第14話 住み処

文字数 311文字

ここに六そじの露消えがたにおよびて、更にすえばのやどりを結べる事あり。いわば旅人の一夜の宿をつくり、老いたる蚕の繭をいとなむがごとし。是をなかごろの住み処にならぶれば、又百分が一におよばず。とかくいうほどに、齢は歳々にたかく、住み処は折々に狭し。
その家のありさま、世の常にも似ず、広さはわづかに方丈、高さは七尺がうちなり。所をおもいさだまざるがゆえに、地を占めてつくらず。つちいをくみ、うちおおいをふきて、つぎめごとにかけがねをかけたり。もし心にかなわぬ事あらば、やすく外へ移さむがためなり。そのあらためつくる事、いくばくのわづらいかある。つとむころわづかに二両。くるまのちからをむくうほかには、さらに他のようとういらず。
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