雑談・ドールのおはなし・Ⅱ
文字数 1,953文字
舞台は、とある海辺の民宿、柿はそこのバイト学生。
登場人物は、夏合宿に来た学生サークルの若者。
う~~ん、こう書くと、夏怪談が始まっちゃいそうね。本当にホラー話ではないのよ。
サークル学生は毎年来る人たちで、
柿も顔見知りになって、一緒に花火したり仲良く遊んでた。
ある時、男子の一人(A太郎としよう)が、浜辺で人形を拾ったんだな、
けっこう大きめの奴。
古い薄汚れた人形だったから、怖い怖いって笑いものにして、
誰かを驚かせるのに使ったり、投げたり振り回したりしてたのよね。
したら、女子で神経の細やかな子(Bちゃんとしよう)が、夢を見たと。
人形がしくしく泣いている夢を。
んで、人形を見てくれと、私んトコに来た。
何でかっていうと、霊感があると思われていた(ぶっちゃけそんな物は無い)。
まあ、悲壮な顔で頼って来るから、
ちょっと人形を見て、「何ともないない大丈夫♪」と言ってあげればいいかなっと。
(民宿が古くて使ってない部分が多かったから、怖がる女子が多くて、
「ダイジョブ、ダイジョブ係」をしている内に、対霊強者だと思われていた)
で、置いてある部屋の戸をガラッと開けて
モギュモギュ・・
Bちゃんが責任を感じて、近くでお祓い出来る神社を探して来た。
みんなでカンパして、朝一番に、A太郎がお祓いに行く事になったんだけど、
その夜は私が人形を預かった。
帽子を作ってるって言ったら、「じゃ、私は帽子に飾るリボンを作るね」、って。
やってると、他の女子もワヤワヤと訪ねて来て、
クレンジング貸してくれたり、アクセ付けてくれたり。
最後はメイクの上手い子がバッチリ仕上げてくれた。
でも、大勢に手を掛けて貰った人形は、大勢に「可愛い、可愛い」って褒められて、
最初の「ダメだ感」が失くなったのは、気のせいじゃないと思う。
女子連中が力を入れ過ぎてキッラキラになった人形(化粧はおてもやん)を、
差し出されてご対面した時の、神主さんの困惑顔よ!
(柿とBちゃんは付き添いで、お祓いに着いて行った)
A太郎もBちゃんも、その後特に何もなく、翌年も元気にやって来たよ。
ほら、オカルト要素なんて無かったでしょ。
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