#16 アイト史上最悪の事件(後編)

文字数 5,128文字

前回のあらすじ


ベイビー派遣会社「BABU」の秘書であるシルフィーナが何者かに攫われてしまった。

そんな中、彼女を攫った誘拐犯のボスが倉庫街に現れる。これはかつて銀行強盗をした強盗団を

一網打尽にしたゴラゴラン、その場にいたアイト、シルフィーナへの復讐劇。

ボスは倉庫街を爆破し、一味と逃げ出す。


悪を許さないアイト、そしてベイビー達のリベンジが今始まる。


****


ここはレインボーブリッジ。

ボスと誘拐犯の一味が乗った走行車両を見つけるアイト。

Volt_Fantasia

み、見つけた…。絶対に許さないんだから!

倉庫街を爆破、そしてシルフィーナさんまで誘拐して…。

グラスちゃん、スピードアップ頼みます。えっ、僕!?

安心して!

もうグラスちゃんの運転慣れました。

今は逃走車両を追い掛ける事を集中しましょう!!

バッブブー! バブー!!
えっ、装着するの忘れてたんですか?

どおりでいつもと何かが違うって思ってたんだ!!

すっかりサングラスを忘れていたグラスは胸ポケットから取り出し目に装着すると、

まるで人が変わったかのようにアクセル全開、マフラから大量の煙を出しスピードマックス。

彼はサングラスを身に着けるだけでスピード狂になるベイビーでもある。

Volt_Fantasia

バブブー! バブブッ!!!
しっかり捕まって! だね…。分かった!

オルガちゃんもスピードアップです。

バッブー! バブバ♪
****


親玉とシルフィーナを誘拐した一味が乗っている逃走車両の中。

後部座席に深々と腰掛けているボスは何度も後ろの窓から追い掛けてくる

二人のベイビー、そしてアイトを見てニヤリを微笑んでいる。

そしてサイドミラーに映る彼等を見ている運転手もまた然り…

Volt_Fantasia

ボス、さっきの彼等が来ています…。

対応の程、お願いします!!

私達にタテ突こうという事ですね…。

良いでしょう。ちょっと拳銃を貸して貰えませんか? 私が撃ちます…。

このレインボーブリッジを渡り切るまでに処理しましょう。

サンルーフを開けて下さい…。

助手席に座っている一味がサンルーフを開けるボタンを押し、

ボスはそこから拳銃を構え天井から顔を出し、アイトとベイビー達の方向を見る。

Volt_Fantasia

ここがお前等の墓場だ…!
拳銃から発射された弾丸はグラスが乗っているバイクの横を通り過ぎ、背後のトラックのタイヤ部分に

当たりパンクをしてしまい大横転。トラックの後ろを走行していた車両に乗っていた人は

すぐに察して車から逃げ、そのままエンジンオイルが漏れ大爆破…。※これはフィクションです。


後ろで燃え上がるトラックや走行車両を見て愕然とするアイト。

Volt_Fantasia

何という事をするんだ…!

この世の中、車だって買うのに手続きから購入まで色々あるんだ…。

必死に働いて、お金を稼いでやっとの思いで買えた

その喜びを…、踏み滲むなんて…許せない!

うるせえんだよ!

後ろを走行していた車が悪い、ただそれだけだ…。

ボス…す、すみません。

レインボーブリッジを渡り越しました…。

ここから先の銃乱射はお控え下さい…!!

分かった…。サンルーフを閉じてくれ。

そういう事だ。悪いな!!!

後ろを走行している三人に不気味な笑いを零し、サンルーフを閉じて自分の席に座る。

車両はお台場の方に向かって、徐々に派遣会社「BABU」がある方向へと走り始めていく。

やはり、シルフィーナが監禁されている場所は派遣会社近くの建物内!?

Volt_Fantasia

****


ここは有明。

一足先に辿り着いたのは上空で街の様子を見ているゴラゴラン。

もちろん様子見と共に、シルフィーナが何処に監禁されているのかも探している雰囲気。

時間で言うと夜の18時。周辺のビルも退社時間を過ぎて明かりが消えていくので、

探すのが困難な時間帯になって来た事も察している。

Volt_Fantasia

バブバァ♪ バッブー!

バブブ―!!!

バッブ! バッブブ!!
上空にいるゴラゴランが何かが屋上で動くのを見つけ、降りるとそこにはオルームの姿が確認出来る。

何か伝えたい事があるらしく、スキル「修理」で直した看板の方を振り向く。

Volt_Fantasia

バブッ♪ バブバブ!!

バブー!!

バッブブ! バブー!?
バブバァ!!!
どうやらオルームが修理した看板には極秘でシルフィーナからの伝言が込められていた。


修理した看板には「アイケイムゲームズ」と記されており

アイケイムの部分だけライトアップされている。もちろんこれも彼のスキルで直した物。

さすがにゴラゴランだけの力だけでは助け出せないと思ったオルームがアイトを連れて来るように

指示をして、急いでアイトの元へと向かい始める。 


*是非シルフィーナからの伝言を解いてみて下さい。

ごちゃ×ラビのいずれかのエピソードを見ていれば分かります。

Volt_Fantasia

****


シルフィーナが監禁している部屋に突然ベルが鳴り響く。

Volt_Fantasia

きゃっ!?

もう…何かしら! 突然過ぎてビックリするじゃない…

鳴り響く方に行くと、そこにあるのは残り30分と表示されている時限爆弾。

どうやら今も逃げている逃走車両に乗っているボスがスイッチを入れ作動させてしまったようだ…。

Volt_Fantasia

えっ…ってこれ、時限爆弾じゃない…

残り30分じゃない!? 早く逃げないと!

もうっ、何で扉が開かないのよ!!!

でも、数々の試練乗り越えてきて色んなベイビー達と交流してきたアイトくんなら、

必ず助けに来てくれるって信じてる…。

だから、待ってるね!!

****


有明付近に辿り着いたグラス、オルガ、アイトの元にゴラゴランが上空から降りてきて

現在シルフィーナが置かれている状況、そしてオルームの状況を事細かく伝える。

Volt_Fantasia

バッブ♪ バブブ!!

バブー!! バブー!!!

えっ?

オルームちゃんが僕に!?

読めない文字が…? そこにシルフィーナさんがいるんだね。わ、分かった…。

オルガちゃん、グラスちゃんはこのまま逃走車両の追跡お願いします…。

僕はゴラゴランちゃんと、現場に向かいます。

絶対に犯人の一味を僕たちで逮捕しようね!

バブブ!!!
バッブー♪
****


監禁部屋に仕掛けられた時限爆弾は残り10分…。

少しずつ焦りが見えてきたシルフィーナは、一瞬だけどアイトの声が聞こえたようで立ち上がり

声を張り詰めて必死で「こっちよ!」と叫び出す。

彼女の声は彼に届き、オルームが修理した看板の元にゴラゴランに乗ったアイトが到着する。

Volt_Fantasia

この建物か…。アイケイムゲームズ…。

ん? まさか…。シルフィーナさん、僕にこんなメッセージを!?

切羽詰まった状態でもあの事覚えてくれていたんですね…

アイトくーん、聞こえるー!?

5階に来て!! 扉が開かないのよっ!!!

シルフィーナさん!?

5階ですね…、今行きます! ゴラゴランちゃんも付いて来て!!

バッブ!!!
外にある非常階段を上り、5階の扉の前に急ぎ

部屋の前に積んである重荷をゴラゴランのスキル「膨張」、

そしてアイトが必死に横へと積み上げて行く。どおりで扉が開かない訳だ。

ただ部屋に仕掛けられた爆弾は徐々に時を刻み、残り5分に達していた。


扉の前に置かれた重荷をどかし、無事にシルフィーナが捕らえられた部屋に入ろうとすると

その時限爆弾は何かの影響で物凄い勢いで0秒になってしまい、目の前は突然強い光に包まれて

建物は半壊されてしまう。アイトは吹き飛ばされ昇ってきた非常階段の鉄塔にしがみ付いているが、

いつ力尽きて落ちてしまっても可笑しくない。

Volt_Fantasia

ど、どうすれば…アイトくんを助け出せるのかしら?

せっかく来てくれたのに、何にも出来ないなんて…。

いや…待って。

あそこにアイトくんが居るのなら、布っぽい物があれば助け出せるわ…。

感じはターザン…。でもチャンスは一回…

し、仕方ないですわ。私のミニスカートを…

シルフィーナは自分のミニスカートを引き千切って鉄塔に縛り付ける。

半壊した建物から鉄塔にしがみ付いてるアイトを助ける為なら

自分が身に着けている物も犠牲にする。そして彼女は少しダッシュをし、縛り付けた布を

持ちながら必死のジャンプをして鉄塔へと飛び移る。

まるで何処かのアニメ劇場版を見ているようだ。

Volt_Fantasia

アイト君…! 大丈夫!?
て、手が…。はぁ…、はぁ…。

シルフィーナさん、無事で良かったです…!

アイト君、助けに来てくれてありがとね! 

待ってたんだよっ!! さあ、降りましょう…

はいっ。
半壊が止まっている隙に無事にシルフィーネはアイトと共にアイケイムゲームズを抜け出す。

たださっきまで重荷を一緒に退かしたゴラゴラン、そして看板の修理をしたオルームの姿がない。

Volt_Fantasia

あれ?

ゴラゴランちゃんとオルームちゃんがいない…。

何処に行ったのかな? それにさっきからパトカーのサイレン音が。

なるほど…。アイト君、私達も行きましょう。皆の狙いが分かりました。

私を助ける為に策を練ってくれたんじゃありません?

はい。僕もシルフィーナさんを助けるのに一生懸命で…!
アイト君、これも勉強です…。

実はこの街で事件が起きた際に一番逮捕率が高いベイビー

グラスちゃん、オルガちゃん…、

そしてゴラゴランちゃんにオルームちゃんの4人なのよ!!

えっ、そうなんですか!?
さあ、行きましょう。場所はこの街の埠頭よ!!! 

それに多分あのベイビーが…。

いや、こっちの話よ。

****


このお話もクライマックス。

場所は埠頭。沢山の刑事とポリスベイビーことグラスが先回りして

ボスと犯人の一味が乗っている車両周辺を逃げられないように囲み始める。

Volt_Fantasia

[警察B]

君達、もう逃げ場はないぞ…。大人しく降参しなさい!!!

[警察A]

悪いな、俺達も指を銜えてあの時逃した訳じゃないんだ…。

常に先輩であるポリスベイビー「グラス」さんから連絡が来ていた。

警察を舐めるなよ…!!

うっ、うるさい…!!!
ボスは拳銃を警察に撃ち込むが、別に驚きもせず一歩ずつ前に歩き出し

彼が所持しているチャカ(拳銃)を折り曲げてしまう。

Volt_Fantasia

ひっ…!! け、拳銃が…。

お、お前…。一体何者なんだ!?

[警察A]

表の顔はグラスさんの後輩刑事、

そして裏の顔はスキル「曲折」を持つ派遣会社「BABU」のベイビー。

知ってるか…、おしゃぶりを銜える銜えないかで2つの人物を操れるんだ…! 

俺の名は…

[警察A/クロス]

クロスだ…。以後お見知りおきを…!
バッブブー!♪
そうか…。参ったな、ベイビーに逮捕されるなんて…!

まあ、これも運命か…。降参だ…!

ボスと犯人一味は刑事の人達に連行されていく。

それを見届けるグラス、オルガ、ゴラゴラン、そしてオルームの計4人。

ただ、その逮捕劇を終わった10分後にシルフィーナ、アイトが埠頭に到着したので

彼等の活躍を見る事が出来なかった。

Volt_Fantasia

えーっ、もう逮捕されたんですか?

ちょっとショックです…。僕が捕まえたかったのに…!

シルフィーナさんの誘拐、倉庫の放火、どれも許されませんよ…!! 

悪は嫌いなんだ…

いや、十分だよアイト君。

私を必死になって助けてくれたじゃない? それだけでも嬉しいよ…。

やっぱり貴方は良い社員になれるわ…。

(もうそろそろ社長に会わせないといけませんね…)
こんなに体を張ったのは初めてだ…

僕、社員としてベイビー達に少しでも貢献出来たかな?

それが一番心配なんだよな…。

バッブー♪ バブバブ!!
バブバァ♪ バブゴラァ!!
バブブッ! バブバー♪
バブー! バブブ!!
やっぱり!

皆もアイト君には感謝してるみたいですね…

良かったです! 私の目に間違いはなかったわ。これからも宜しくね!!

みんな、ありがとね!!

ベイビー達に少しでも貢献出来たのを素直に喜んでいる。

そして、倉庫で犯人に呼びかけをしていた警察兼ベイビーであるクロスは

アイトに興味を持ち始めてやって来た。

Volt_Fantasia

君がアイト君だね! 倉庫の時、ボスに放ったセリフはカッコ良かったぞ。

俺もBABUの派遣ベイビーなんだ。忙しくて会社に行く時間を作れない…!

社長から君の噂は聞いていてね、いつか会いたいと思っていた…。

もし良かったら連絡先を教えてくれないか?

あ、ありがとうございます!!

僕で宜しければ! これ携帯ですので、ご登録お願いします!!

あっ、おしゃぶり銜えるの忘れてた…

ベイビーと触れ合うのが仕事なんだったけ…。なら少し待ってろ!

ポケットに閉まってあるおしゃぶりを口に銜えて、まずはアイトの連絡先を登録しようと

携帯を持とうとした瞬間、間違ってスキルを発動してしまい…


[悲報:アイトの携帯折れる]

Volt_Fantasia

うそおおおおおおおお!!!!!

け、携帯があああああああ!!!! ショック!!!

最後にシルフィーナさんからの伝言の解答です。


アイケイムを英語に置き換えて訳してみて下さい。「私が来た。」という意味になります!

ごちゃ×ラビBABYS!#7のごちゃラビクエストと言うお話にて

ラスボスであるシルフィーナさんが言ったセリフです。


悪を絶対許さないアイトの史上最大な事件はこれにて終わり。

今度は是非、派遣会社「BABU」にてお会いしましょう。   


‐完‐

Volt_Fantasia

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登場人物紹介

アイト

ひょんなことからBABUの新入社員になった少年。

ベイビー、未来とティムのファン。

シルフィーナ

BABUの人事部兼秘書の女性。

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