第4話 紅白の大和撫子

文字数 1,014文字

日は西に傾き、薫風が肌に柔く夜の始まり。
あなたは霊夢さんと一緒に晩ご飯の支度をしていました。

あなたはとりあえず、ここの神社の巫女、霊夢さんに保護されました。
何も知らないあなたは、とりあえず悪い人ではなさそうな霊夢さんのことを信用せざる得ない状況。言われるがまま、衣食住を保証されたのでした。

「あなた、外の世界から来たから、竈門とか使い方わからないでしょ。」

旧文明だな、とあなたは思います。

「魚は、一応捌けますが……」

「上出来ね。じゃあ、この川魚を捌いてぶつ切り、そんでこっちの野菜も適当に切って、この鍋に全部入れて頂戴。私は竈門の火を見ているわ。」

「了解です。」

あなたは、早速包丁を手にして作業に取り掛かります。
一人暮らしをしていたあなたは、包丁の扱いなどお手の物。黙々と作業をこなします。

あなたは、静寂がもどかしくなり、霊夢さんに話しかけます。

「今日は鍋、です?」

「ええ、そうね。この季節になると、冷たいものが恋しくなるけれど、そんな冷たいものばっかり食べていたら夏バテしちゃうもの。この時期は意識して、あえてこういうものを食べているのよ。」

「なるほど……味付けは味噌ですか、美味しそうです。」

「日本食の基本にして秘伝の調味料よね。」

そう言って、霊夢さんは笑顔になります。
巫女服の上からきたエプロン、揺れるポニーテール、可憐な横顔ーー。

あなたはなぜか恥ずかしくなり、ですです、と頷き、すぐさま作業に戻ります。
心なしか、少し頬が熱いようです。

「…?、どうしたの?急に黙り込んじゃって。」

「あぁ、いえ、えぇと、その巫女服、珍しいなって思いまして……。」

「あぁ、これ?私の職業柄、普通の巫女服じゃあ動きづらいのよね。」

「えっ、なにか体を動かすような仕事をしているんですか?」

逃げるための質問でしたが、その返答の内容に、あなたは普通に驚いてしまいます。

「端的に言えば、ここらへん一帯の秩序と平穏を守るため、って言ったところかしら。まあ、説明は追々するわね。」

「はぁ、なるほど……?」

自警団出来ななにかだろう、きっと。そうあなたは結論づけました。

そうして、あなたは手を動かすのに集中力を戻しますーー。



晩も回り、夜の闇に包まれた幻想郷。
人里離れた、幻想郷を一望できる東端の高台に一つ。初々しい団欒の灯火が灯っていましたーー。
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