第20話 ひまわりとカモミール

文字数 979文字

 酷い微睡の中、あなたは魔理沙さんに布団に寝かせられ、仰向けにされます。
 意識が朦朧とするあなたは、そのまま夢の中へと沈みそうになります。

 あぁ、魔理沙さんも優しいんだな……そう思ったあなたは、ついに寝てしまいーーませんでした。

 魔理沙さんが、あなたの隣で寝始めるではないですか!

(ちょっと、え、え? ……え?)

 完全に、とはいきませんが、起きていられるほどには覚醒したあなたは、寝たふりを開始します。

(はい、はいなるほどね?魔理沙さんも眠いのね? ……なるほど?)

 一人で納得するあなた。
 すぐ脇でもぞもぞと動く魔理沙さんに、あなたは変な汗をかき始めます。

 とりあえず耳を済ませます。真っ暗なので、音からしか隣の情報を取得する術がないからです。


 あなたは、ほぼ無音の真夜中、耳を澄まし続けます。

(…………寝れない)

 だんだんと酔いも覚めてきて、体の火照りも無くなってきます。

(……もう、寝てますよね?)

 隣からは、規則正しい息遣いが聞こえてきます。
 あなたは、そっと寝返りをうちます。もちろん魔理沙さんが見えるように。

 うっすらと目を開け、様子を見ます。
 魔理沙さんは、目を瞑っているようでした。

(寝てる、ね……)

 謎に魔理沙さんの睡眠を確認したあなたは、今度こそしっかりと目を閉じます。
 いいかげん寝ないと、寝不足になってしまいます。

 深く息をし、力を抜いて、あなたが眠りにつこうとした、その時でした。

「私は……」

 目の前から、声がしました。

 寝言、でしょうか。

(うっそ、起こしちゃった……?)

 しかし、すすり泣きが聞こえてきた時点で、あなたは彼女が、少なくとも今は起きているということを悟ります。

 なぜ泣いているかは不明。

 とりあえず、あなたは小声で魔理沙さんの名前を読んでみます。

「まりささーん、大丈夫ですかー……?」

 しかし聞こえていないのか、何も反応はありません。

 魔理沙さんは泣き上戸ではない。性格は、正直で裏表がない。努力家で、なんだかんだ言って優しい性格です。

 あなたの布団で、わざわざ泣き出してしまう状況。
それは、少なからずあなたに心を開いてくれている証拠でしょう。


 あなたは、それに応えるべきだと思いました。
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