第82話
文字数 500文字
この芳本の勝鬨と号令の下、北畠宮司のお祓いを受ける為に道明寺天満宮・本殿前に整然と集結して居た各時代の装束を纏った、約200名もの歴史行列の参加者たちが法螺貝が鳴り響く中、行進を始め出した。
遂に道明寺合戦まつりがスタートしたのである。
境内にはその勇壮な姿を一目見ようと既に大勢の観客と関係者、そして報道陣などが集まってごった返している。そんな中を歴史行列は粛々と進んで行く。
その光景はまるで戦国時代にタイムスリップしたかのようで圧倒される。
この時代錯誤ともとれる勝鬨と号令の演出は、前日夜の最終打合せの折に芳本の強い希望で急遽決められたものだった。
当初、順子と竹田は戸惑い困惑したのだが。
余りの芳本の気迫と涙目での訴えに抗し切れずに受け入れたものだったが、実際に目の当たりにすると悪い感じではないと順子は感じた。
寧ろ行列の参加者も、そして観客までもある種の昂揚感と云うかボルテージが上がった様に感じたし。何より、行列の先頭を歩く甲冑姿の芳本の得意満面の表情を見ると、(この演出でよかったんだ・・)とさえ順子は感じた。