第8話 何故、人は人の悪口を言うのだろうか?

文字数 894文字

 会社勤めをしていた時も、そして今でも何人かの人が集まって会話をしている場面に出くわすと必ずと言っていい程、人はその場にいない人の事を話題にして悪口を言っている場合が多い。そしてその悪口の対象になっている人物について悪口を言っている同士で意見が合うと、連帯感ができて繋がりが深くなる効果がある。
 人間という存在はこのように悪口を言う相手を「敵」とみなして、悪口を言っているほうは「味方」として人間関係を築いていく傾向がある。確かに生活していく上で相手が「敵」とわかれば気を付けて付き合うし、逆に「味方」だとわかれば安心して付き合いをしていける。
 利害関係のない学生時代なら「敵」と「味方」の違いがはっきりしてそれでもよかった。だが、社会人になって会社勤めをするとある場面においては「敵」の存在だった相手が、違う「場面」においては「味方」になったりする。それは会社員にとっての人間関係は「自分にとって得をもたらす人間か?そうでないか」が基準になって決められていく事が多いからだ。それだけ人間関係は利害が絡むと複雑になってくる。「今日の友は明日の敵」と言われるように100%信頼できる相手もいなければ、100%信頼できない人間もいないのだ。
 だから相手に対する評価を簡単に決めるのは良くない。そして何人かで人の悪口を言うのはストレス発散になって楽しいのかもしれないが、できるだけ人の悪口を言うのは避けるべきだ。悪口を言っている本人だって、違う場所では他の人から悪口を言われているかもしれない。
 それでも悪口を言うのはストレス発散になってやめられないというのであれば、出来るだけ悪気のない、ユーモアに満ちた悪口にとどめるべきだ。人は良い面だけでなく悪い面の両方を持っている。ある面だけを取り上げて口汚く人の悪口を言う行為を慎むべきだ。毒のある悪口を聞いているのは気持ちの良いものではないし、悪口がひどくなれば悪口を言っている人間性を疑いたくなるからだ。「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあるが、自分も人の言動を見て嫌だなと思った事はしないようにして気を付けて生活していくべきだと思う。
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