第40話「僕の就職」

文字数 310文字

 僕は放課後デイサービスへの就職が決まった。それから大学院を卒業し、臨床心理士の資格を取った。そのお祝いに彼女がレストランで食事をご馳走してくれた。
放課後デイサービスって、困っている子ども達を支援する仕事よね。私も大学で習ったわ。


どうしてその仕事を選んだの?

君と同じ理由だよ。
やっぱり私達って似てるわね。
そうだね。
 初めて言われた高校生の時は、僕と彼女が似ているということが理解できなかったが、今では素直に同意できる。
心の痛みを知っているあなたなら、きっと立派な支援員さんになれるわ。

 そうして僕らはレストランを後にした。その帰り道、僕らは手を握って歩いていると、彼女は空を見上げながら言った。

ねえ、一緒に住みましょう。
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登場人物紹介

“不完全”な僕。世界から色が消え、ただ時が過ぎるのを待っている。

”完全”なクラスメイトの女の子。僕とは真逆の存在。

僕の母。父と2人で猫カフェを経営している。

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