15.第三回戦・悪魔の術計、妖魔の輪舞
文字数 3,139文字
開始の合図を受け、背に伸ばした蝶の羽根を羽ばたかせて上空へと舞い上がるモルフォリア。
それを認めたトリィが、腰から生やしたコウモリ状の羽根を羽ばたかせて後を追う。
ここで会場の皆さまに捕捉説明致します!
当闘技場全体は結界によりドーム状に覆われているため、それ以上上空に昇ることは出来ません!
加えて観客席には魔王の禁術にも耐えうる防御術壁が張られていますので、皆様安心してご観戦下さい!」
モルフォリアが手をかざすと同時に、いくつもの巨大な火球がその回りに浮かび上がる。
それらは見る間に氷の結晶となり・・・
爆発的に生じた氷の蕀がトリィを捕捉する―――
その寸前にするりとそれをすり抜ける。
空気を切り裂く轟音と共に、雷の束がトリィに襲い掛かる。
トリィの求めに応じて空間に沸いて出た怨霊が、雷に絡め取られて瞬く間に溶け消える。
モルフォリアが手をかざすのを合図に、二人を取り巻くようにして煌めく何かが周囲を埋め尽くす。
途切れることなく放たれる光線術、それを大きく旋回しながら避け続けるトリィ。
だがそれは軌道の読めない無数の光の筋、すべてを避けきれるわけもなく、徐々にその身を焼き焦がしていく。
周囲を水のレンズで取り囲まれ死角のない状態であったはずだが、光線のズレから僅かにできた隙間を通り、トリィは光の包囲網を突破した。
トリィの繰り出した怨霊が、モルフォリアに届く寸前で大きな刃物で斬られたかのように両断される。
一瞬遮られた視界。
風の結界が全ての死霊を斬り払ったそこにはトリィの姿は既になかった。
周囲を見渡すが見当たらない。
まさかと下を見下ろせば、そこには地面に降り立ち魔方陣を描くトリィの姿があった。
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・・・・・・・・・ぁぁぁ