第14話
文字数 790文字
「そう、最近なんだけどさ。うち、ベランダで野菜を育てはじめたんだ。」
曲が終わると小雪はプレーヤーの電源を切り、イヤフォンを鞄に入れながら言った。
「ミニトマトとかオクラとかバジルなら、はじめてでも失敗しにくいって聞いてね。じゃあそれにするか、って種を蒔いて、育ったら収穫して食べようねー、とか言ってたのね。」
「いいねえ、楽しそう。」
「でしょ!良さそうだったんだよ、結構すぐ育つみたいに書いてあったし。」
だけどさ、と言って小雪は眉を顰めた。
「虫がいるんだ…。」
確かに、ベランダ菜園を作れば虫も寄ってくるだろうな、と花純は思った。
「お猫様が舐めたりしたら大変だから、殺虫剤も使えなくて。どうしたものだろうねえ。」
「困るねえ。うーん…ネットを張る、とかなのかなあ。園芸屋さんに行ったら対策グッズあるかもしれないね。」
「そうだね、今度お店の人に聞いてみる。」
その日の帰りはアイス屋さんに寄り道をした。
小雪はロッキーロードとポッピングシャワーのダブルを食べながら、土とトマトとオクラみたいだと笑った。
定期試験が近付き、休み時間は試験範囲のノートの見せ合いや、お互いに問題を出し合って勉強をする生徒が多かった。花純は読書に耽っていた。
「吉井ちゃん。」
花純のセーラー服の襟をつまんで軽く引っ張りながら、小雪が背後の席から声をかけた。
「なあにー?」
「今日、一緒に帰れる?」
小雪は威嚇するエリマキトカゲのように花純の襟をつまみ上げた。花純は振り返って答えた。
「帰れるよー、一緒に帰ろう。」
「ありがとう!」
花純のエリマキを定位置に戻して、小雪は広げていた英語のノートに目を落とした。
普段から部活や習い事がなければ一緒に帰っているので、改めて声をかけられるのは不思議だった。
帰り道に英語の問題出し合いでもするのかな。せっかくなら難問を考えたい。
花純は読みかけの本を閉じ、小雪と同様に英語のノートを開いた。
曲が終わると小雪はプレーヤーの電源を切り、イヤフォンを鞄に入れながら言った。
「ミニトマトとかオクラとかバジルなら、はじめてでも失敗しにくいって聞いてね。じゃあそれにするか、って種を蒔いて、育ったら収穫して食べようねー、とか言ってたのね。」
「いいねえ、楽しそう。」
「でしょ!良さそうだったんだよ、結構すぐ育つみたいに書いてあったし。」
だけどさ、と言って小雪は眉を顰めた。
「虫がいるんだ…。」
確かに、ベランダ菜園を作れば虫も寄ってくるだろうな、と花純は思った。
「お猫様が舐めたりしたら大変だから、殺虫剤も使えなくて。どうしたものだろうねえ。」
「困るねえ。うーん…ネットを張る、とかなのかなあ。園芸屋さんに行ったら対策グッズあるかもしれないね。」
「そうだね、今度お店の人に聞いてみる。」
その日の帰りはアイス屋さんに寄り道をした。
小雪はロッキーロードとポッピングシャワーのダブルを食べながら、土とトマトとオクラみたいだと笑った。
定期試験が近付き、休み時間は試験範囲のノートの見せ合いや、お互いに問題を出し合って勉強をする生徒が多かった。花純は読書に耽っていた。
「吉井ちゃん。」
花純のセーラー服の襟をつまんで軽く引っ張りながら、小雪が背後の席から声をかけた。
「なあにー?」
「今日、一緒に帰れる?」
小雪は威嚇するエリマキトカゲのように花純の襟をつまみ上げた。花純は振り返って答えた。
「帰れるよー、一緒に帰ろう。」
「ありがとう!」
花純のエリマキを定位置に戻して、小雪は広げていた英語のノートに目を落とした。
普段から部活や習い事がなければ一緒に帰っているので、改めて声をかけられるのは不思議だった。
帰り道に英語の問題出し合いでもするのかな。せっかくなら難問を考えたい。
花純は読みかけの本を閉じ、小雪と同様に英語のノートを開いた。