第33話「突然の提案」
文字数 687文字
こうして僕らは交際することになった。僕と彼女は時々会って近所を散歩し、喫茶店を巡り、彼女の家で愛し合ったりしながら過ごした。
彼女は少しずつ大学にも通うようになった。アルバイトは辞めたままだが、そういった事情も両親に話せるようになっていた。
3月になり、ある土曜日の夕方。いつものように川沿いを並んで歩いていると、彼女は思い出したように言った。
"両親に挨拶"
その言葉を聞いた途端に鼓動が速くなった。
我々は電車に乗り、12個離れた僕の最寄り駅に向かった。僕らは隣に座ってしばらく話していたが、気がつくと彼女は僕の肩に頭をもたれて眠っていた。彼女の寝顔を眺めてから僕も眠った。
彼女に頬を小突かれて僕は目覚めた。いつの間にか降りる駅の1つ手前まで来ていた。
駅に着いて電車を降りると、僕の家に向かって歩き始めた。時刻は18時を回っていた。
彼女は僕の腕にしがみついた。僕らは体を寄せてお互いを温め合いながら歩いた。家の前に着くと、僕の緊張を察した彼女が笑いながら言った。