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文字数 554文字



慣れ親しんで歩く道
慣れ親しんだ匂い
慣れ親しんだ風景
慣れ親しんだあの人との会話
遠い昔の忘れ物
久しぶりに会うクラスメイト
月日は残酷で
あちこちに刻まれたシワ
広がる額と色を変えた髪
子どもがいるかいないか
結婚してるかしてないから
仕事をしてるかしてないか
くっきりと別れる見た目と
溢れ出る匂い
全然変わらないならギリギリかな
ものすごく年上になった人
ものすごく若くなった人
ものすごく綺麗になった人
ものすごくかっこよくなった人
時間は本当に残酷に
色んなものを奪ったり与えたりする
私はみんなの目にどう映る
会話の中身は一気にあの頃になったり
似たような仕事のことで盛り上がったり
どのグループに混ざっても
なんとなく浮いてしまうのは
共通の話題なんてカード
一枚も持たずに今日まで生きてきたから
少し酔ったフリして
遠巻きに見守る懐かしい面々は
皆幸せな今日をどう生きているんだろう
好きだったあの人は
見る影もなく普通のおじさんになってた
そこだけ少し知りたかったから
もうこの場でやりたいこともない
先生の輪が崩れたら
挨拶だけして帰ろういつもの日常に
多分もうこの集まりには
来ることはないかなと思う
心の中で永遠のさよならを言おう
これ以上自分がいなくても
成り立つ場所にはどうやら
どこにも居場所がないから
都会に染まってしまった自分を
どこか憂いてまた明日を生きよう

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