10.第一回戦・入場
文字数 2,068文字
通路がそのまま闘技場のリングへと繋がっていた。
リーンが言ったとおり、屈強な男たちがガラガラと運んできたのは車輪が付いた芝居のセット。
寝室だろうか?
大きめのベッドと簡易なテーブル、あとは落ち着いた調度品が飾られている。
それとまったく同じ部屋がもうひとつ。
「さすがは我らがダイヘルム王!」
「コレを待っていた!」
ダイヘルムが玉座に設置された水晶玉に手をかざす。
すると、観覧席から闘技場に続く光の階段が二対現れた。
意を決し、階段へ一歩踏み出す別乃世。
それを確認し、満足げに笑みを浮かべるダイヘルム。
続くダイヘルムもまた、闘技場への階段を踏みしめる。
その歩みに、淀みはない。