#22 ごちゃラビクエスト2~魔王アイトのRPG~

文字数 4,003文字

おのれ勇者め!喰らえー!
ハァァッ!ごちゃごちゃキック!

アイトの家。

アイトは、アニメを観ながら横になり、ポテトチップスを食べていた。

orurunshoboon

あ”~~~~

今日も猛暑。「夏だから仕方ない」とはいえ、どうしてこんなに暑いのか。

クーラーに扇風機、うちわにアイス。オアシス気分に浸りながら、アイトはボーっとしていた。

すると、ピンポーンとチャイムが鳴った。

orurunshoboon

あ”~~~~?

ガチャガチャ ガチャガチャ

カチャン

キィ…

orurunshoboon

あ”~~~~

「こんにちは」なのか「おはよう」なのか、ダミ声を出すアイト。

すると、全てがスローモーションの中、1人のベイビーが玄関からジャンプし…

orurunshoboon

お~~~は~~~
あ”~~~~~~~~
バァ~~~ブゥウウウ~~~~
あ”~~~~~~~~?

あろうことか、アイトの大事な大事な股間の真上にドスンと着地。

しかも、バランスを崩しベイビーの膝が、それも筋肉の岩石のような塊が、わずかに避けようとしたアイトの最後の抵抗も虚しく、試合終了のゴングが鳴り響く…。

orurunshoboon

あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”

ーー


で。

orurunshoboon

ボクに何の用ですか!恨みでもあるんですか!!
いや、手で股間を守って怖がらなくても…!すまなかったバブ!
ベイビーコワイ ベイビーコワイ

【グラリオ】

あぁそうだ、初対面だった!すまない、自己紹介をしよう!

私はグラリオ!グラリオベイビーだ!ベイビーの力のバランスを保つため、パトロールしているのだ!

力のバランス…?
そうだ!私達ベイビーには不思議な力がある。この力の効果は様々だが、使い方を誤ってはいけない!そうならないように、パトロールをしているんだ!!

わぁ…!熱血派だ…!ゴラゴランちゃんに似てる……

あいや、彼はどっちかっていうと破天荒なベイビーか……


ふむ、ゴラゴランといえばBABU所属のベイビーだね?

彼はド派手にやるのが好き、とても熱心、BABUの平和は任せて良いと判断しているよ。

知ってるんですね!
そんなにかしこまらなくてもいいさ。私は…そうだな、「グラちゃん」と呼んでくれ!
えっ。かわいい…

ふふっ。私もそう思ったよ。

ううむ、前にも同じ事があったような…?メモをしておこう。

さて、じゃあ行くか!
行くってどこへ?
電脳世界さ!私は勇者の相棒、グラちゃん!腕が鳴るな!!
勇者!?相棒!?何言って……!?

グラリオベイビーは、せかせかとゲーム機にゲームソフトをセットする。

続いてテレビをつけ、入力切替を押して大きくガッツポーズ。

orurunshoboon

待ってろよ!!!みんな!!!

そのゲーム…!ごちゃラビ――

う、うわああああああああああああああああ!!!

****


光に包まれたアイトは、目を開ける。

目の前には大きな魔法陣があった。

orurunshoboon

あれ……ここどこだ……?
おお魔王よ!何百年もの眠りから解き放たれたか!!
何を驚いているのです?さぁ、あなた様の忠実なる下僕達に勇姿をお見せください!!
まっ!?ままままままままままままままま
我らが魔王軍よ!!!この世界の支配者、アイト様がお目覚めになったぞ!!!立ち上がれええええええええええええええええええええええええ!!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

orurunshoboon

魔王!??

アイトは驚くあまり腰が抜けてしまった。

広い荒野に、大破した建物。おびただしい人間の死体が転がり、炎が燃えている。

そして、スライムやスケルトン、鬼やサイクロプス、さらにはドラゴン、ゲームの中でしか見たことがない異形の者達が、剣や斧、さらには弓を掲げ、大きく叫んでいる。

まさに圧巻。

orurunshoboon

どっ…どうなってるの!??

グラちゃん!勇者の相棒なんでしょ!?こんなのがやってきたらヤバイよ!!

どうしました?まさか、永い眠りのせいでボケている…?

私達魔王軍は、勇者とその仲間を消してこの世界を我らの物にするため、選りすぐりの強豪を編成したものです!!!

確かにめちゃくちゃ強そう…!
すでに、勇者の仲間にヴェイルノートというベイビーがいるのを確認済みです!
ヴェッ ヴェイルノートおおお!?

(ヴェイルノートってあのベイビー!?

ええと確か、警備員の人がベイビーになった時の犯人だったはず……。シルフィーナさんとベイビールームに入って……。)

『おや、アイト君。こんにちは。』

(そうそう。確かこう言われて…。

なぜか人間の姿をした、あのベイビーだよね……?

そのヴェイルノートちゃんがどうして勇者の仲間になってるんだ…?)

魔王様、魔王軍を指揮しているのは私だけではないんですよ。もうすぐ偵察班が戻るはず……ん?

すると、1人の少年が剣を構えてやってきた。

orurunshoboon

現れたな魔王軍め!!父ちゃんの仇をとってやる!!
フッ…人間1人でどうするつもりだ?よく周りを見てみろ!このモンスターに勝てるのか?
なっ…なんだこの数!?

その時、どこからともなく声が聞こえた。

orurunshoboon

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

orurunshoboon

な、なんだ今のは!?上!?
おお、帰ってきたか!!轟鬼!!

グラリオが叫ぶと、赤髪の青年が上空から炎を纏いながら落下してくるのが見えた。

orurunshoboon

なななななななにあれ!?もう隕石だよ!??
ひっひいいいいいいいいいい!?

慌てて逃げようとする少年。

しかし赤髪の青年は、上空からものすごいスピードで人間の一歩前に落下。

ものすごい強風と衝撃波で、大破した建物は粉々に砕け散り、炎の燃える荒野になってしまった。

orurunshoboon

た、助けてくれぇ!お願いだ!命だけは!!

あまりの衝撃に命乞いをする少年。

しかし、遥か上空から落下してきた赤髪の青年は、冷酷な顔をして少年を睨む。

ただ………具合が悪かった。

orurunshoboon

ヴェエエエエエエエ!!!
顔色悪っ!!!
おい轟鬼(ごうき)!汚いぞ!!!

【轟鬼】

ただいま戻りヴェエエエエエ!!!

何だその顔は!!ちゃんと薬を飲んどけと言ったはずだぞ!!
毒草食ったらこうなったんだ!!!
ええええええええええ!?毒を受けてるの!?大変だよ!グラちゃん、なんとかしてあげて!!
グラちゃんではありません!グラリオ将軍です!!
ううう……

バタッ

orurunshoboon

轟鬼様が倒れたぞ!

orurunshoboon

大変だー!

orurunshoboon

誰かゴラゴラン様を呼べー!

orurunshoboon

えっゴラゴラン!?ゴラゴランちゃんいるの!?
YES!!マッスル!!

股間のヒールポーションを喰らえ!!

するとゴラゴランは、あろうことか下半身を露出し、轟鬼に向かって……

ジョボジョボジョボジョボ……

orurunshoboon

ウム!!!よく出るなぁ!!!
はい元気!!!
ボ、ボクの知ってるゴラゴランちゃんじゃない~………
バタッ

orurunshoboon

魔王様!?魔王様ーーー!!
大変だ!今度は魔王様が倒れた!!
何でかなぁ?
おーーーまーーーえーーーらーーー!!!

****

orurunshoboon

う……あぁ、夢か……
お目覚めかぁ!!!
ゆ”っ!?
チーン

orurunshoboon

ああっ!魔王様が再びお眠りに!!
おい轟鬼!また食ったのか!!
はははは!大成功!デッデデーー!
ドッキリ大成功!これはマジックペンだ!!どうだ、おもしろかったか!?
しばらくお待ちください。

orurunshoboon

オレが悪かった!
もう毒草は食べないぞ!
まったく…魔王様、大丈夫ですか?
う、うん…

(それにしても、轟鬼って人すごい怖い顔してるなぁ…おしゃぶりしてるって事はベイビー、だよね…?グラリオさんも会ったばかりでよくわからないし、どういうベイビーなんだろう?)

ふーむ…こういう時、軍隊長がいてくれたらなぁ……
軍隊長!?グラちゃんが軍隊長じゃないの!?
ええそうです。軍隊長はとても強く、優しいお方です。魔王軍をこの地まで指揮するだけではなく、魔王様がお眠りになられている間、私やゴラゴランに「無理するなよ」と一言かけてくれたり、人間の町へ自ら資源物資の回収へ行ってくれたり……。

まさに「四天王」の頂点に輝くお方です!!

えっ……四天王……?
この魔王軍を指揮し、あなた様に服従する精鋭です!改めて自己紹介しましょう!
オレはゴラゴラン!愛と勇気と遊び心で魔王軍を盛り上げるエンターテイナー!自慢の筋肉で敵を粉砕するバブ!!

俺は轟鬼!!三度の飯よりドッキリと熱い炎が大好き!将来の夢は人気ユーチューバー!


こんちゃーす!轟鬼だ!!

今回は!「魔王様にドッキリをしてみた!」結果は大成功!!イェーーーーーイ!

そして私がグラリオ!トラブルメーカーの2人をまとめ、魔王様のパートナーとして支える所存!グラリオ将軍!!!

【大文字タケル】

俺が大文字タケル!!!魔王アイトの四天王の1人!パワーとハートでひたすら突き進む!魔王軍はお任せください!!

よっしゃあ!!!

【ゴラゴラン/轟鬼/グラリオ/大文字タケル】

魔王様!勇者を倒し、我らの未来に永遠の闇を!!!

orurunshoboon

えっ……えっっ…………!えええええええええええええええええええええええ!??
おお!大文字軍隊長!!いつの間にお戻りになって…………あ、アイト様!アイト様ー!!
水だ!水を持ってこい!!
(ああ、目の前が真っ暗になってく……どうしてこんなことになってしまったんだ……!助けてグラリオさん……!助けてゴラゴランちゃん……!助けて……シルフィー…………)
バタッ

orurunshoboon

****


一方、遥か遠くにある城。

『せやかてバブバブ城』。


地下にあるBAR。『セイラのなんたら・オブ・ジョイトイ』。

魅惑といい匂いでいっぱいの店内に、大泣きするヴェイルノートベイビーと女性のベイビー達がいた。

orurunshoboon

バブァ〜!
う〜ん…ポールダンス、まだ早かったのでしょうか…?とても泣いています……お注射しますか〜?
おい!お前の注射器の中、色がおかしいぞ!

普通血は赤だろ!どうして紫に変色してるんだ!

…犠牲はつきものです♪
おい誰か止めてくれ!!!

困ったにゃあ……

あっ!すみません!さっきポールダンスをしていた方ですよね?とってもキレイだったにゃ!

あら?………うふ♪やっと見つけた♪

orurunshoboon

実はお願いがあって、ヴェイルちゃんを癒してあげてほしいにゃ!お願いにゃ!
わかったわ♪

ベイビーのヴェイルノートちゃん、ダスターちゃん、ライカちゃん、ナナちゃん、こ・ん・に・ち・は♪

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登場人物紹介

アイト

ひょんなことからBABUの新入社員になった少年。

ベイビー、未来とティムのファン。

シルフィーナ

BABUの人事部兼秘書の女性。

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