第24話

文字数 1,306文字

気配を消したせいか、城の中には、ちょっと弱そうなヴァンパイアがわらわらといたけれど、


意外と気づかれずに、中を探ることができた。

(ぼっちゃんは……どこでしか……)

とりあえず上へ上へと階段を上る。








階段途中の窓から差し込む月明かりを受け、


階段に座っている男ヴァンパイア。


(あいつ、城を襲ったやつの1人でし……。


外見的にはあちしと同じくらいの歳にみえるでしが……)

”ぼっちゃん”を、助けにきたの……?
……!


姿と気配を消しているはずなのに、そいつに急に声をかけられる。


……。


流石にぼっちゃんを石化するやつらに


見つからないなんては思ってなかったでしが……

そもそも城に入ってきたときから知ってたけどね

……。


ぼっちゃんを返すでし


なんで連れて帰ったかは知らないでしが……

”ぼっちゃん”ならボスのところにいるよ。


ここよりもっと上の階だね

……そうでしか。


じゃあ上に行くからそこをどくでし。


なんでペラペラ教えてくれるのかは知らないでしが

まって。ボスのところになんか行ったら、君殺されるよ……?

あちし、ボスのところに殺されにいくんじゃないでし。


ボスを倒しに行くんでし

ボスは強いよ?
ぼっちゃんの方が強いでし
でも君のぼっちゃんとやらは、石化しちゃったんじゃなかったっけ?

……。


いいからそこをどくでし。


急いでるんでしよ

行かせない
……じゃあ戦闘でしね

いや、戦闘はしない。


僕は単純に、君が死ぬのをみたくないんだよ。



そう、僕は……


君の事が、好きだから

はぁ?なんの冗談でしか

……。



だからさ、僕が君のこと、ヴァンパイアにしてあげるよ。


ヴァンパイアになれば、きっと殺されるようなことは、ないよ……?


ボスの呪いで消滅することもない

……。


心底ムカツクやつでしね……


大きなお世話でしよ。


いいから、そこをどくでし


あちしはそいつに向かって力いっぱい魔アイテムを投げつけた。

……こんなもの……効くと思ってるの?


下等ヴァンパイアじゃあるまいし

……!


そいつはあちしの魔アイテムをなんでもないもののようにさっと振り払った。

……



次の瞬間、そいつと目が合うと、自分の体の自由が奪われた。


そのままふわっと体を浮かされ、


あちしはそいつの体に倒れ込む。

よしよし……いいこだね……。



大丈夫……怖くないよ


そういうとそいつはあちしの首筋にそっと噛みついた。


う……ぁう……

(こいつ……あちしの血を……)


ああ……思った通りだ……。


甘くて、おいしい……

……


……


……



そうでしか……

ん……あれ……。


なんだか……眠く……

そいつの体からふっと力が抜ける。


……残念だったでしね。


あちし、ただの悪魔じゃなくて、生死を司る悪魔の血も入ってるんでしよ。



人間には今のあちしの血は猛毒でしが、


同じ魔族なら、ちょっといねむりするぐらいですむと思うでしよ。


よかったでしね

……


パタッと床に倒れ、眠ってしまう男ヴァンパイア。

……。


ふん……。



おやすみでし


あちしは上への階段をのぼった。


……ぅ……


噛まれた傷口がズキッと痛む。


はぁ……はぁ……

(……でも……なんだかんだ無傷ではないでしね。



しっかりヴァンパイアの毒も受けてしまったみたいでし……。



ヴァンパイアの毒が回って、自我を失う前に、


なんとかぼっちゃんを助けないと……でし……)

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登場人物紹介

ミトル

ルシフェル

ふわふわ

ヴァンパイア

ヴァンパイア2

ヴァンパイア3

その他人物

その他人物

その他人物



↓以下ネタバレあり表情など。


読む前に見ない方がいいかもしれません。

ミトル

ミトル

11

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ヴァンパイア1


獣型ヴァンパイア

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