占星術を巡るトラブル

文字数 1,077文字

今日はミゲル・セルベートに関するエッセイの中で、占星術を巡るトラブルについて書いたので、そのことを話題にしようと思います。作品集には下の写真から入って下さい。
占星術は古代バビロニアから行われ、古い歴史を持つのにどうして教会は禁止したのですか?
神や聖人ではない人間ごときが予言などしてはいけないというのと、占星術で有名な予言者が出てしまうと教会の言うことよりもそっちをみんなが信じてしまうという恐れがあるからであろう。
1327年にはチェッコ・ダスコリという占星術師がキリストの誕生や最後の審判に関するホロスコープを作成したことで火刑になっています。
キリストを人間と同じように考えてホロスコープを作ったことはとんでもないことのように思われたのだろう。
キリストのホロスコープを作るのはとんでもないことだけど、占星医学はサレルノ大学、ボローニャ大学、モンペリエ大学の医学部で教えられていました。医者は患者の出生時の天球図を調べて気質を知ったり、適切な治療の時期を知ることに利用していました。
余が領土に組み入れたモンペリエは医学の名門大学があることで有名ではないか!
1347年から1350年にペストが流行した時には、パリ大学医学部がその原因は1345年3月20日にみずがめ座で起こった木星、火星、土星の三重合にあったとする公式声明を出しています。
私が生まれたのは1350年です。ちょうどペストが流行した年です。
占星術の予言が正しいかどうかはともかく、そうした方法でペストなどの流行が起きる時期が予めわかっていて対策を取っていれば死者を最低限に抑えることができますよね。
ミゲル・セルベートもそれを考え、権力者の侍医となることも多い医者に占星術を伝えようとしたのだと思います。
だが教会は占星術を禁止した。
結局教会にとって大事なのは、人の命よりも教会の権威です。権威を守ることに必死になり、それを批判したり脅威になる者を片っ端から抹殺している気がします。
現代でも病の流行は多くの人の命を奪い生活を脅かしています。その対策も現代の医学ならわかっているはずなのに、どうも上に立つ人がうまい対策を取らずに混乱が続いています。
時代は変わっても、人の命よりも権威を守ることが優先されてしまうのか。余は直接命を奪う現場を見たので、そのことは何百年たっても忘れられない。だが、直接それを見ていなければ、罪の意識など感じることもなく、権威や利益ばかりを大切にするのだろう。
占星術も災厄から人間を守る方法の1つとして伝えられてきたのだから、よい使い方であるならばきっと役に立つと思います。
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登場人物紹介

ラミロ2世。アラゴンの王様だったがいろいろあって今は亡霊となっている

ペトロニーラ。アラゴン女王の名前を使っているがただの主婦。小説家になりたいと思っている。

フェリペ、16世紀のスペインの修道院で暮らすユダヤ人の少年。父親に捨てられて心を閉ざしていたが、ニコラス医師の指導で本来の明るさを取り戻す。まじめで勉強熱心。

ニコラス医師。修道院内の病院の医師で、孤児たちに勉強も教える。心を閉ざしていたフェリペを気にかけ、特別にラテン語や歴史、医学の基礎なども教える。

フアン1世。不真面目王と呼ばれ業績を残さずに死んだが、娘のヨランド・ダラゴンが勝利王シャルル7世を支えている。

ハインリヒ7世。皇帝フリードリヒ2世の長男でアラゴンの血も引いている。父と対立して反乱を起こし降伏して目を潰され。幽閉されて悲劇的な人生の幕を閉じる。

ペドロ2世。ラミロ2世のひ孫でレコンキスタの英雄。戦闘能力はかなり高く、ファンタジー映画やゲームの中では主要キャラになるタイプだが、なぜか小説の中で影が薄い。

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