第5話 鍋と少女と幻想郷
文字数 1,931文字
「さてっと……。準備万端ね。」
「はい。完璧です。白米も我が軍が掌握しました。」
「うむ。苦しゅうない。」
あなたと霊夢さんは、座卓の上に鍋と白米とその他漬物が盛り付けられたお皿を並べ、完璧でパーフェクトでエクセレントな食卓を完成させました。
あなたと霊夢さんは、向き合うように座ります。
「「頂きます」」
きちんと手を合わせて、神様と作った人々に感謝を込めます。
あなたは箸を手に取り、器に鍋の具材を取ります。
ねぎ、にんじん、ゴボウ、ミョウガ、まいたけ、山菜類ーー。
野菜、きのこ、そして魚の旨味が、味噌と相乗効果を起こして、濃厚な香りを芳しています。
それらを白米と共に、口の中に入れます。
「っ……!、………っ美味しい!」
あなたは、とても驚きました。
野菜、魚、味噌に至るまで、全てが段違いに美味しいのです。
鮮度が違う、というやつでしょうか。
「あったりまえじゃない!水と土と空気が、あんたの世界と比べて段違いに綺麗なんだもの。」
「よくわかりませんけど……、ここの食べ物は史上最強だってことですね!味噌も何だか、普通の味噌じゃない感じがするし……もぐもぐ」
あっという間に鍋を平らげ、お腹一杯になったあなたと霊夢さん。
二人とも無意識に、ぐったりと畳の上で寝っ転がります。
畳の爽やかな香りが、食事で気立った心を鎮めてくれます。
「何だかいろいろ、ありがとうございます。ご飯まで食べさせてもらって……」
「いいのいいの。私も久々に、楽しくご飯を食べれたわ。それに、私にはあなたを保護する責務があるもの。気にしないで頂戴。……まあ、家事は手伝ってもらうけれどね。」
そういうと、霊夢さんは身を起こして僕にこう続けました。
「それじゃ、後片付けしたら、『ここ』のことについて話すわよ。」
あなたたちは、開いた皿や鍋を片付け終えて、先ほどまで食卓だった座卓に向き合って座りました。
「それじゃあ、一から話すわね。」
冷ました玄米茶を一口飲んで、霊夢さんは口を開きます。
「ここは、『幻想郷』っていう場所。幻想の郷、要するに、あなたたち外来人からしてみれば『異世界』みたいなものよ。」
「異世界……?」
「そう。異なる世界と書いて異世界。そして、この異世界は、日本のどこかにあるわ。」
あなたは首を傾げてしまいます。
どこか、ということは、どういうことなのでしょうか。
「まあ、そこはあんまり重要ではないわ。この幻想郷は、二つの結界によって外と内に分断されているの。」
「……なるほど?」
「その二つの結界は、『幻と実体の境界』と、『常識と非常識の境界』。外界、つまりあなたがいた世界が『実体と常識の世界』だとしたら、この幻想郷は『幻と非常識の世界』ということになるわ。」
「うーん……。具体的には、どんな感じで違いがあるんですか?」
「まずは、幻想郷には妖怪がいるわ。そして、神、妖精、幽霊も。」
「全く実感が湧きませんけど……。なるほど、幻、ってそういうことですか。人が過去に捨てた存在、もしくは忘れてしまった存在……」
「そうそう!そんな感じよ、あんた以外と飲み込みが早いわね!」
なるほど、だからあなたは連れてこられたのでしょう。
むしろ、あなたはこちら側に適した人間のようです。
「この幻想郷は、妖怪、神、幽霊、妖精、鬼なんかもいるわ。そんでもって、もちろん人間もね。私の主な仕事は、ここの住人または外からやってきた奴がもたらす騒動を、バシッと解決することよ。」
「戦うんですか?」
あなたは霊夢さんに問いかけると、霊夢さんは首を竦めました。
「戦うと言っても、ルールがあるのよ。……まあ、スポーツで勝敗を決める感じ。あなたは霊力、魔力は少ないと思うから、関係ないと思うけれどね。一応説明しておくと、『弾幕ゲーム』って名前のゲームよ。互いに技を出し合って、芸術点を競い合うの。」
「それには、魔力とか霊力とかが必要なんですね。」
「そういうことになるわね。あなたもやろうと思えばやれると思うけれど、正直オススメはしないわ。すぐバテると思うから。」
「なるほど……、?」
あなたは、どんなゲームなんだろう、そもそも霊力とか魔力って……などと疑問を抱えてしまいますが、まあ、世で言う『異世界転移』のようなことが実際に起こっているわけなので、混乱してしまうのも仕方がないでしょう。
霊夢さんは、どっこいしょ、と少女らしからぬ掛け声を上げて立ち上がります
そして、目の前の繊細な少女は、腰に手をおき、ニコッと笑ってあなたに提案します。
「お風呂、どっちが先にいく?」
「はい。完璧です。白米も我が軍が掌握しました。」
「うむ。苦しゅうない。」
あなたと霊夢さんは、座卓の上に鍋と白米とその他漬物が盛り付けられたお皿を並べ、完璧でパーフェクトでエクセレントな食卓を完成させました。
あなたと霊夢さんは、向き合うように座ります。
「「頂きます」」
きちんと手を合わせて、神様と作った人々に感謝を込めます。
あなたは箸を手に取り、器に鍋の具材を取ります。
ねぎ、にんじん、ゴボウ、ミョウガ、まいたけ、山菜類ーー。
野菜、きのこ、そして魚の旨味が、味噌と相乗効果を起こして、濃厚な香りを芳しています。
それらを白米と共に、口の中に入れます。
「っ……!、………っ美味しい!」
あなたは、とても驚きました。
野菜、魚、味噌に至るまで、全てが段違いに美味しいのです。
鮮度が違う、というやつでしょうか。
「あったりまえじゃない!水と土と空気が、あんたの世界と比べて段違いに綺麗なんだもの。」
「よくわかりませんけど……、ここの食べ物は史上最強だってことですね!味噌も何だか、普通の味噌じゃない感じがするし……もぐもぐ」
あっという間に鍋を平らげ、お腹一杯になったあなたと霊夢さん。
二人とも無意識に、ぐったりと畳の上で寝っ転がります。
畳の爽やかな香りが、食事で気立った心を鎮めてくれます。
「何だかいろいろ、ありがとうございます。ご飯まで食べさせてもらって……」
「いいのいいの。私も久々に、楽しくご飯を食べれたわ。それに、私にはあなたを保護する責務があるもの。気にしないで頂戴。……まあ、家事は手伝ってもらうけれどね。」
そういうと、霊夢さんは身を起こして僕にこう続けました。
「それじゃ、後片付けしたら、『ここ』のことについて話すわよ。」
あなたたちは、開いた皿や鍋を片付け終えて、先ほどまで食卓だった座卓に向き合って座りました。
「それじゃあ、一から話すわね。」
冷ました玄米茶を一口飲んで、霊夢さんは口を開きます。
「ここは、『幻想郷』っていう場所。幻想の郷、要するに、あなたたち外来人からしてみれば『異世界』みたいなものよ。」
「異世界……?」
「そう。異なる世界と書いて異世界。そして、この異世界は、日本のどこかにあるわ。」
あなたは首を傾げてしまいます。
どこか、ということは、どういうことなのでしょうか。
「まあ、そこはあんまり重要ではないわ。この幻想郷は、二つの結界によって外と内に分断されているの。」
「……なるほど?」
「その二つの結界は、『幻と実体の境界』と、『常識と非常識の境界』。外界、つまりあなたがいた世界が『実体と常識の世界』だとしたら、この幻想郷は『幻と非常識の世界』ということになるわ。」
「うーん……。具体的には、どんな感じで違いがあるんですか?」
「まずは、幻想郷には妖怪がいるわ。そして、神、妖精、幽霊も。」
「全く実感が湧きませんけど……。なるほど、幻、ってそういうことですか。人が過去に捨てた存在、もしくは忘れてしまった存在……」
「そうそう!そんな感じよ、あんた以外と飲み込みが早いわね!」
なるほど、だからあなたは連れてこられたのでしょう。
むしろ、あなたはこちら側に適した人間のようです。
「この幻想郷は、妖怪、神、幽霊、妖精、鬼なんかもいるわ。そんでもって、もちろん人間もね。私の主な仕事は、ここの住人または外からやってきた奴がもたらす騒動を、バシッと解決することよ。」
「戦うんですか?」
あなたは霊夢さんに問いかけると、霊夢さんは首を竦めました。
「戦うと言っても、ルールがあるのよ。……まあ、スポーツで勝敗を決める感じ。あなたは霊力、魔力は少ないと思うから、関係ないと思うけれどね。一応説明しておくと、『弾幕ゲーム』って名前のゲームよ。互いに技を出し合って、芸術点を競い合うの。」
「それには、魔力とか霊力とかが必要なんですね。」
「そういうことになるわね。あなたもやろうと思えばやれると思うけれど、正直オススメはしないわ。すぐバテると思うから。」
「なるほど……、?」
あなたは、どんなゲームなんだろう、そもそも霊力とか魔力って……などと疑問を抱えてしまいますが、まあ、世で言う『異世界転移』のようなことが実際に起こっているわけなので、混乱してしまうのも仕方がないでしょう。
霊夢さんは、どっこいしょ、と少女らしからぬ掛け声を上げて立ち上がります
そして、目の前の繊細な少女は、腰に手をおき、ニコッと笑ってあなたに提案します。
「お風呂、どっちが先にいく?」