7.平和主義的話し合い
文字数 1,947文字
ゆらり、と身体を揺らし、別乃世へと狙いを定めるダイヘルム。
どんっ
爆裂音と共に風を巻き上げ、恐ろしいスピードで別乃世に迫るダイヘルム。
何が起こったのか分からずに、呆気にとられる別乃世。
アーマの声に、現状を理解し我に返った次の瞬間には既に懐に潜り込まれていた。
それは打撃のためではなく、別乃世を宙高く放り上げるためのものであった。
打撃によるダメージはないものの、別乃世は天井近く、ゆうに十メートルは上に投げ飛ばされていた。
どごぉん!
再度響き渡る爆音と風の爆発。
ダイヘルムの身体は真っ直ぐ上―――別乃世を目掛けて飛び上がっていた。
がしぃん!
空中で逆さまになった別乃世の身体を抱え上げるように組み付き、両の足首をがっちりとホールドするダイヘルム。
どがぁん!
空気が爆ぜる。
別乃世を抱えたダイヘルムはその勢いに乗り急降下する。
どっごぉぉぉぉぉん!!!
轟音と共に尻から「着地」するダイヘルム。
その衝撃は凄まじく、石造りの床を砕き、陥没させた。
抱え上げていた別乃世の身体を放り出すダイヘルム。
投げだされた別乃世の元へ、アーマが駆け寄る。
経験したことのない衝撃に、思わず呻きを上げる。
足をぷるぷるがくがくさせながらも何とか立ち上がろうとするが、思うように力が入らない。
そして同時に呻きを上げるダイヘルム。
こちらも予想外の衝撃だったようだ。
すぐに半身は起こしたものの、尻を押さえて蹲る。
アーマの肩を借りて、何とか立ち上がる別乃世。
王の威厳かプライドか。
それを目にしたダイヘルムも、のそりと起き上がった。
その言葉を受け、ぎろりと目線をトリィに移すダイヘルム。
いきなり始まったダイヘルムの側室勧誘。
何が起きているのか分からぬ状況の中―――
ぴしゃん!
その言動にキレたトリィが火花を散らそうとしたその矢先、ほぼ同時にダイヘルム目がけて本物の電撃の筋が走るのが見えた。
ばちっ、っとモルフォリアの手のひらで電撃が爆ぜる。
毎度のことなのだろう、その笑顔の裏には誰の目にも怒りが見て取れる。