14.第三回戦・入場

文字数 1,546文字

では私は会場の警護に戻らせて頂きます。
私は祝賀会の準備に回りますね。
魔力を使い過ぎました。

客室に戻って休養しますので、終わったら呼びに来て下さい。

あぁ待てハクマイナー、お前は敵国―――
本当に不要な魔力を使わされました。


疲労回復に甘いものなど効果的ですので手配するように。


・・・いいですね?

お、おぅ任せとけ。
ハクマイナーが戻るというなら、アーマはどうする?

もうここから出ても問題はないだろう。

私はここに残ります。

トリィも心配ですしね。

あぁ、まぁ心配だわな。

最悪暴れるトリィをなだめてもらわねばならんかもな。

心配はいらん、任せておけといっておる。

さぁ、観覧席に戻るぞ。

ん?

どうせまた降りてくるならここで待てばいいんじゃないのか?

巻き添え食らうとタダじゃ済まんからな。

さっさと行くぞ。

巻き添え?







「―――さぁ、いよいよ始まります最終戦!

まずは選手入場です!


魔神王サイド―――こちらは知る人も多いのではないでしょうか?


地獄の第六団、強欲の使徒!

気に入らないヤツは蹴り飛ばす、死霊術を操る悪魔トリカラ・マイウー!」

「おお!」


「来たぞ、トリカラ・マイウー!」


「ヤツの戦いが見れるのか!」

お、何だ、いい感じに沸いているな。







なんだ、結構有名人なのか?
有名人と言ったのとは少し違うと思いますが・・・


何と言いますか、学生時代は中央都市でケンカ三昧でしたので、その武勇伝か何かが伝え残されているのではないかと?

ああ、伝説のヤンキー的な?
若いやつらの間じゃあそうかもしれんが、ワシらからすればカーネル直々にスカウトに行ったって噂の方がデカいな。


更には魔神王を造った張本人だ。

一般的には知られてないが、ある程度の地位にある奴らには知れ渡ってるだろう。

カーネル?
地獄に七人いる魔王の一人、トリィの所属する第六団の王です。
あぁ、前に聞いたような気もするな。







アーマは・・・何だ、無事そうだな。

勝ったとは聞いていたが、ケガもなさそうだ。


―――さてダイヘルム、約束を果たしてもらおうか?

おぅ、無論だ。


「こちらの選手入場前だが、最終戦のルールを説明する!


制限時間は三十分!

相手を倒すかギブアップするか、時間切れなら優勢と思った方に投票しろ!


祭りだ!

最後は派手にやるぞ!

ルール無用のデスマッチだ!


―――入ってこい!」








―――やれやれ。
ほう―――貴様がくるか。







「そう、妖精王サイド、最後はこの御方!


女王、モルフォリア・インセクリーフ!」

「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」







おお、凄い歓声だな。

あの女王さま、戦えるのか?

あ、はいもちろんです。


フェアリア・フォーレストのモルフォリア女王と言えば、魔界のみならず天界・地獄界でも有名な方です。

ああ、魔界であいつに勝る魔法の使い手はいない。

名実共に―――







「魔界最強の魔法使い」モルフォリア・インセクリーフ・・・


だがいいのか?

これは何でもありのデスマッチだぞ?


隠れる場所もないこの狭い場所で、それで戦えるのか「魔法使い」?

ああ、御心配なく。

蹴りでも突きでも剣でも、何でしたら人間界謹製のミサイル等でもご自由に。


何を使おうとも当たりさえしなければ、何の問題もありませんわ。

ふん、後悔するなよ?







魔法使い?

そういえばダイヘルムに電撃飛ばしたりしてたな。

しかも魔界最強ときたか。

最強と言ってもあくまで「魔界」、天界の主神や地獄の魔王には及びませんが・・・


それでもその最強の称号を揺るがすものではありません。

ほう。
あとな、電撃だけなら別に怖くも何ともねぇ。


到達速度こそ不可避の領域だが、初めに当たったもんに流れちまう特性故に、防ぐこと自体はそう難しくないからな。


本当に怖いのは・・・






「さぁ盛り上がってまいしました!


まさに最高潮!

両者の緊張が闘技場全体に張りつめて来ております!


それでは最終戦・・・開始!」

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登場人物紹介

【魔神】

 別乃世・望(コトノヨ・ノゾム)


 世を憂い、異世界への転生を強く望んだ男。

 女神・悪魔・天使の力をその身に受け「魔神」と化す。

 その後は魔界の一角に領土を与えられ、一国一城の主となる。

【女神】

 アーマ・シュクレイム


 時空神アナザを主神とする女神。

 「魔神」別乃世・望を生み出すきっかけとなった責を問われて神界から魔界へ。

 別乃世・望の監視兼補佐役として送り込まれるが、実質追放処分である。


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【悪魔】

 トリカラ・マイウー


 強欲を司る地獄の第六団に所属する悪魔。

 死霊を操る邪法を司り、結果として「魔神」誕生のきっかけを創ることとなった。

 別乃世・望を監視する任を受け外交員として送り込まれるが、実質左遷である。

 

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【天使】

 メンタイ・ハクマイナー


 唯一神に仕えていた元天使。

 別乃世に力を奪われ魔界に身を堕としたが、神への信仰は失われてはいない。

 力を取り戻し、天界へ還る日を夢見る。


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【ゾンビ・クィーン】

 阿波津・玲子


別乃世に噛まれることによりゾンビと化した残虐少女。

他人の生命を屁とも思わぬ性根から、自らも多くのゾンビを生み出した。

天使との戦いで魔界に堕ち、別乃世の屋敷で使用人として無理矢理働いている。

【悪魔祓い】

 シスター・カッドロゥ


天使メンタイ・ハクマイナーに仕える使徒。

秀でた身体能力に神霊術を組み合わせ、幾多の悪魔を葬り去ってきた。

阿波津・玲子に食われ、魔界に堕ちた今も従順に神への忠誠を誓っている。

【妖精王】

 ヘラクレイス・ダイヘルム


平和主義の妖精王国フェアリア・フォーレストの王。

重い甲冑を身に纏いながらも暴風魔法を駆使した飛翔方法で高速移動を可能とする。

拳で殴る派。酒と女をこよなく愛する道楽王。

【妖精女王】

 モルフォリア・インセクリーフ


妖精王国フェアリア・フォーレストの女王。

彼女が国を回していると言っても過言ではない。

沈着冷静・常識派。

【小妖精】

 エフェメロ・プテラ


専ら伝令に使われる手のひら大の小妖精。

色々と雑い。

【実況解説妖精】

    リーン・クリケット


フェアリア・フォーレスト闘技場の専業実況解説。

風鈴のように透き通った、非常に良い声の持ち主。

【兎型メイド】

 コニー・リトルキャーロット


フェアリア城で働く獣人メイド。

基本は人型で生活するが、激しい運動の際には兎娘と化す。

弟大好きっ子。

【お使い兎】

 バーニィ・リトルキャーロット


コニーの弟。

人間年齢に換算すると10歳前後。

真面目に仕事に取り組むが、何かしらの失敗はするタイプ。

【闇の精霊】

 クラインノウン・ナロゥフレイド


魔界のさらに深部に潜む闇の精霊・シェイドの末裔。

縁あってダイヘルムに忠誠を誓い、フェアリアの守護衛兵長を勤める。

騎士道精神に溢れる騎士の鑑のような淑女。

【ソードマスター】

 フィラデルフィア・ウォルザンパー


妖精王国建国初期の英雄の一人。

並ぶ者無き剣の達人と称され、その斬撃は空をも斬り裂く。

【ウィザード】

 サンディエゴ・ノウルーウィー


妖精王国建国初期の英雄の一人。

あらゆる魔術の祖と言われ、近代に残る数々の魔術の基礎を作った男。

【ナックルカイザー】

 ダラス・ガイナーズ


妖精王国建国初期の英雄の一人。

剣と魔法の入り乱れる戦乱の世を拳一つで渡り抜いた無手の拳王。

【古の卑しき魔王】

 コクオブラァ


妖精王国の王家にのみ伝えられし伝説の魔王。

英雄と並び称された4人の戦士達によりフェアリア・フォーレストの地に封印されていた。


その身は幾度滅ぼされようと蘇る、つまりは不死身である。

(フェアリア・フォーレスト女王、モルフォリア・インセクリーフ述)

【妖精国騎士団長】

  ヘイヤリッパー・ホワイトライン


  クラインノウンと双璧を成す、妖精王国攻めの要。

二刀を操る剣の達人。

忠義に厚く、すこぶる真面目。

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