第14話:テロと欧州難民問題、百合のフェリス受験

文字数 3,275文字

 やがて2015年、初詣に伊勢山皇大神宮に出かけ家内安全、家族の健康、満貫成就をお願いした。2015年、世界では世界各地でイスラム過激派テロが起きた。年初、過激派組織「イスラム国」は1月シリアで行方不明になった湯川遥菜さんとフリージャーナリストの後藤健二さんを人質に取り殺害。イスラム国はそれまで欧米人を殺害した動画を公開したが邦人が犠牲になった事件は初めて。
 
 イスラム国は安倍晋三首相がイスラム国対策として2億ドルの人道支援を表明した後、2人の殺害を警告するビデオ映像を公開。72時間以内に同額の身代金を支払うよう要求した。期限切れ後イスラム国は湯川さんを殺害したとする画像をネットに投稿し要求を身代金からヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放に切り替えた。日本政府はヨルダンなどに協力を求め人質解放に努めたが、その後、後藤さんを殺害したとする動画が公開された。

 シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ欧州を目指す難民が急増した。粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると世界的に受け入れの動きが広がり欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。

 欧州連合「EU」は加盟国全体で16万人を分担して受け入れることを決めたが既に100万人以上が欧州入りし対策は追い付いていない。11月のパリ同時テロでは一部の容疑者が難民に紛れて欧州入りしたことが判明しテロリスト流入対策の不備が顕在化した。欧州各国は国境審査を相次いで強化しており欧州統合の柱である「域内移動の自由」も揺らいでいる。

2015年1から11月の訪日外国人数は日本政府観光局の推計で前年同期比47.5%増の1796万4400人に達した。円安に加え日本発着の国際航空路線の拡充、査証「ビザ」発給要件緩和などを背景に過去最高だった14年の年間実績「1341万人」を既に上回った。15年年間では1900万人台に達する見込み。外国からの訪日観光客が急増した。

 そして日本を訪れた時、炊飯器やカメラ、薬、化粧品など家電やブランド品などを大量に購入する「爆買い」も注目を集め今年の流行語大賞にも選ばれた。日本百貨店協会によると外国人観光客向けの免税売上高「1から10月」は前年同期と比べ、約3.1倍の1609億9600万円。ただ、中国を含む新興国経済の減速に伴い爆買いの勢いが鈍る可能性も指摘されている。

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン「VW」が排ガス検査をすり抜けるため検査時のみ窒素酸化物「NOx」の排出量を少なくする不正なソフトウエアを一部ディーゼル車に搭載していた事が米環境保護局「EPA」の調査で9月に発覚。問題車両は世界で最大1100万台に達する。当時のウィンターコルン会長は引責辞任に追い込まれ後任にVW傘下のポルシェ社長だったミュラー氏が就任。

 VWへの非難の声が噴出し震源地の米国をはじめ各国で賠償請求訴訟などが相次ぐ一方、独検察当局は本社の家宅捜索に着手、刑事責任追及の動きも進む。リコール「回収・無償修理」対策費の損失に加えブランド価値の失墜から販売面にも影響が出始めVWの経営を揺るがす事態に発展した。

 東芝不正会計で歴代社長辞任、日本を代表する電機メーカー、東芝で利益を意図的にかさ上げする不正会計が発覚した。社外の弁護士らで構成する第三者委員会は7月、経営陣が関与し、パソコンやテレビなど幅広い事業で不正な会計処理が組織的に行われたと認定。田中久雄氏ら歴代社長3人が引責辞任する事態に発展した。利益かさ上げ額は過去約7年間で累計2248億円に上った。

 証券取引等監視委員会は12月、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、過去最高額となる約73億円の課徴金を科すよう金融庁に勧告。個人株主は、株価下落で損害を受けたとして同社や旧経営陣に賠償を求める訴訟を相次ぎ起こしているほか、同社自身も旧経営陣を提訴。東芝は不正会計の一因となったパソコンなど不採算事業の見直しや人員削減に迫られている。

 2016年、いよいよ長女、百合のフェリス女学院高校受験の年。中学での成績は、あいかわらず良く体調管理を中心に冬を過ごしていた。うがい、手洗い、歯磨きを励行して、外出時にはマスク着用していた。そのお陰で、風邪を引くことなく受験日を迎えられた。両親が、受験日の2月に同行して緊張をほぐすように声をかけた。百合が意を決して試験会場に入った。

 受験を終えて帰ってきた時、笑顔で、できるだけの事はできたと話していた。その後、3月初旬の合格発表にも両親が着いていき、受験番号を発見し、合格したことが判明した。その後、制服の購入、カバン、靴を選んでいるときには終始、百合は、笑顔で喜んでくれた。通学には、みなとみらいから、電車とバスを乗り継いで30分でフェリス女学院に到着できた。

 長男の太郎と謙二は地元の中学に入学しカバンと制服と靴など必要な物を買いに行った。2人とも中学に入ってから姉ちゃんにしっかり勉強しなさいよと言われて以前よりも机に向かう時間が長くなり、それぞれクラス、ベスト10入り。やはり理数系が好きで英語がが弱かったので、お姉ちゃんの百合に教えてもらった。百合が、英語、社会は記録力がカギだと言われた。

 国語は本をよく読むしかないわねと受験勉強の仕方を教わっていた。太郎と謙二も陸上部に入って、太郎は、短距離、謙二は、中、長距離を得意にしていた。日銀は1月29日の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部について利子をマイナスにする「マイナス金利政策」の導入を決めた。2月16日にスタートし、マイナス0.1%の金利を適用した。

 日銀にお金を預けると金融機関は通常、利息を受け取れるが逆に「手数料」を取られる。国内初。導入後、長期金利が一時マイナスとなり住宅ローン金利などが低下するといった効果はあった。しかし金融機関の収益悪化や年金・保険の運用難を招き金融界は猛反発。日銀は、その後「消費者マインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」などと副作用を認めた。

 熊本地震、死者150人超、4月14日午後9時26分頃、熊本県を震源とする地震が発生し、同県益城町で震度7を観測した。地震の規模「マグニチュード=M」は6.5で震度7が記録されたのは2011年3月の東日本大震災以来。16日午前1時25分ごろにも益城町と西原村で震度7の地震が起き、995年の阪神大震災と同規模のM7.3を記録した。

 連続した地震活動で震度7が2回観測されたのは49年に震度6の上に7が新設されて以来初めてで気象庁は14日の地震が前震、16日が本震との見解を示した。地震による直接死と関連死を合わせた死者は150人を超えた。住宅被害は約17万8000棟に上り、うち約8300棟が全壊。熊本城も天守閣の屋根瓦が剥がれしゃちほこが落下するなど大きな被害を受けた。

 主要中央銀行では、欧州中央銀行「ECB」が14年6月に導入している。これは、たいした事と感じる人は銀行関係者だけだと思う人も多かったが、日本経済が重い病にかかり始めている事を意味した。企業活動が良くならず収入が伸びないせいで消費も伸びないという袋小路に入ったとする専門科も大勢いた。英国は6月の国民投票で欧州連合「EU」からの離脱を決めた。

 「東欧からの移民流入で職が奪われている」との不満やEUの規制に縛られる事への反発などが背景。EUから加盟国が抜けるのは初めてで経済規模で2位、世界の金融センター、シティーを擁する英国の離脱は経済のみならず政治的に大きな打撃。来年に大統領選を控えるフランスなどでは反EUの右派政党が勢いづいた。英国のメイ首相は来年3月までにEUに離脱を通告し交渉を開始する方針。
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