文字数 417文字



憧れていた歳は過ぎて
毎日少しずつくたびれてきた
顔も身体もきっと心も
水アカで汚れた鏡より
くもって汚れて霞んで見える
あのころまだ子供で
食べれなかったモノは
苦味も値段も峠を超えて
毎日は無理でも目を瞑れば
今のところ残すことなく
皿を綺麗に返すことはできる
その代償は小さくないけど
大切な何かは何処か昔に
置き忘れてきて見る影もない
だけど確実に手に入れたものもある
不都合に苛まれながらも
灯の届かない安寧の寝場所
そんな誰かの物語を
昔何処かで蔑んできたのに
ちょうどいい居心地は
結局あいつらが与えてくれた
道の残骸と老獪な生き方
きっとこの姿を見てまた誰かが
ツバを吐きながら横目に過ぎ去り
いつかどこかで僕と同じ
思いを胸に振り返りながら
この鏡の前で呆然と立ち尽くすのだろう
ここじゃない場所へとたどり着く為の
助言はそこらに落ちているから
見つけて手に入れたやつだけ
次のステージへと進めばいいさ
そこが険しい荒れた土地でも
住みやすくするかどうかは
自分次第で決めたらいいよ
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