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文字数 412文字



忘れていったあなたの服が
クローゼットの奥に密かに眠る
別に未練があるわけじゃないし
お洒落に着こなすようなものでもない
捨てるタイミングを逃してるうちに
ただどうでも良くなっただけ
あんまり意味とかないけど不思議に
他のを捨てる時に存在を忘れてる
あの頃からずいぶんと私色んな事を
知ることができたし大人にもなった
隣で共に歩ける日が来るなんて
思いもしなかった出会いの日を
振り返るとそこは色のない世界だった
始まりも突然で終わりも突然だけど
大人の恋の楽しさは味わえた
最後の日泣くこともなかった
いつかあなたとは別れる日が
来る事を知っていたから
楽しく笑えなくなってる私の笑顔に
あなたに気がついてもらいたくて
約束の場所に行かなかったのは
私の最後の愛の囁きだったけど
本当にそのステージを作ってたのは
あなたの方だったのかもしれない
いつかこの服を捨てる時に
最後にもう一度だけ思い出して
そして静かに全てを忘れよう
私を大人にしてくれた
あなたの虚構の恋に感謝して

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