#15 アイト史上最悪の事件(前編)

文字数 3,249文字

うぅ…、ここは何処だ…。

確か出社してすぐにオルガちゃん、グラスちゃん…

確か後ゴラゴランちゃんもいたんだけど、記憶が定かで覚えてない…。

近くから車の音や、トラックが走る音…、そしてこの独特の地響き

何処かの橋を何かに乗って走行している感覚。

そしてアイトが目を開けて彼が目の当たりにした景色とは…

Volt_Fantasia

バッブー♪ バブー!!
バブブ! バブゥ♪
えっ!?

ちょっ、ちょっと! ここレインボーブリッジ!!!

き、昨日ここゴラゴランちゃんと通った…。ってか…ぐ、グラスちゃん!!

右からトラックが来てる!! よ、避けて!!!

グラスは泣く子も黙るポリスベイビー。そして

オルガはスキル「ダッシュ」を所持しているベイビーで

ある意味ツーリングに近い事をグラスと一緒にやっていた。


今日もエンジンを吹かして右から来ようとしてた

トラックを寸止めの所をギリギリ交わして、高度なバイクテクを見せながら走行していると

バイクに装着しているデバイスからシルフィーナから連絡が入る。

Volt_Fantasia

アイトくん、聞こえるかしら?

お尻は大丈夫!?

な、なんとか痛みは治まりました…。

ただ、何故こんな場所にいるのか覚えてなくて…

あら、だって今日の任務は…
ちょ、ちょっと…!

触らないで頂けませんか!?

きゃっ…! もっとレディーには清楚に振舞って欲しいわ。

う、うるせーんだよ、このアマ!

俺等の言う事をきちんと聞けよ!!

今、レインボーブリッジ周辺に俺等のボスがいる…。

あの時の銀行強盗の恨み、今晴らしてやる。

俺等はこの前ゴラゴランというベイビーにやられた仲間の一人なんだ…。

そこに女がいた。そう派遣会社「BABU」で秘書を務めているシルフィーナ!! 

そう、お前だよ…。どうせベイビーが何処かで聞いてるんだろ? 彼女を誘拐する…

探し出してみろ…。じゃあな!!

あ、アマですって!?

ちょっと汚い手で触らないでちょうだい…。

銀行強盗…? まさか貴方達…!!

アイト君! 一つだけ言わせて…。もうすぐゴラゴランちゃんが到着するから…

レインボーブリッジから飛び降りるのよ!

じゃあね!! 必ず助けに来てね…待ってるわ。

え、えっ…!

レインボーブリッジから飛び降りる!?

で、でもゴラゴランちゃんの事だからまた上空で、ギリッギリの所飛ぶのかな…?

なんだかんだ言って昨日は楽しかったからなー。

バイクで走行していたグラスとダッシュで駆け抜けていたオルガと

お別れを告げ、躊躇いもなしにアイトはレインボーブリッジを大ジャンプ!

まるで洋画並のアクション。※良い子はマネしないでね。


上昇気流なんて物ともせず落下していくアイト。

勇気を出して飛び降りたのはいいが、なかなかゴラゴランが到着しない…

Volt_Fantasia

ああ、風が気持ちいい…

ゴラゴランちゃんまだかなー。また大空の旅したい!!

…………。

Volt_Fantasia

あれ? まだ来ないの?

ちょっと…! 海に落下しちゃうよ!!

だ、誰かああああああああ!!!!! ヘルプ!!!!

その時、海面を走るかのようにゴラゴランが到着しアイトを無事にキャッチ。

スキル発動中の彼の分厚い筋肉に支えられながら "とある場所" へと移動を開始する。

Volt_Fantasia

バブブ!♪


バブゴラァ!!♪

こ、この合図は…、スピードアップ…!!

しっかりゴラゴランに捕まらないと…、落とされる!!!

ゴラゴランちゃん、今日も宜しくね!
バブバァ♪ バブブー!♪
なになに…、急上昇するから俺にしっかり捕まって…。そうか…!
えっ!?
ゴラゴランは自分の胸を思い切り強く叩き、

物凄い水しぶきを上げて、アイトを連れて大空へと舞い上がっていく。

Volt_Fantasia

ちょっとおおおおおおおお!!!!
****


時は同じく、ここはシルフィーナが捕まっている何処かの建物の中…

だが犯人グループは相当自信があるようで、

部屋に閉じ込めただけで手錠とか縄で縛り付けてはいない様子。

Volt_Fantasia

ちょっと薄汚いわね…

早くBABUに戻らないと行けないのに…

困ったわ。早くここから出る方法を考えないと。

ガチャッ

Volt_Fantasia

やっぱり扉は閉まっているわ。

そうなると、残りはここにある窓。

でも見えないようにガムテープで固定されている…。

それ以外だと、残りは通気口だけになるわ…

何か通気口の中から音がするわね…。

だ、誰…!? ネズミかしら!?

シルフィーナは通気口が妙に気になって開けてみると、そこにはオルームの姿が。

何故このような場所にいるのかは気になるが、中に入れるか試す。

大人の女性にはさすがに無理があり、オルームに "とある提案" を持ち掛け再び通気口に戻って行く。

Volt_Fantasia

バブ♪ バッブブー♪ バブッ♪
バブブ♪ バブッ♪(訳:例の件、宜しくね!!)
バブブー♪
(オルームちゃんは修理スキル。確かこの建物には…。

アイトくん! 私からのメッセージ、受け取ってね!!)

****


その頃、レインボーブリッジを走っていたグラスちゃん、オルガちゃんはとある倉庫街へ到着。

そこにはゴラゴランちゃん、そしてアイトの姿も確認できる。

そう、彼等の今日の任務はこの倉庫街に潜む悪の親玉を捕まえる事…

Volt_Fantasia

こっちに来てみろ!

この倉庫ごと爆破してやる!!!

みんな、道連れだ!! そう、あそこにいるベイビーもだ。

俺等の仲間はアイツらに確保された。その復讐なんだ…

特にあの赤い髪の毛をした奴、俺はあいつを絶対許さない…

おい、ここで何してる!? 無能な警察ども…。

彼を逮捕しろよ!! ベイビーだろうが関係ないだろ!!!

このご時世、逮捕も出来ないのか?

【警察A】

彼は派遣会社BABUの正式な派遣ベイビー。

取り締まる事は出来るが、逮捕する事は出来ないんだ…

それにあの会社は普通とは違って、様々な分野で功績を成したベイビーが沢山いる。

我々もお世話になっている大切なクライアントなのだ…。悪いな…

そうか…。交渉決裂だ…!

俺の優秀な部下がBABUの大切な秘書、シルフィーナという女は誘拐してるんだ…

取引が成功したら解放しようと思ったが、もう我慢の限界だ…。

ここを爆破してやる!!!

悪の親玉の怒号が倉庫街に響く、だけどアイトも様子が可笑しい…。

何か言いたい雰囲気で、さっきから怒りの衝動が治まらない様子。

Volt_Fantasia

ゴラゴランちゃんを一体何だと思ってるんですか!?

初めて会った時、とんでもない赤ちゃんだと思いましたけど

彼は正義の為にどんな悪も絶対に許す事は出来ないんです。

貴方のような親玉にも絶対に屈しないです!

その時、親玉が隠し持っていたピストルの弾丸がアイトの肩を掠める…

Volt_Fantasia

黙れ…!

お前、あの時いたな…。ふん。正義か…。俺の嫌いな言葉だ!!!

悪いな、シルフィーナがいる建物にも爆弾が仕掛けられているんだ…。

お前の大切な秘書も木っ端微塵だ…。ハハハ!!!!

うっ…。

こんな掠り傷、痛くなんてありません…

ゴラゴランちゃんに謝るのは貴方の方です!!!

その時、シルフィーナを拉致監禁した残り二名が

倉庫街に車でやって来て親玉を連れて逃亡しようとしていた。


Volt_Fantasia

逃げるのか!? 卑怯だぞ…。
俺が逃げるとでも、思うか?

綺麗な花火を見に行くんだよ、爆破と言う名の…花火をな!!!

早くしないとお前の大切な秘書も居なくなるぞ…

じゃあな!! また何処かで会おうな。

親玉が乗り込んだ車は倉庫街をどんどん離れていく。

そして彼が持っていたスイッチをカチッと押し、倉庫街は火の海と化してしまう…。

掠り傷を抑えながらその光景を目の当たりにするアイト…

Volt_Fantasia

酷い…。何だと思ってるんだ!?

グラスちゃん、オルガちゃん、そしてゴラゴランちゃん…。

ボクに力を貸してくれないか? シルフィーナさんを助けて、あの親玉を捕まえる!!

悪は許しちゃいけないんだ…。

バッブ♪ バブブー!♪
バブ! バブブー♪
バブバァ♪ バブブ!!
みんな、ありがとう!!
さあ、シルフィーナさんを助けに…そして親玉を捕まえに行くぞ!!!
これは彼が入社してから初めてとなる史上最悪な事件。

放火、そして誘拐…。ベイビーがいるこのご時世でもこういう事件は絶えない…

でもまさかこの事件が以前描かれた銀行強盗のお話と繋がっていたとは予想はしなかっただろう。


アイト、いざベイビー達と共に悪に立ち向かえ!!!


後半へ続く。

Volt_Fantasia

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登場人物紹介

アイト

ひょんなことからBABUの新入社員になった少年。

ベイビー、未来とティムのファン。

シルフィーナ

BABUの人事部兼秘書の女性。

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