文字数 428文字


昔手に入れた指輪が
いつの間にか無くなってて
そして前触れもなく
部屋の片隅から見つかった
銀で出来たそのリングは
いい色に落ち着いて
僕との再会を待ち侘びていた
何年かぶりのその再会には
大きな罠が待ち受けていて
いつの間にか一回り
大きくなった僕のどの指にも
緩いかきついかで合わなくなってた
誰かに聞いたように
腕をぐるぐる回してみた
むくみが少し取れて
なんとか人差し指に収まると
もう2度と抜けてやるもんかと
1時間もすると抜けなくなってた
焦れば焦るほど食い込んで行く
明日はバイトの面接だと言うのに
せっかく出てきたこの指輪を
何かで切ってサヨナラするか
それとも面接を諦めるか
そんな究極の岐路に立つことになった
長い人生の中でのちっぽけな選択
だけど明日の僕には重要な選択
天秤にかけるには小さくないことも
僕が下すひとつの判断と決意で
何かを失い何かを得るのは
いくつになっても重くて儚い
誰かにとって些細なことも
たくさん選んで泣き笑い
長い人生の中でのちっぽけな選択
だけど誰かにとっては重要な選択
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