると、カロは走りにくいマーメイドドレス型の衣装と言うのもあり、ジェットに抱きかかえられていた。

【パト】

あ、カロさんずるい!!

【カロ】

ごめんなさい…この格好では上手く走れないので。
…先程は普通に走っていたので、たぶん口実だ。ずるいぞ。

【Z・ジェット】

アホ、お前男でオレよりも若いやろ!

せやったら自分で走らんかい!

【リズ】

ほらほら、みんな何してんの!?

置いてっちゃうよ~!

【パト】

…グスン。(泣)
そんなやり取りをしつつ、一行は各自階段を上って行く。
途中で待ち構えていたザコガラスたちの妨害は受けたものの、弱いのでさっさと蹴散らし、急いでコントロールルームとやらへ向かった。




【リズ】

あんたたち、もう許さないよ!
【パト】

つ、着いた…。

螺旋階段を上った先は、コントロールルームと言っていた割には何もない、がらんとした空間があった。
その空間の中で妙に浮いている一際大きいラジカセの前に、鳳凰団が待ち構えていた。
ラジカセからは絶えず大音量の音楽が流れている。そのためか、鳳凰団は耳にヘッドフォンを装着していた。

【孔雀】

ふふん、遅かったわね!!

【ツバメ】

よくもおいらたちの邪魔をしやがったなぁ!!

【イーグル】

邪魔しやがったなぁ、だガー。

【カロ】

何を言っているのですか!

住民の皆さんを困らせるのはいけない事でしょう!!

ジェットから降りたカロが、早速反論する。

【孔雀】

ふん、あれくらいで困るのがどうかしてるんじゃないのかい!?

フェニックス様のためなんだから、ちょっとくらい我慢なさいな!

目的のためなら手段を選ばない、それがウチら鳳凰団のやり方なのよ!!

【ツバメ】

手段は選ばないんだぜぇ!!!
【イーグル】

それがポリシー、だガー。

【孔雀】

良いかいアンタたち、これで確かに警告したわよ。
続けて孔雀は、一行を指差して叫んだ。

【孔雀】

さぁ、出ておいで!コバードα!!

【??】

ギシャァァァァ!!!
不気味な雄叫びが聞こえたと思った次の瞬間、どこからともなく黒い影が飛んで来て、鳳凰団の前に舞い降りた。
それは頭だけが人間で、体は漆黒の羽根で包まれた鳥の化け物だった。
そう、この化け物こそが、鳳凰団が作った鳥人間の生命体“コバードα”なのである。

【ツバメ】

コバードα!こいつらを次元の果てまでぶっ飛ばすんだー!!

【コバードα】

ギシャァァァァ!!!
コバードαが大きな翼を広げ、高く飛び上がる。

バサッ!!そして一行に向かって思いっきり翼を羽ばたかせる。


ブワッ!!コバードαは翼から強烈な突風を放った。まばたきすらする間もなく、突風が一行に命中する。

【パト&Z・ジェット】

うわぁっ!!

【リズ&カロ】

きゃぁっ!!
一行は突風に吹っ飛ばされた。

そしてそのまま、テント内の地面に激突してしまった。

【パト&リズ】

いたた…。

【Z・ジェット】

大丈夫かお前ら?

【カロ】

派手にやられてしまいました…。
やはり姿形と言い先程の突風攻撃と言い、今までのザコガラスとは比べ物にならない。

【コバードα】

ギシャァァァァ!!!
コバードαが相変わらず不気味な雄叫びを上げる。

攻撃が当たって喜んでいるのだろうか。

【孔雀】

あーっはっはっはっ!ざまぁないわね!!

【ツバメ】

こいつの強さ、思い知ったかぁ!!

【イーグル】

鳳凰団に歯向かった罰だガー。
地面に倒れる一行を嘲笑う鳳凰団。

【パト】

ま、まだまだ…。

【リズ】

負けないもん!
しかし先程地面に落ちた際打ち所が悪かったのか、一行は上手く起き上がれない。

【孔雀】

あきらめの悪い子たちだねぇ!コバードα、やっておしまい!!
コバードαが、一行に再び突風を浴びせかける。

【パト&Z・ジェット】

うわぁっ!!

【リズ&カロ】

きゃぁっ!!
ドサッ。またも地面に落ちる一行。

相当なダメージを受けているようで手も足も出せず、とても見ていられない光景だった。

【孔雀】

さ~て、そろそろ終わりにするかねぇ。

【ツバメ】

つまみ出してやるぜぇ!!
ツバメが近くにあったスイッチを押す。
するとみるみるうちに天井を支える柱が動き出し、ぽっかり穴が空いた。上は青空が広がっている。

【孔雀】

コバードα!こいつらを吹っ飛ばして、外の川に落としちゃうのよ!!

【コバードα】

ギシャァァァァ!!!
バサァッ!!コバードαは渾身の力を込めて突風を起こし、一行をテントの上まで吹っ飛ばした。
一行はダメージのせいで、もうほとんど動く事が出来なかった。このまま敗れ去ってしまうのか!?

“やられる”。そう思った瞬間だった。




パシィッ!数体の影が飛び出し、一行それぞれをキャッチした。
次の瞬間、無数の黒い影が天井からなだれ込んで来た。予想外の出来事に鳳凰団がギョッとする。

【ツバメ】

!? な、何だぁ!?
よく見ると、それは村の住民たちだった。

【孔雀】

なっ、何ぃ~~~!?
そして住民たちの中でパトをキャッチしたのは、潜入前に助けたあの男だったのだ。

【男性】

(皆さん、大丈夫ですか!?)
彼は例の能力を発揮中らしく、テレパシーで話しかけて来る。

【パト】

あなたは!!

【リズ】

あの時のお兄さん!

【Z・ジェット】

助かったで!

【カロ】

ありがとうございます!

【男性】

(いえいえ、僕もあなた方には借りがありますからね。

それに僕たちもあいつらが許せませんから)

【パト】

やったね、形勢逆転だ! コバードαを倒せるぞ!
パトとリズがそれぞれ住民の腕から降り、再び刀を構える。

【パト&リズ】

やぁ~~!!!!
2人がジャンプし、コバードαに斬りかかる。

コバードαは突然の出来事に動揺していたため防ぐ事が出来ず、2人の同時攻撃が見事にクリーンヒットした。

【コバードα】

ギャ~~~!!!
その一撃でコバードαは地面に落ち、動かなくなってしまった。

奴の完敗である。

【パト&リズ】

やったね!
2人はお互い、高らかにハイタッチする。

【孔雀】

ひえ~!コバードαがやられるとは!

お前たち、逃げるわよ!

そしてその一方で、男始め住民たちが逃げようとした鳳凰団を取り囲む。
表情からして、彼らが怒っているのはよく分かった。

【ツバメ】

うわ~、ダメっス姐御!囲まれたっスー!!

【孔雀】

バカな、テントからは超音波が流れているはず!

何で虫人共が近付けるんだい!?

【男性】

(あの超音波と真逆の波を流しているのさ! そうすれば、超音波は止まってしまう!!)
彼の耳には先程渡したヘッドフォンがあった。要するにまず彼だけがこれを装着したままテントまで近付き音波を止め、その後住民たちと共に進撃して来たのである。

さらにちょうど良い具合にテントの天井が開いた事で中に入って来れたのだ。

【イーグル】

あ、そういえばそうだったガー。
ゴンッ!すっとんきょうな事を話すイーグルに、孔雀はジャンプしてゲンコツをかました。

【孔雀】

それを先にお言いよ、このおバカ!!

【イーグル】

痛いガー。(泣)

【ツバメ】

ヤバいっスよ、みんな怒ってるっス!
そんなやり取りをしている間に、怒りを露わにした住民たちが襲いかかって来た。巣を守ろうと必死になるハチのように、鳳凰団の周りを飛び回る。
その住民たちの羽が、バシバシとひっぱたくように鳳凰団の肌にぶつかる。

【孔雀】

いたたた、おやめ!! 大事な肌が傷付くだろ!!

【ツバメ】

ギャ!!羽が当たって痛てぇよぉ!!

【イーグル】

腫れちゃうガー。(泣)
それを見て、一行はクスクスと笑っていた。

パトだけはあっけに取られている。

【パト】

すごい光景だなぁ…。

【リズ】

虫だって怒らせると恐いんだからね!

【Z・ジェット】

言わんこっちゃないわな。

【カロ】

自業自得ですね。
そこへ村長が現れた。この事を聞いて駆けつけて来たのだろう。

【村長】

おぉ、皆さん! ご無事でしたか!

【カロ】

はい、住民の皆さんのおかげで命拾いしました。

【村長】

申し訳ない、私があんな事を言ったばかりに…。

【カロ】

いいえ、こちらこそお役に立てず…すみません。

【村長】

奴らの始末は我々が責任を持って行います。

皆さんは早くあのヘッドフォンを付けて安全な場所へ。

言われた通りに一行は予備のノイズ遮断ヘッドフォンを装着し、テントの隅の方に移動する。
村長は住民たちに一旦襲撃をやめさせ、呼び寄せた。




【孔雀】

ふぅ、散々な目に遭っちゃったわよ…。

【ツバメ】

肌が赤くなっちまったっスよ~。

【イーグル】

後で薬塗るガー。
何やら恐ろしい視線を感じ、一瞬身震いする鳳凰団。

視線の方向を見ると、村長を先頭にした住民たちが全員こっちを睨みつけていた。

【孔雀】

な…何だいアンタたち。

【村長】

あなた方は、我々の怒りを買ってしまわれたようだ。

【孔雀】

いっ!?

【ツバメ】

わ、分かったっス!

ここのテントはもうたたんで、音楽を出すのも金輪際やめるっス!!

だから、勘弁下せぇ~~!!

【イーグル】

あのビート、最高だったのに…ガー。
しかし奴らにあれだけ迷惑をかけられて、彼らがそう易々と許す訳がなかった。

【村長】

私はともかく、あなた方を許すかどうかはここにいる住民たち次第ですので。
そう言って村長が住民たちの前から去る。それを合図に、住民たちが背中の羽を広げる。
そして一斉にその広げた羽をこすり合わせた。

【鳳凰団】

ひぃ~~~!!
リリリリリリリ~~~!!!!!!
一行が助けた男性が放ったものとは比べ物にならない、とんでもない大音量の鈴虫の音が響き渡った。

【孔雀】

ぐわぁ~~~!!

【ツバメ】

ひえ~~~!!

【イーグル】

ウガ~~~!!
この至近距離では奴らのヘッドフォンも意味を成さず、白煙を上げてぶっ壊れていた。鳳凰団は思わず呻く。
しかしそれくらいでは済まなかった。後ろに置かれていた巨大ラジカセが、恐ろしく高い周波数に耐え切れずショートし始めたのだ。
このままこんな状態が続いていれば…もうお分かりだろう。




パチパチパチ…ドカ~~~ン!!!!!!!
案の定、ラジカセは大爆発を引き起こした。




【孔雀】

あれ~~~!!!

【ツバメ】

のわ~~~!!!

【イーグル】

ウガ~~~!!!
爆発に巻き込まれ、空の果てまで吹っ飛ばされる鳳凰団とコバードα。
ちなみに住民たちと一行は、ラジカセからある程度離れていたため無傷だった。

【孔雀】

くっそー!虫けらなんかにやられるなんて~!!

【ツバメ】

だから虫けらも言い過ぎっスよ姐御…。

【イーグル】

可愛いのもいるガー。

【孔雀】

お黙りお前たち! 虫なんかみ~んな大っ嫌いよ~!!

【鳳凰団】

フェニックス様に何て言お~~~!!!
負け惜しみを言いながら、鳳凰団+コバードαは空の彼方へ消えて行った…。




その夜、コンサートは無事開催された。辺りに虫ならではの美しい音が響き渡る。
巨大な切り株で出来たステージに上がっているアーティストたちの中に、あの男の姿がある。
そう、彼の正体はこのコンサートに出演するアーティストだったのだ。彼曰く、『腕の見せ所であるコンサートを台無しにしようとした鳳凰団が許せなかった』らしい。
ステージの周りは観客たちで埋め尽くされており、その中には一行の姿もあった。

【リズ】

綺麗な音だねー。

【パト】

さっきのケガがすっかり治っちゃった。

【メトロ】

とても素敵だわ。

【ノーム】

うっとりしちゃうわ。
住民たちの鳴き声は気分のみならず、ケガまでも癒す効果があるようだ。

【村長】

楽しんでおられますかな。

【カロ】

村長さん!
そこへ村長が現れた。村のイベントだからか、今は正装だ。

【Z・ジェット】

世話になってもうたなー、オレらメイン勢やっちゅーのに。

【カロ】

あの時は本当に助かりました。改めてありがとうございます。

【村長】

いえいえ、私の方こそお礼を申し上げます。

あなた方がいなければ、この村を出て行かざるを得なかったでしょうから。

【リズ】

でもすごいよね! 感情一つで色んな音が出せちゃうんだもん!

【村長】

良かった良かった、キミも気に入ってくれたんだな。

【パト】

今度はハーモニーシティにも、ぜひ来て下さい!

【村長】

うむ。せっかくだからハーモニーシティで行われる音楽祭に、アーティストエントリーさせて頂こうかな。

【パト】

わーい!楽しみにしてますね!
気が付くと、つい大声で喋ってしまっていた。

静かに鑑賞していた住民たちが一斉にこちらを向く。

【住民たち】

し~~~っ!!
人差し指を立てて口に当て、静かにするよう促す住民たち。

【パト&リズ】

あ、ごめんなさい…。(汗)

【村長】

おお、すまんな。村長である私とした事が…。

【Z・ジェット】

しばらく鑑賞に専念しよか。

【カロ】

そうですね、じっくりと美しい音楽を楽しみましょう。

ステージに上がる住民たちの演奏をBGMに、夜は更けて行くのであった…。


おしまい。





【今回の主要以外の登場人物】


====================

【村長】

→美しい音で鳴く虫人族が住む村の村長。

鳳凰団の悪さに困り果て、メイン勢に奴らを立ち退かせる事を依頼する。

【虫人の男性】

→川べりでメイン勢一行に助けられた男性。終盤では他の住民を率いてテントに乗り込み、一行を助けた。

そんな彼の正体はコンサートの演奏者。腕の見せ所であるコンサートが中止になり得ない状況を作り上げた鳳凰団が、心底許せなかったらしい。

【コバードα】

→鳳凰団が造り出した鳥人間の生命体『コバードシリーズ』の初号体。
頭は人間で体は鳥と言う、何とも気持ち悪い風貌の怪鳥。
大きな翼を羽ばたかせる吹き飛ばし攻撃が得意。知能は低めらしい。
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登場人物紹介

【ポジ詩月(Posi-Shizuki)】

→詩月のポジティブな感情が人の姿になった生き物。前向きで常に明るい事を考える。

ただし、現実世界の非情かつ最低な人間の事は大嫌い。もちろん創作世界の平和を乱そうとする連中も大嫌いである。

容姿は詩月本体に似ている(ただし美化2000%)。テンションが上がると声がでかくなる。

ネガ詩月とはいつも一緒にいる。周りを盛り上げるムードメーカー。


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誕生日:8月1日
年齢:詩月と同じ・♀
出身地:福岡県某所
趣味:ネットサーフィン、イラストを描く事
好きな物:ゲーム(特に音楽ゲーム)、動物(特に猫)
嫌いな物:現実の非情かつ最低な人間、平和を乱す連中、アリ、あと軍曹。こいつらだけは絶対無理!!

【ネガ詩月(Nega-Shizuki)】

→詩月のネガティブな感情が人の姿になった生き物。後ろ向きで根暗な方だが、最近は若干明るい子になりつつある。

しづキャラたちの中でも特に、現実世界の非情かつ最低な人間や創作世界の平和を乱そうとする連中を憎悪している。

恐らくしづキャラワールドの中では最強。怒りが一定値を超えると『スーパーネガ詩月』に変貌し、しばらく手が付けられなくなる。

しかし怒らせさえしなければ根はとても良い奴。


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誕生日:8月1日
年齢:詩月と同じ・♀
出身地:福岡県某所
趣味:静かな所でのんびりする、妄想する
好きな物:ポジに伸びた髪を切ってもらう事、創作世界の住人たち、動物(特に猫)
嫌いな物:現実の非情かつ最低な人間、平和を乱す連中、承認欲求

【パト・タクティズム(Pato Taktithm)】

→詩月の創作の総称『Shizuchara Allstars(しづキャラオールスターズ)』の看板息子兼、オリジナルコンセプト『Tap Spinners』の男主人公。リズの双子の弟。

気が弱いヘタレだが、正義感は人一倍強い。戦闘の際は果敢に立ち向かったりと、男らしい一面も持っている。

また修理からスクリプト関係までとあらゆる機械をいじるのが得意で、爆弾を解除した経験も。

将来の夢はコンピューターエンジニアになり、最先端技術の発展に貢献する事。


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誕生日:1月1日
年齢:12歳・♂
出身地:スコアランド
趣味:ダンス、機械いじり
好きな物:もちろん、音楽が一番好きだよ!
嫌いな物:ピーマン。あの苦味がダメなんだ…。

【リズ・タクティズム(Riz Taktithm)】

→詩月の創作の総称『Shizuchara Allstars(しづキャラオールスターズ)』の看板娘兼、オリジナルコンセプト『Tap Spinners』の女主人公。パトの双子の姉。

口論で勝てる者はいないくらい、非常に気が強くしっかりしている(※だからと言って頑固者や意地っ張りではない)。人を説得するのも得意。

実は料理が恐ろしく下手で、その不味さはもはや生き地獄そのもの(一応本人も自覚はしている)。

将来の夢は探検家になり、未知なる世界を旅する事。


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誕生日:1月1日
年齢:12歳・♀
出身地:スコアランド
趣味:ダンス、運動
好きな物:もちろん音楽だよ~!
嫌いな物:空豆

【ガンザード・Z・ジェット(Gunzard Z-Jet)】 

→パトとリズの母方の叔父、関西弁で喋る。愛称は『ジェット』。

格闘技の達人で、強い敵相手だとテンションが上がるタイプ。

また弱い相手に暴力を振るう行為が大嫌いで、DVや集団リンチをする連中は決して許さない。

格闘一本なので、恋愛に関してはちょっぴり奥手なようだ。


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誕生日:2月29日(平年は3月1日がお祝い日)
年齢:20歳・♂
出身地:スコアランド
趣味:トレーニング、バイクを乗り回す事
好きな物:優しい心
嫌いな物:自分より弱い者に暴力を振るう奴

【カロ・フランシス・スート(Carreau Francis Suit)】

→神に限りなく近い種族『神々しき一族』の女性。自分よりも相手に気を遣う優しい心の持ち主で、主に回復魔法を得意とする。

普段は物静かで大人しいが、キレると大変な事になるらしい。

ちなみにZ・ジェットに恋心を抱いているが、態度には出していない。最近は紅茶のブレンドにハマっているとか。


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誕生日:??(お祝い日:4月1日)
年齢:約700歳(外見は人間年齢で27歳くらい)・♀
出身地:次元聖域
趣味:ティータイム
好きな物:希望の光
嫌いな物:邪悪な心

【メトロ(Metro)】

→パト&リズ姉弟が家に飾っているメトロノームから生まれた、不思議な双子の精霊で姉の方。パートナーはパト。

パトが戦闘態勢に入る時限定で、体を日本刀に変化させる事が可能。

一応バラバラに行動する事も出来るが、基本は姉妹で1セット。もっぱら一緒にいる時が多い。


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誕生日:分かりません(お祝い日:12月31日)

年齢:年齢不詳・♀

出身地:ハーモニーシティ(=スコアランドの首都)のアンティークショップ

趣味:無

好きな物:無

嫌いな物:迷惑騒音

【ノーム(Nome)】

→パト&リズ姉弟が家に飾っているメトロノームから生まれた、不思議な双子の精霊で妹の方。パートナーはリズ。

リズが戦闘態勢に入る時限定で、体を日本刀に変化させる事が可能。

一応バラバラに行動する事も出来るが、基本は姉妹で1セット。もっぱら一緒にいる時が多い。


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誕生日:…さぁ?(お祝い日:12月31日)

年齢:年齢不詳・♀

出身地:ハーモニーシティ(=スコアランドの首都)のアンティークショップ

趣味:無

好きな物:無 

嫌いな物:リズムが取れない曲

【鳳凰団(ほうおうだん/Team Houou)】
→全ての次元の住人を鳳凰団の信者にするべく活動する、非常に傍迷惑な連中。
悪さをするのは三大幹部で、姐御系リーダー・孔雀(くじゃく/右の女性)、頭脳明晰な元海賊・ツバメ(左の水色バンダナの少年)、人造人間・イーグル(センターの大男)の3人構成。その上には大ボス・フェニックスがいる。
一応SCASシリーズの悪役兼メインキャラ勢のライバル的な立場で、メインキャラ勢が彼らの活動を阻止する事で、常にワールドの平和が保たれている。


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誕生日:3人とも不明

年齢:孔雀/推定20代前半・♀ ツバメ/8歳・♂ イーグル/年齢不詳・♂

出身地:3人とも不明

趣味:孔雀/貴金属収集 ツバメ/パルクール イーグル/何だソレ?美味いノカ?

好きな物:孔雀/アタイの美貌は世界一よ♪ ツバメ/潮風 イーグル/ハイオクガソリン

嫌いな物:孔雀/お姉様とお呼び! ツバメ/火 イーグル/鳳凰団に歯向かう奴、許せないガー!!

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