第22話:「最終章」2018年の出来事

文字数 3,713文字

 2018年も異常気象の年、1月22日から23日未明にかけ本州の南海上を低気圧が通過し2014年2月以来、4年ぶりに東京で20センチを超える積雪を観測するなど関東地方を中心に大雪。この積雪の影響で高速道路では通行止めが相次ぎ東京都内では雪の影響みられる交通事故が800件以上発生。また鉄道のダイヤ乱れや特急列車の運休が発生。

 帰宅時間帯には混乱が見られ、空の便は1月22日から23日の2日間で成田・羽田空港を中心に国内線の400便以上が欠航。成田空港では滑走路が閉鎖し約9900人が空港で一晩を過ごすなど大きな影響が出た。2月、北陸で大雪。2018年2月5日から8日にかけて北陸西部では福井県嶺北地方・石川県加賀地方を中心に記録的な大雪。

 特に福井市では7日に積雪深が147cm、1981年の昭和56年豪雪以来、37年ぶりに140センチを超える積雪を観測。この大雪の影響で石川県と福井県を結ぶ国道8号では一時約1500台の車が立ち往生。自衛隊による除雪作業が行われ9日未明に全ての滞留車両が解消するまでに約3日要した。鉄道や航空の便への影響が長期化、店頭の商品が品薄になりガソリンスタンドの給油がストップするなど物流に大打撃。大雪がおさまった後も生活に大きな影響を与えた

 中国の憲法改正、3月11日。これまで2期10年までとされた国家主席の任期が撤廃され、習近平主席に権力が集中する体制が強化。習氏が兼務する共産党総書記と中央軍事委員会主席はもともと任期がなく国家主席の任期を制限する事で総書記と軍事委主席も事実上10年までとされたが、その「たが」が外された。習氏が政権トップを10年以上務める可能性が出てきた。

 国家副主席には高齢のため党中央の要職を退いていた習氏の盟友、王岐山氏が起用された。また習氏がトップを務める党中央指導小組が委員会に格上げされ党が政府機関を指導する権限が拡大。習氏個人の影響力が更に強くなったが「毛沢東時代への回帰を志向している」との批判的見方もある。

 トランプ米大統領は5月8日、欧米など主要6カ国とイランが締結した合意からの離脱を表明。合意はイランの核兵器開発阻止を目的としてるがトランプ政権は弾道ミサイル開発規制などが含まれていないとして経済制裁を8月と11月の2段階に分けて再発動。2015年7月に成立した核合意はイランが核兵器の原料となるウラン濃縮を含む核開発を大幅に縮小する代わりに欧米側が経済制裁を解除する内容。

 オバマ政権がこれを主導し外交的な成果と位置付けられた。トランプ政権による一方的な離脱は強硬派の共和党やイランと敵対するイスラエルなどを意識したとみられる。ただイランは「合意違反は一切ない」と主張、英仏独などは関係の維持に腐心した。

 米朝首脳会談が史上初めて実現。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は6月12日、シンガポールで会談。「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すと明記した共同声明を発表したものの、核廃棄の査察や完了期限といった肝心の文言はなく具体策は先送り。トランプ氏は米韓合同軍事演習の凍結まで表明。

 そのため首脳会談は米側が大きく譲歩する結果となった。しかし北朝鮮側はその後、非核化より自国の安全保障に関わる朝鮮戦争の終結宣言や休戦協定の平和協定への転換を優先させる姿勢を示し、制裁の早期解除も求めたため、米朝間の協議はこう着状態になった。両国は来年、2回目の首脳会談を行うため調整中。トランプ氏は「1月か2月」との見通しを明らかにしている。

 この年も日本では冬の雪だけでなく多くの自然災害に見舞われた。2018年6月18日。7時58分、大阪北部でマグニチュード6.1という大きな地震がおきた。大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱、大阪京都の広い地域で震度5強。停電約17万軒、ガス供給停止が約11万2千戸、断水が約9万5千戸に上る大規模なライフラインの寸断となった。

 2018年6月末から7月上旬に中国、近畿地方の多くの地点で観測史上1位の48時間、72時間雨量を観測。その集中豪雨で、死者8名、重傷者109人、軽傷315人、建物被害、全壊6695戸、半壊10719戸、床上浸水8640戸と言う大きな被害が出た。7月豪雨で避難指示が出されたのは、2府7県、11の自治体で276世帯・640名でした。

 今年は平年よりも多い29個の台風が発生。日本への接近は15個、上陸は5個という状況。特に影響が大きかったのが9月の初旬、近畿を直撃した台風21号。そして同じ月の月末に再び直撃した24号でした。両方ともに「非常に強い」勢力で上陸。1シーズンで2個の「非常に強い」台風の上陸は史上初めて。台風21号は、徳島、兵庫に上陸しながら近畿を縦断。

 猛烈な暴風によって大阪など都市部で屋根の一部が吹き飛んだり車の横転が多発。さらには記録的な高潮で関西国際空港では滑走路などが大規模浸水するなどインフラに大きな被害が出た。台風24号は和歌山に上陸した後東日本にかけて本州を横断。首都圏の交通機関が事前の計画運休を実施した他、暴風により巻き上げられた海水が内陸へ飛散、関東から東海の広範囲で塩害が発生。

 電線から火花が出たり沿岸部の街路樹が枯れ桜の狂い咲きが見られるなど普段では見られないような被害が各地で目撃された。夏の高温も7月23日、月曜日、埼玉県熊谷市で41.1℃まで気温が上昇。2013年8月12日に記録した高知県江川崎の41.0℃を上回り、日本歴代最高を5年ぶりに更新。8月、岐阜県美濃、金山で41℃、7月23日東京都青梅市、8月22日新潟中条で40.8℃だった。

 2018年9月6日3時7分、北海道胆振地方中東部を震源としたマグニチュード6.7の大地震が発生。最大震度は震度階級で最も強い震度7の揺れが北海道では初めて観測。強い揺れによって厚真町を中心に広い範囲で土砂崩れが発生。家屋の下敷きになるなど多くの犠牲者が出た。さらに道内全域が長時間に渡って大規模停電。管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」が史上初めて起こった。

 トランプ米政権は知的財産権の侵害を理由に7月から9月にかけて最大の貿易赤字相手国である中国からの年間輸入額のほぼ半分、計2500億ドル「約28兆円」相当の製品に追加関税を発動した。これに対し中国は1100億ドルの米国製品に報復関税を課した。世界1、2位の経済大国間の貿易摩擦激化で、世界経済への影響が懸念されている。

 米政権は、このうち2000億ドル分に課す追加関税率を来年1月に10%から25%に上げる予定だったが12月の米中首脳会談で決めた貿易交渉の間は税率引き上げを凍結する。交渉期限となる来年2月末までに中国が知財権や技術移転強要などの問題で改善策を示さなければ、米国は税率引き上げに踏み切り、対立が一段と深刻化する恐れがある。

 やがて年の瀬も近づいたが来年は長男の太郎と謙二が高校受験。平沼高校の合格確率80%で翠嵐高校は75%と判定され着実に平沼高校を受験したいと考えた。理数系は強いが英語のできが今ひとつで姉の百合が一生懸命に指導したが記憶力が、やや弱いことが欠点だったようだ。やがて、2018年が終わり2019年を迎え、初詣での時、合格絵馬を2人が奉納してきた。

 2019年、1月に兄弟そろって平沼高校の受験願書を手に入れ2月初旬のテストに臨んだ。両親が着いていき緊張しないようにアドバイスした。受験後、試験場から出て来て、まー、なんとか合格できるのではないかと2人とも楽観的な話をしていた。合格発表で受験番号が見つかり、神奈川県立平沼高校に合格したことが判明した。

 その後、2019年3月27日、春休みの最中に太一の家族全員で千葉の鴨川にある太一の両親が入っている老人施設に出かけた。朝10時に横浜をエスティマに乗り出かけて昼過ぎに両親の住む老人施設に到着。長男の太郎と謙二が平沼高校に合格した事を報告。直ぐに施設の人に了解をもらい両親を乗せて亀田総合病院の海の見えるレストランに行って昼食をとった。

 その日は春が来たかのような強い日射しで太陽の光が波間に差し込みキラキラと輝いて、まるで太一の子供達の将来を祝福しているように見えた。太一の両親も血色が良く元気にしていた。食後、海をバックに家族全員の写真をレストランの若いウエイターさんに数枚の写真を取ってもらった。その写真には、うれしそうな祖父母、秩父健吉と秩父良江の笑顔が映っていた。

 それをじっと見ていた秩父健吉には幼い頃、食べ物にも苦労した貧乏生活、その後のヤフー株投資での成功で大金をつかんだ事などが脳裏を駆け巡り、太一は父、秩父健吉と母、良江を抱きしめて、ありがとうと言い涙を流した。それを見ていた奥さんや子供達も涙を浮かべた。ちょうど、その時、今後の秩父家の人たちの人生を暗示しているかの様に強い日射しが彼らの上に差し込んだ。(終了)
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