#26 チョコレートの罠!垣間見得るエディールの存在!!

文字数 2,894文字

【前回のあらすじ】

今日から1週間、ベイビー達の健康診断が行われる。

アイトはベイビー達を診る担当のヘレンから、ベイビールームにいるドロアとゲイミを

連れて来るように言われたけど、二人はチョコレートに関して喧嘩をしていて

ドロアが部屋から飛び出すように何処かに行ってしまう。


アイトはゲイミと突然現れたゴラゴランと共に無事に居なくなったドロアを見つけ出せるのか…。

Volt_Fantasia

シルさん、大変です!

ゴラゴランちゃんの背中にアイト君とゲイミちゃんがしがみついています!

こっちはもう手が付けられない状態ですっ!!

応援の程、お願いします!!

えっ、またゴラゴランちゃん…もうっ!

ヘレンちゃん、今回もお願い出来るかしら?

仕方無いわね…。でも常にベイビーは元気が無いといけないわ。

ちょっと記憶は定かですけど、確か最近変わったニュースが報道されてたの覚えてます。

じゃあ、シルフィーナさん…行きましょう。

成す術なくて…、すみません。
****


社内、廊下にて――。

ゴラゴランの「バブゴラァ!」発言によりスキルを暴発させながら

壁や社内にある植木鉢を壊し、まるで準備運動をしているかのように廊下を滞空していた。

Volt_Fantasia

ゴラゴランちゃん、お願いだから止まって!!

社内が…、社内が壊れてしまう!!

う…、うわっ!

だ、誰か助けてくれー!!!!

ゴラゴランちゃんは滞空状態からその社員に向かってタックルをしてしまい

ほんの少し飛ばされてしまう。


ちょうどその時…、

階段を物凄い形相で駆け上って来たヘレンとシルフィーナさんに助け出される。

Volt_Fantasia

あ、シルさん…それにヘレンさん…。

助けてくれてありがとうございます…!!

すみません。俺じゃ手が付けられないです…

ちょっと、ゴラゴランちゃん…

暴れないの!! どうしたの…?

バブバ♪ バブブ!?(訳:何があったか教えてくれない?)

そうだったわ…。ゴラゴランちゃんは「バブ」しか喋れなかったわね…。

えっと、おしゃぶりは…。あ、あったわ…

バッブブー♪ バッブー!?(訳:何があったか聞かせて!)
バッブ!! バッブブー♪ バブバァ!!
ちょっと…、急いでいる…って何処に行くの!?

ヘレンさん。ゴラゴランちゃんの足を抑えて!!

バブバァ♪(訳:分かったわ)
急いでいる! ただその一言だけで止まる事を知らないゴラゴランは

すぐそこにあるトレーニングルームの扉をぶち破り、右足をシルフィーナ、左足をヘレンが掴み

引きずられながら、以前修繕したばかりの窓をぶち破り外へと出始め


彼の背中をずっと掴んでいたアイトの手は痺れを切らし、

ゲイミ以外は1階にあるプールへと落下してしまい、

そのまま何も知らないでゴラゴランはドロアを助けに行って言ってしまった…。


****

ここは1階、プール――。

落ちて濡れた洋服を乾かしながら、ヘレン・シルフィーナの2人と

ドロアとゲイミの身に何があったのか一字一句話し始める。

Volt_Fantasia

なるほど…。ドロアちゃんがチョコレート搭載のタンクローリーを見つけた事を

ゲイミちゃんが"そんな訳ない!"って否定しちゃったのね…。

あら。私も今日チョコレートのタンクローリー見たわ。

確かエディールベイビーの宅に来ている筈よ…。

えっ、ヘレンさん…。

確かエディールちゃんは…

ここはエディール宅の前に止まっているチョコレートタンクローリー。

その中には彼が閉じ込めた"ドロア"の姿が…。

Volt_Fantasia

うううううう…。

チョコに塗れる…ってちょっと…

助けなさいよん。溺れるじゃない…。

確かにチョコレートに塗れたいとは言ったけど、話が違うじゃない…!

ちょっとん…!

聞こえてるの、エディールちゃん!?

誰に向かって"ちゃん"と呼んでるのですか…?

貴方がチョコレートが欲しいと頼んで来たので、望みを叶えただけです…。

安心して下さい。もう少しで彩りが加わりますよ…

さあ、チョコレートタンクローリーの中へ入るんだ…

ゴラゴラン…、そしてゲイミ…!

上空を飛びながらドロアの元に向かっていた

ゴラゴラン、ゲイミの前に黒いモヤッとした煙が立ち込める。


それと同時に、BABUの1階にあるプールで話をしているアイトの目の前にも黒い煙が発生する

現象が起きてしまい、禍々しいモノを感じ取ったシルフィーナは注意喚起をし始める。

Volt_Fantasia

ちょっと、アイト君!?

そこから離れた方が良いわ…

え、えっ…!?

だ、誰かに腕掴まれていて…身動きが…。

うわあああああああっ!!!!

遅かったわ…。

それにしても、アイト君はちょっと不思議な存在ですね。

この頃、必要以上に誰かに狙われている気がしてならないのよ…

これはさすがに社長も黙ってないと思うわ…。

突如発生した黒い煙の中から誰かの手が出て来て、アイトの腕を引っ張りながら煙に招き入れる。

そして、その脅威は上空を飛んでいる彼等の元にも…。


****

ここは上空――。

誰にも気付かれないようにゴラゴランの足元に狙いを定めて腕を伸ばす。

Volt_Fantasia

バッブブ! バブバァ♪

バブブブブブ―――!!!!!

ゴラゴランちゃんならこの煙なんてどうって事ないよ…
うわああああああっー!

ゴラゴランちゃんだけでも逃げて!

私は大丈夫だよ。助けに来る日待ってるわ。じゃあね…

ゲイミはゴラゴランの事が大好き。


彼を守る為なら例えどんな事でも身を投げる覚悟…。

逞しい身体に惚れた彼だからこそ信じれる。


ゴラゴランを鷲掴みにして何処か遠くに放り投げながらもゲイミは

笑顔で黒い煙の中に消えて行き、チョコレートタンクローリーの中へと入り込んでしまう。

Volt_Fantasia

****


ここはエディール宅――。

チョコレートタンクローリーの中にドロアとゲイミが入った事を確認する。

Volt_Fantasia

任務完了です…。

ドロアさん、ゲイミさん…。貴方達はアイトさんに害を成す者。

彼の邪魔をしたら私が許しませんよ…。これは兄上と交わした約束なんです…。

では、兄上…。この2人の処理お願いします…

チョコレートタンクローリーを運転していたのはエディールの兄であるレイディア…。

チョコに塗れたドロアとゲイミを何処かに連れていかれてしまう。


ドロアとゲイミは当分の間、登場致しません。

ただこの謎はきちんと"とある形"で回収させて頂きますのでお待ちください…。

Volt_Fantasia

ああ…。それとアイトはどうした?
大丈夫だ…。BABUには私達のスパイがいるからな。

この一件がバレないうちに、ちょっと無謀な形で彼を自宅に帰らせた…。

シルフィーナさんが私の存在に気付いたみたいだ。どうするんだ?

問題ない。そこは色々と策を練ってある…

私達を助けてくれたアイトには色々と尽くさないといけません…どんな形でさえ。

(エディールさん、レイディアさん…。また何処かで会えたら嬉しいですっ!!)
アイトさん…、待っていて下さい…

貴方の幸せを守る為なら、どんな事でもさせて頂きます。例え悪事を働こうとも…

****


アイト宅――。

今までの流れを思い出して、少しずつ家の片付けをし始めながらテレビを付けようと

リモコンの電源ボタンを押すと、突如流れて来た臨時ニュースを食い入るように見始める。


ただ、そのニュース内容はかつてアイトが味わった"とある過去"に類似していた為

当時の事を思いながら、彼の目からは微量の涙が溢れていた。

Volt_Fantasia

父さん…、母さん…! 何処に居るんだよ…。

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登場人物紹介

アイト

ひょんなことからBABUの新入社員になった少年。

ベイビー、未来とティムのファン。

シルフィーナ

BABUの人事部兼秘書の女性。

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