2.謀略の渦中
文字数 2,353文字
―――ふむ。
正直、争いの火種をバラまくつもりでここ10日程この国の周囲を探ってはいたんだがな。
あまりの平穏さに絶望しかけていたところに、この開戦の報だ。
「貴様もなかなかやるではないか」と見直していたところだったんだが・・・
・・・まぁいい。
戦争自体は望むところだが、誰かに踊らされているのなら気に食わん。
暗躍しているヤツがいるのならば炙り出してやる。
―――互いの情報を交換する必要があるな。
ひと息つこう。
アーマ、すまんが茶を淹れてくれ。
アーマがお茶の準備をしている間に呼び出されたのは天使メンタイ・ハクマイナー。
かつて別乃世の命を狙い、死闘を繰り広げた断罪天使である。
今は故あって、別乃世の館の一角に住み込んでいる。
だが、天使の扱う神霊術は我々にとっては未知数だ。
アタシたちの知らないような術を持っているかも知れん。
貴様がそこのアホに食われた「神性」を取り戻そうとしている以上、手放しで信用する気にはなれんからな。
どうせヒマなんだろう?
まぁ付き合え。
アーマが用意してくれた紅茶を一口啜り、トリィは話を進めた。
何よりも特筆すべきは、武力による問題解決を望まない「平和主義国家」であること。
これは魔界においては非常に珍しいことです。