第16話:変動2017年と百合のアメリカ旅行2

文字数 3,060文字

 日本人を含む外国人人質殺害事件や欧米諸国での大規模テロを引き起こし国際社会を震撼させた過激派組織「イスラム国」は2017年米軍主導の有志連合などの支援を受けた地元勢力の作戦によりイラクとシリアの大半で駆逐。イスラム国の2大活動拠点だったイラク北部モスルとシリア北部ラッカも陥落し組織としては事実上崩壊。

 イスラム国は14年イラクとシリアで急速に伸長した。指導者バグダディ容疑者はイスラム教の預言者ムハンマドの代理人「カリフ」と称し一時は両国にまたがる広大な地域を支配する疑似国家を構築し恐怖支配体制を敷いた。異なる宗教・宗派や文化を敵視するイスラム国の過激思想は現在も拡散したままで世界各地で共鳴者によるテロの脅威が続いている。

 一方、秩父家では百合がフェリスの女友達3人でアメリカ人の友達になった女の子の家に彼女が夏休みに実家、シアトルに帰るので一緒について行き2週間、滞在したいと言い出した。父の太一は反対したが母の由美子が、せっかくの機会なのでアメリカの家庭の内情、大自然の素晴らしさ英語の勉強として百合のアメリカ行きを応援して出発した。

 7月27日、太一のエスティマに両親の百合とフェリス女学院高校の同級生2人の7人を乗せて、成田空港へ送った。百合は大喜びして出かけた。弟たちは良いなー俺たちも早く海外旅行がしたいと語った。しかし彼女を見おくと前、別れの昼食の時の彼らの旺盛な食欲には感心させられた。その後、1ヶ月後の8月下旬、百合と友人のフェリスの同級生2人が日本に帰ってきた。

 元気で家に帰ってきてシアトルからサンディエゴまでの列車旅の話やポートランドからオレゴンの自然を観察する旅の話。アラスカへの小旅行の話、シアトルの料理、パン、珈琲が美味しかったことなど日本帰ってから多くのアメリカでの土産話を両親と弟たちに熱心に話した。7月5、6日を中心に台風3号と梅雨前線の影響で「九州北部豪雨」が発生。

 福岡、大分両県で死者38人、行方不明者3人となった。3号は九州北部を横断し気象庁は5日に両県に大雨特別警報を発表。大規模な土砂崩れや河川の氾濫が起き、大量の流木で家屋や鉄道の鉄橋などが流された。不明者の捜索が長引き、農林水産業に大きな被害が生じた。政府は激甚災害に指定し、自治体の災害復旧事業への補助率をかさ上げした。

 2017年の日本の夏は、猛暑ではなく、長雨だった。東京都内で 2017 年8月1日から 21 日まで実に 21 日連続で降雨を記録。レジャー需要が盛り上がるお盆期間も関東地方では日照時間が短く、天候不順に見舞われた。8月 23 日は「処暑」にもかかわらず、東京都内で9日以来、2週間ぶりの猛暑日となった。東京の8月の真夏日日数は昨日14日までで半分の7日しかない。

 今日8月15日の予想最高気温も27℃。そのため今発表されている週間予報では中旬いっぱい「20日まで」30℃以上の真夏日は予想されてない。もしこの通りになれば8月の真夏日日数は上旬、中旬にかけてたったの7日しかないことになり、これは極めて少ない日数となる。不順な天候が続いている原因として、まず第一に太平洋高気圧が弱いことがあげられた。

 気象庁の予想では8月に強まるはずの高気圧がさっぱり強まらず、むしろ冷夏をもたらす北からの高気圧「オホーツク海高気圧」が強く張り出てる。上空の天気図をみると、まだ梅雨の最中だった7月上旬は日本付近に南から高気圧が強く張り出しむしろ梅雨というよりは真夏に近い状態だったのに8月上旬は台風5号がウロウロしたこともあり太平洋高気圧は日本付近で姿を消した。

 その他、また日本で大企業のずさんな検査体勢が問題となった。日産自動車、神戸製鋼所などで、製造現場の不正行為が相次ぎ発覚した。日産とSUBARU「スバル」では資格のない従業員が完成車の検査を行っていた。神鋼は品質データの改ざんなどを繰り返した。同様の不正は、素材大手の三菱マテリアルや財界総理と呼ばれる経団連会長を出す東レの子会社にも飛び火。産業界に衝撃が走った。

 一連の不正でルールを無視したずさんな品質管理や、安全性に対するモラル低下があらわになった。こうした製造現場の実態を把握してこなかった経営陣にも厳しい目が向けられ、企業統治の在り方が問われた。神鋼グループの工場では、日本工業規格「JIS」認証の取り消しや一時停止が続出。日本が世界に誇ってきた高品質な「ものづくり」への信頼が大きく揺らいだ。

 北朝鮮はトランプ米政権発足後に核ミサイル開発を加速させ大陸間弾道ミサイル「ICBM」の発射実験を繰り返し9月には6回目の核実験を強行した。11月には射程1万3000キロに及ぶとみられる新型ICBM「火星15」を高角度のロフテッド軌道で発射し「米本土全域を攻撃できる」と主張。米国は経済封鎖に加えて軍事的威嚇の強化で対抗、米朝間の緊張が高まった。

 8月と9月に発射した弾道ミサイルは日本上空を越えて太平洋に落下した。政府は全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて国民に避難を呼び掛けたほか自衛隊は米空母などとの共同訓練を日本海などで行った。防衛省は対応能力強化に向け陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を早期に導入する方針だ。

 今年、世界的に不安定感じで多くの事件が起きたがアメリカ経済は好調だった。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の終値は11月30日、史上初めて2万4000ドルを突破した。トランプ米政権が1月に発足。政権の積極的な経済政策を期待した「トランプ相場」に市場は沸き立ち1月に2万ドルの大台に乗って以降、1年を通じて最高値を繰り返し塗り替えた。

 米国や中国など主要各国の経済が軒並み好調を維持し米企業で好決算が相次いだ事も追い風となった。さらに政権が11月、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会「FRB」の次期議長に財務次官や投資ファンド共同経営者を歴任したパウエル理事を指名した事も株価を支えた。現執行部からの昇格によりイエレン議長「来年2月に退任」の経済政策が踏襲され低金利環境がしばらく続くとの安心感が市場に広がった。

 トランプ大統領の就任後、不安で米国株が大きく下げる場面もあった。しかし世界で唯一、アメリカだけが好調な経済を持続しているので世界で、あるあまる緩和マネーの行き場所がアメリカ株しかなかったことが米国株の1人勝ちとなり、中国、ヨーロッパ、日本の経済は、相変わらず低迷したまま。アメリカ株が暴落すると言われたが狼が出るぞと同じで現実はならなかった。

 11月を過ぎ百合の弟たちが自分達もアメリカ旅行がしたいと母に話したが一生懸命に勉強して、お姉ちゃんみたいに完璧に英語を話せるようにすることが先決だと言われ英語の勉強に力を入れ始めた。もともと理数系が強いので英語、国語の力がつけば平沼高校か、頑張れば翠嵐高校も夢じゃないとクラス担任の先生からいわれた。

 そのため、百合、お姉ちゃんみたいに、一生懸命、勉強して、翠嵐高校を目指して、最低でも橫浜市立大学か橫浜国大には合格できるようにして欲しいと言い、もし、日本でも屈指の名門校、東京工業大学、東大、一橋大学などに合格すれば、留学させて上げても良いと、母は、上手に、太郎と謙が、勉強するように、説得した。その効果があったのか、その後、高校での成績が上がってきた。
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