第4話「女子とのメッセージ交換」

文字数 504文字

 母親以外の女の子からメッセージが届くのはもちろん初めてだ。僕は恐る恐る彼女からのメッセージを開いた。
ごめんなさい。クラスのグループに入っていたから、勝手に連絡しちゃったの。


今日は本当にありがとう!

    僕は返信の内容に頭を悩ませ、10分後にようやく送信した。
構わないよ。


また何かあったら協力するから。

    すぐに彼女から返事が来た。こんなに早く返ってくるのかと僕は驚いた。
申し訳ないんだけど、今度は生物を教えてくれない?
(なぜ僕なんかに頼むのだろう…?)と再び疑問に思った。
構わないよ。
ありがとう!


いつが都合いいかな?

僕はいつでもいいよ。
それなら、明日はどう?
問題ないよ。
ありがとう!

じゃあ、放課後の教室で。


また明日ね!

 これは僕にとって、生まれて初めての恋愛だ。


 生きる意味もわからなかった自分が誰かを好きになるのは不思議に思えた。


 ぼんやりと彼女を眺めていると、不意に彼女と目が合った。僕が慌てていると、彼女は微笑みながら小さく手を振った。僕は軽く会釈して前を向いた。


 僕の顔は熱を帯び、インフルエンザで寝込んだ日を思い出した。


 放課後になり、彼女はまた僕の左隣に座り、2日目の個別指導が始まった。


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登場人物紹介

“不完全”な僕。世界から色が消え、ただ時が過ぎるのを待っている。

”完全”なクラスメイトの女の子。僕とは真逆の存在。

僕の母。父と2人で猫カフェを経営している。

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