第18話 夏夜涼み酒
文字数 1,414文字
『村雨円楽店』は、二階建てになっています。
一階部分の大部分は客席、カウンター厨房になっていますが、奥には二階に繋がる階段と、あなたの生活スペースがあります。
お店部分は洋風ですが、生活スペースである八畳間は、民家の内装とさほど違いはありません。
畳、押し入れ、座台、カンテラ、湯呑み、南部鉄器。
押し入れには布団や火鉢などが収納されています。
「はー、こっちはそこらの民家と変わんないんだな。」
「なんだかんだこっちの方が落ち着きますし。魔理沙さんこそ、部屋はどうなんです?」
「そりゃお前さん、私は魔法使いなんだから、魔法使いっぽい家だろう?……多分」
「曖昧ですね……」
あなたは首を傾げる魔理沙さんを横目に、座布団と座台を部屋の中央に移動させてきます。
「どっこいしょ…… あーーあっつい…………」
「夏だもんな」
「夏以外で暑かった、らたまったもんじゃありません」
「確かに」
「じゃあ、ストレートで飲みますか。氷入れて」
「最高だぜ」
「ちょと待っててくださいね」
あなたは提灯に火をつけ、厨房からレモンと氷(ブロック)を取り出してきます。
戸棚からカクテルグラスを二つ取り出し、それらを机の上に並べました。
「ちょっと待っててくださいねー」
包丁とまな板をどこからともなく取り出し、あなたは氷を削っていきます。
「ほえぇ…… 適当に砕いてブチ込むんじゃダメなのか?」
「そうすると、氷が早く溶けちゃって、お酒が、水っぽくなっちゃうんです。よく冷えて、かつ溶けにくい氷の形にするのがいいと思いまして」
「なるほどなぁ…… あぁ、グラスとの接触面積をなるべく減らすのか。頭いいなぁ」
「酔いながらもそれにすぐ気づく魔理沙さんの方が頭いいと思いますよ、僕は……」
あなたは、慣れた手つきで氷を丸くしていきます。
できた氷をグラスに入れて、リモンチェッロを開けます。
透明なグラスに、その液体を注ぎます。
すると、爽やかなレモンの香りが、あなたの部屋いっぱいに広がりました。
涼しい氷の音が鳴ります。
「絶対うまいだろこれ」
「美味しいに決まってるじゃないですかこんなの」
あなたは手早くレモンを切り、カクテルグラスの口にそっと添えます。
「完成です。リモンチェッロ、レモンのお酒です。」
「滅茶苦茶うまそうだぜ…… そんじゃ、一口」
魔理沙さんがグラスを持ち、その黄色い液体を口に含みます。
下で転がした後、ゆっくりと嚥下します。
「おぉぉお、レモンだぜ!」
「めちゃうまいじゃないですかこれ!」
南イタリアの家庭の味、リモンチェッロ。
シロップのほのかな甘みから始まり、すぐにレモンの酸味と苦味が口の中いっぱいに広がります。
「こりゃ、クセになる味だぜ…… 霊夢と飲んだら一瞬でなくなるところだな」
「瓶でそのまま飲みそうですもんね」
「ちくろ」
「嘘です」
ぱっと、会話が花を開きます。
予想を超えたそのお酒は、あなたを酔わせます。
爽やかな味、香り、ほのかに漂う甘み、レモン。
爽快なお酒のはずなのに、あなたはだんだんと熱くなっていきます。
「おーい、大丈夫か?」
そんな声にも、あなたは返答できないほど、酔ってしまいます。
暗闇にのまれ、あなたは酔いに潰されてしまったのでした。
一階部分の大部分は客席、カウンター厨房になっていますが、奥には二階に繋がる階段と、あなたの生活スペースがあります。
お店部分は洋風ですが、生活スペースである八畳間は、民家の内装とさほど違いはありません。
畳、押し入れ、座台、カンテラ、湯呑み、南部鉄器。
押し入れには布団や火鉢などが収納されています。
「はー、こっちはそこらの民家と変わんないんだな。」
「なんだかんだこっちの方が落ち着きますし。魔理沙さんこそ、部屋はどうなんです?」
「そりゃお前さん、私は魔法使いなんだから、魔法使いっぽい家だろう?……多分」
「曖昧ですね……」
あなたは首を傾げる魔理沙さんを横目に、座布団と座台を部屋の中央に移動させてきます。
「どっこいしょ…… あーーあっつい…………」
「夏だもんな」
「夏以外で暑かった、らたまったもんじゃありません」
「確かに」
「じゃあ、ストレートで飲みますか。氷入れて」
「最高だぜ」
「ちょと待っててくださいね」
あなたは提灯に火をつけ、厨房からレモンと氷(ブロック)を取り出してきます。
戸棚からカクテルグラスを二つ取り出し、それらを机の上に並べました。
「ちょっと待っててくださいねー」
包丁とまな板をどこからともなく取り出し、あなたは氷を削っていきます。
「ほえぇ…… 適当に砕いてブチ込むんじゃダメなのか?」
「そうすると、氷が早く溶けちゃって、お酒が、水っぽくなっちゃうんです。よく冷えて、かつ溶けにくい氷の形にするのがいいと思いまして」
「なるほどなぁ…… あぁ、グラスとの接触面積をなるべく減らすのか。頭いいなぁ」
「酔いながらもそれにすぐ気づく魔理沙さんの方が頭いいと思いますよ、僕は……」
あなたは、慣れた手つきで氷を丸くしていきます。
できた氷をグラスに入れて、リモンチェッロを開けます。
透明なグラスに、その液体を注ぎます。
すると、爽やかなレモンの香りが、あなたの部屋いっぱいに広がりました。
涼しい氷の音が鳴ります。
「絶対うまいだろこれ」
「美味しいに決まってるじゃないですかこんなの」
あなたは手早くレモンを切り、カクテルグラスの口にそっと添えます。
「完成です。リモンチェッロ、レモンのお酒です。」
「滅茶苦茶うまそうだぜ…… そんじゃ、一口」
魔理沙さんがグラスを持ち、その黄色い液体を口に含みます。
下で転がした後、ゆっくりと嚥下します。
「おぉぉお、レモンだぜ!」
「めちゃうまいじゃないですかこれ!」
南イタリアの家庭の味、リモンチェッロ。
シロップのほのかな甘みから始まり、すぐにレモンの酸味と苦味が口の中いっぱいに広がります。
「こりゃ、クセになる味だぜ…… 霊夢と飲んだら一瞬でなくなるところだな」
「瓶でそのまま飲みそうですもんね」
「ちくろ」
「嘘です」
ぱっと、会話が花を開きます。
予想を超えたそのお酒は、あなたを酔わせます。
爽やかな味、香り、ほのかに漂う甘み、レモン。
爽快なお酒のはずなのに、あなたはだんだんと熱くなっていきます。
「おーい、大丈夫か?」
そんな声にも、あなたは返答できないほど、酔ってしまいます。
暗闇にのまれ、あなたは酔いに潰されてしまったのでした。