第十六章 虚無の帝国
文字数 428文字
魔王は北の地に要塞を建設した。
仮初の万魔殿。そこに諸侯らが集い、魔王の神に対する宣戦布告を今か今かと待ち受けていた。
実に魔王ルシファーはまだ神性が辛うじて残りしも不断の決意を以て魔兵に宣言する。
「余は世界そのものなり! 今こそ聖戦の時! 天上の天使らを余に捧げよ! 余は生存圏なぞ主張せぬ。それは愚かな主張である。余は殲滅圏を主張せり!」
魔兵達は一気呵成に叫ぶ。
「ホロコースト! ホロコースト! ホルマ! ホルマ!」
虚しき栄華である。神性を失いし被造物の辿り着く果てがこれだというなら後の世は如何に悲惨なものであるか思い知るべし。
「虚しき栄華だ。これが余の行き着く果てか……しかし、それでも……」
魔王ルシファーは誰にも聴こえぬ様に毒づいた。この様な虚しき帝国に何の意味が見出せようか。
それでも混沌の中に秩序をもたらさなければならない。それは力ある者の責務でもある。
皮肉にも悪でありながら秩序の為に不正義を実行する。それが賢き習わしでもある。
仮初の万魔殿。そこに諸侯らが集い、魔王の神に対する宣戦布告を今か今かと待ち受けていた。
実に魔王ルシファーはまだ神性が辛うじて残りしも不断の決意を以て魔兵に宣言する。
「余は世界そのものなり! 今こそ聖戦の時! 天上の天使らを余に捧げよ! 余は生存圏なぞ主張せぬ。それは愚かな主張である。余は殲滅圏を主張せり!」
魔兵達は一気呵成に叫ぶ。
「ホロコースト! ホロコースト! ホルマ! ホルマ!」
虚しき栄華である。神性を失いし被造物の辿り着く果てがこれだというなら後の世は如何に悲惨なものであるか思い知るべし。
「虚しき栄華だ。これが余の行き着く果てか……しかし、それでも……」
魔王ルシファーは誰にも聴こえぬ様に毒づいた。この様な虚しき帝国に何の意味が見出せようか。
それでも混沌の中に秩序をもたらさなければならない。それは力ある者の責務でもある。
皮肉にも悪でありながら秩序の為に不正義を実行する。それが賢き習わしでもある。