一文小説集「熱」等七篇

文字数 294文字

「熱」

 人工の太陽の完成記念式典の生中継を映していたテレビが、内部から溶け始める。



「紙吹雪」

 紙吹雪にまみれた最後の太陽が、照れくさそうに地平線に沈んでいく。



「点滅」

 電車で、目の前の席に座ってうとうとしているおじさんのおでこの「要交換」ランプが点滅している。



「マウス」

 好きなアイドルと同じ名前をつけたマウスを、俺の研究生活最後の実験に使う。



「電波塔」

 電波塔の不具合で、蝉が鳴かなかったため、本日は寂しい夏の日となりました。



「キャットフード」

 前世が人間だった猫用のキャットフードがどんどん美味しくなっていく。



「誤り」

 谷底に降りると、地面に、「ヤマオリ」と書かれた線が引かれていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み