第7話 飢渇、ひでり、大風、洪水
文字数 360文字
又、養和のころとか、久しくなりておぼえず、二年があいだ、世の中飢渇して、あさましき事侍りき。或いは春秋ひでり、あるいは秋、大風、洪水など、よからぬ事どもうちつづきて、五穀事ごとくならず。夏植えるいとなみありて、秋かり、冬をさむるぞめきはなし。
是によりて、国々の民、或いは地を捨ててさかいをを出で、或いは家をわすれて山にすむ。さまざまの御祈りはじまりて、なべてならぬ法どもおこなわるれど、更に其のしるしなし。京のならひ、なにわざににつけても、みなもとはいなかをこそたのめるに、絶えてんぼるものなければ、さのみやはみさをもつくりあへん。念じわびつつ、さまざまの財物、かたはしよりするがごとくすれども、更にめみたつる人なし。たまたまかふる物は、金をかろくし、栗をおもくす。乞食路のほとりにおおく、憂えかなしむこえ耳に満てり。
是によりて、国々の民、或いは地を捨ててさかいをを出で、或いは家をわすれて山にすむ。さまざまの御祈りはじまりて、なべてならぬ法どもおこなわるれど、更に其のしるしなし。京のならひ、なにわざににつけても、みなもとはいなかをこそたのめるに、絶えてんぼるものなければ、さのみやはみさをもつくりあへん。念じわびつつ、さまざまの財物、かたはしよりするがごとくすれども、更にめみたつる人なし。たまたまかふる物は、金をかろくし、栗をおもくす。乞食路のほとりにおおく、憂えかなしむこえ耳に満てり。