断片話・蕎麦湯
文字数 1,212文字
これもボツあれもボツにしてる内に、熊の話だけ残っちゃった訳で。
えっとこの際、上手く書けなかった話の断片を、ちょっとだけ溢させて貰ってもいい?
***
彼女が彼氏の家で冷たい蕎麦を作ってあげた。
出来上がって皿に盛ってイタダキマスの状態になってから、彼氏が「蕎麦湯は?」。
彼女は蕎麦湯を飲む習慣がなかったから、無いと答えた。
彼氏「はぁ? 蕎麦湯捨てるなんてジョーシキねぇ女!」
彼女「はぁ? たかが茹で汁じゃん、貧乏くさっ!」
***
なんてエピソードを、男女どちらかが投稿して皆の意見を求めるんだけど。
「蕎麦湯を嗜むのは当たり前かそうでないか論争」だけになって行って。
『論点のすり替わり』が起こってるのに、
たっぷり議論をし尽くした、もういいだろ? って空気になって終わらされてしまう。
この話って、第一印象は、
「何故食卓の用意が整ってから言う?」「そもそも自分でやれ」
って、彼氏側にヘイトが集まりがちだけれど、
「蕎麦湯捨てないでね」と頼んだり、
出来ないと言う彼女に対して「じゃ自分でやる」となるのは、
至極まっとうで何もおかしくないよね。
ところが、それに対して彼女が、
「私の仕事を横取りした、ぷげらーー!」
「茹で汁なんか大切にして私のプライドを傷つけたーー!」
ってキレて、蕎麦をぶちまけて台無しにしたら?
挙句、「モラハラされたーー」って周囲に言いふらしたら?
当事者たちにしか分かり得ない事で、
『蕎麦湯飲むのが当たり前かどうか論争』をやって終わらせた気になるのは滑稽!!
って言いたかった。
彼氏がその蕎麦を打った蕎麦職人だとしたら?
心を込めて打った蕎麦を他人に粗末にされて傷心の所に、
自分の蕎麦を愛してくれていると信じていた常連客から、
「蕎麦ぐらい何だ、彼女が可愛そうだ、さっさと謝ってしまえ」って詰められたら?
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