第6話  夜明けのむこう 夕暮れのかなた(詩)

文字数 407文字




 〜時の果てるまで〜


 まだ、宇宙に時がなかったころ、それは一つだった。

 昼と夜——

 昼には太陽の王が、夜には月の女王が住んでいた。
 たがいに、たがいを愛していた。
 深く、深く。

 わかちがたい半身として。

 完全なる一対。
 昼と夜。

 けれど、世界に、時が誕生した。
 昼と夜は、二つに裂かれた。
 二度と、かさなることはない。


 昼のなかを、太陽の王は走る。
 灼熱に輝きながら、とびちる汗が火花となるまで。
 かけて、かけて、あの人を追う。

 夜のなかに囚われた、愛しい人を。


 月の女王は舟をこぐ。
 星のしずくの涙が、満天に河となるまで。
 泣いて、泣いて、あの人を追う。

 昼のなかに消えた、恋しい人を。


 時の流れは、二人を前へ、前へと、むかわせる。
 決して、あともどりはできない。

 だから、泣きながら、叫びながら、追いもとめる。



 夜明けのむこう。
 夕暮れのかなた。

 時の果てる、そのときまで——




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