八十三 お約束?
文字数 2,207文字
町中一ファミリーの視線が、いや、その場にいた町中一とガゴルを除いた、すべての者達の視線が町中一にぶっすうっと突き刺さった。
「あの、ほら、あれだよ? 俺は何もしてはいないよ? こういうのは、あの、だから、あれ、あれだよ。お約束。そう。お約束だよ。こういうのって、良くあるじゃん? なんか、ほら、戦士的な人がさ。自分よりも強い人に、やられちゃったから、惚れちゃいました、的な?」
町中一は、しどろもどろになりながら、周りに目を向けつつ、言葉を出した。
「で? 具体的には、どこをどうして、何を何したの?」
スラ恵の、刃の切っ先のように、鋭く尖った質問が飛んで来る。
「スラ恵。こういう時は男に聞いても駄目よ。ねえ、ガゴルさん。何があったのか詳しく教えて下さいな」
お母さんスライムが、ガゴルの手を優しく握る。
「お、おい。初対面なのに失礼じゃないか。変な事を聞くんじゃない」
町中一は、慌ててお母さんスライムと、ガゴルの間に割って入った。
「あんたはこっち」
スラ恵が、町中一の手を取ると、思い切り引っ張ったので、町中一は、態勢を崩して、その場にうつ伏せに倒れて、車に轢かれた蛙のような、格好になってしまう。
「べちゃっていう音が、似合いそうだわぁん」
ななさんが無情にも、そんな、酷い言葉を町中一に向かって投げ付ける。
「な、なんだよ。皆、どうしちまったんだよ」
「主様が悪いんだわん。こんな、安っぽいエロゲーのハーレムルートみたいな展開なんてわん。やってられないんだわん」
柴犬が、町中一の傍に来たと思うと、町中一の頭の上にもっちりと座った。
「な、もっちりってなんだよ? どんな座り方だよ」
「そんなものは分からないんだわん。でも、これだけは分かるんだわん。今の主様には、この位しか使い道がないんだわん」
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
チーちゃんの、不穏な羽音が、町中一の周囲で鳴り始める。
「一しゃん。ガゴルさんから話は聞いたわ。なんて羨ましい、いえ、酷い事を。女性に対して、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を無理やり魔法を使って、やって、しかも、自分の手は汚さずに、柴犬にやらせるなんて。そんなの、新手の獸姦じゃない」
「獣姦?」
「あいつ、あの、王都から来た隊長に獣姦を、犬をけしかけて、やらせたらしいぞ」
「羨ましい、ちが、汚らわしい」
「最低よぉん」
「最低だわん。そういえば、やらされた気がして来たんだわん」
「獣姦って何うが?」
「うが。そんな言葉を口に出して言っちゃいけません」
その場が騒然とし、町中一ファミリーとうがちゃんとその母親と、スマックに城の兵士達が、揃って町中一に、冷たい視線を向けて、口々に、町中一の所業について、悪し様に言い始める。
「そ、そんな。ち、違うんだ。誤解だ。俺は、そんな事はしていない。あれは、しょうがなかったんだ。柴犬の、誇りを、なあ、柴犬。何か言ってくれよ」
「やらされましたわん。これは、主様の命令には逆らえないんだわん。主様は、それを良い事に、これに、エロ同人誌に出て来るような、あんな事やこんな事を、やらせたんだわん」
「エロ同人誌に出て来るような事だってよ」
「あんたん。もう、それは、犯罪よぉん」
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
町中一は、車に轢かれた蛙のような恰好のまま、くっそう。こうなったら、こいつら全員の記憶を消すしかねえ。こういう時の魔法だよな。そうだよな。などと思い、魔法の言葉を口にしようとした。
「おい。これはなんの騒ぎだ?」
妙に高い、聞いたらそれなりの一定の期間、忘れる事ができないような声が聞こえて来て、城の兵士達が、領主様だ。領主様が出て来たぞ。と声を上げたので、町中一は、魔法を使うのを、中断して、妙に高い声がした方を見た。
「領主様。娘を。娘を買ってくだせえ」
うがちゃんの父親が、領主の傍に駆け寄ると、その勢いのまま、ダイビング土下座のような動きを見せて、領主に向かって平伏しつつ、お願いをし始める。
「貴方」
うがちゃんの母親が、戸惑っているような表情をしながら、うがちゃんと夫の姿を交互に見た。
「領主様。うがを買って下さいうが」
うがちゃんが父親の隣に行き、一瞬の躊躇もなく、父親と同じように平伏すると、そんな事を言い出した。
「ほう。ほう。これは、言葉を話すのか。その姿でなあ。良し。分かった。買ってやろう」
領主がぽんっと手を打った。
「領主様。でも、この娘は、危険です。物凄い力で、俺を堀の中に落としやがったんです」
「娘。そうなのか?」
「は、はい、うが。お父しゃんを助けようと思ってうが。でも、もう、絶対に、しませんうが。領主様の言う事はなんでも聞きますうが。逆らったりしませんうが」
平伏したまま必死に話す、うがちゃんを見ていた領主が、今、なんでもって言った? 言ったよね? そうかそうか。それなら、あんな事やこんな事をしてもらおうか。ぐへへへへへへ。と呟くと、その目に、いやらしく、卑しい、光が宿った。
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
チーちゃんの羽音がぶおおぉんと唸る。
「チーちゃん。やっておしまいなさい」
町中一は、某水戸黄門のような気持になって、チーちゃんにゴーサインを出した。
「らじゃー?」
チーちゃんが領主に近付くや否や、領主のお股を思い切り蹴り上げて、領主を仰向けに倒すと、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を、領主のお股にお見舞いした。
「あの、ほら、あれだよ? 俺は何もしてはいないよ? こういうのは、あの、だから、あれ、あれだよ。お約束。そう。お約束だよ。こういうのって、良くあるじゃん? なんか、ほら、戦士的な人がさ。自分よりも強い人に、やられちゃったから、惚れちゃいました、的な?」
町中一は、しどろもどろになりながら、周りに目を向けつつ、言葉を出した。
「で? 具体的には、どこをどうして、何を何したの?」
スラ恵の、刃の切っ先のように、鋭く尖った質問が飛んで来る。
「スラ恵。こういう時は男に聞いても駄目よ。ねえ、ガゴルさん。何があったのか詳しく教えて下さいな」
お母さんスライムが、ガゴルの手を優しく握る。
「お、おい。初対面なのに失礼じゃないか。変な事を聞くんじゃない」
町中一は、慌ててお母さんスライムと、ガゴルの間に割って入った。
「あんたはこっち」
スラ恵が、町中一の手を取ると、思い切り引っ張ったので、町中一は、態勢を崩して、その場にうつ伏せに倒れて、車に轢かれた蛙のような、格好になってしまう。
「べちゃっていう音が、似合いそうだわぁん」
ななさんが無情にも、そんな、酷い言葉を町中一に向かって投げ付ける。
「な、なんだよ。皆、どうしちまったんだよ」
「主様が悪いんだわん。こんな、安っぽいエロゲーのハーレムルートみたいな展開なんてわん。やってられないんだわん」
柴犬が、町中一の傍に来たと思うと、町中一の頭の上にもっちりと座った。
「な、もっちりってなんだよ? どんな座り方だよ」
「そんなものは分からないんだわん。でも、これだけは分かるんだわん。今の主様には、この位しか使い道がないんだわん」
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
チーちゃんの、不穏な羽音が、町中一の周囲で鳴り始める。
「一しゃん。ガゴルさんから話は聞いたわ。なんて羨ましい、いえ、酷い事を。女性に対して、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を無理やり魔法を使って、やって、しかも、自分の手は汚さずに、柴犬にやらせるなんて。そんなの、新手の獸姦じゃない」
「獣姦?」
「あいつ、あの、王都から来た隊長に獣姦を、犬をけしかけて、やらせたらしいぞ」
「羨ましい、ちが、汚らわしい」
「最低よぉん」
「最低だわん。そういえば、やらされた気がして来たんだわん」
「獣姦って何うが?」
「うが。そんな言葉を口に出して言っちゃいけません」
その場が騒然とし、町中一ファミリーとうがちゃんとその母親と、スマックに城の兵士達が、揃って町中一に、冷たい視線を向けて、口々に、町中一の所業について、悪し様に言い始める。
「そ、そんな。ち、違うんだ。誤解だ。俺は、そんな事はしていない。あれは、しょうがなかったんだ。柴犬の、誇りを、なあ、柴犬。何か言ってくれよ」
「やらされましたわん。これは、主様の命令には逆らえないんだわん。主様は、それを良い事に、これに、エロ同人誌に出て来るような、あんな事やこんな事を、やらせたんだわん」
「エロ同人誌に出て来るような事だってよ」
「あんたん。もう、それは、犯罪よぉん」
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
町中一は、車に轢かれた蛙のような恰好のまま、くっそう。こうなったら、こいつら全員の記憶を消すしかねえ。こういう時の魔法だよな。そうだよな。などと思い、魔法の言葉を口にしようとした。
「おい。これはなんの騒ぎだ?」
妙に高い、聞いたらそれなりの一定の期間、忘れる事ができないような声が聞こえて来て、城の兵士達が、領主様だ。領主様が出て来たぞ。と声を上げたので、町中一は、魔法を使うのを、中断して、妙に高い声がした方を見た。
「領主様。娘を。娘を買ってくだせえ」
うがちゃんの父親が、領主の傍に駆け寄ると、その勢いのまま、ダイビング土下座のような動きを見せて、領主に向かって平伏しつつ、お願いをし始める。
「貴方」
うがちゃんの母親が、戸惑っているような表情をしながら、うがちゃんと夫の姿を交互に見た。
「領主様。うがを買って下さいうが」
うがちゃんが父親の隣に行き、一瞬の躊躇もなく、父親と同じように平伏すると、そんな事を言い出した。
「ほう。ほう。これは、言葉を話すのか。その姿でなあ。良し。分かった。買ってやろう」
領主がぽんっと手を打った。
「領主様。でも、この娘は、危険です。物凄い力で、俺を堀の中に落としやがったんです」
「娘。そうなのか?」
「は、はい、うが。お父しゃんを助けようと思ってうが。でも、もう、絶対に、しませんうが。領主様の言う事はなんでも聞きますうが。逆らったりしませんうが」
平伏したまま必死に話す、うがちゃんを見ていた領主が、今、なんでもって言った? 言ったよね? そうかそうか。それなら、あんな事やこんな事をしてもらおうか。ぐへへへへへへ。と呟くと、その目に、いやらしく、卑しい、光が宿った。
「でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~?」
チーちゃんの羽音がぶおおぉんと唸る。
「チーちゃん。やっておしまいなさい」
町中一は、某水戸黄門のような気持になって、チーちゃんにゴーサインを出した。
「らじゃー?」
チーちゃんが領主に近付くや否や、領主のお股を思い切り蹴り上げて、領主を仰向けに倒すと、でんきぃぃぃぃあんまぁぁぁぁ~を、領主のお股にお見舞いした。