第12話:娘の通学とウクライナ紛争、広島豪雨

文字数 2,797文字

 社会保障制度を持続可能なものにすると共に財政健全化を図るための税率引き上げは1997年4月以来17年ぶりとなる。消費税増税は民主党政権下で制定された関連法に明記されていた。しかし、実施判断は「景気条項」で条件が付けられていたため延期を求める声も噴出した。最終的には、直前に発表された国内総生産「GDP」や日銀短観などの経済指標を見極めた上で、安倍晋三首相が、実施を決断した。

 12月には、増税による景気落ち込みの緩和を狙う5.5兆円の経済対策がまとまった。10月、日本列島は台風や大雨の影響で各地で土砂崩れや増水などの被害が相次いだ。東京・伊豆大島で10月16日に起きた台風26号に伴う大規模な土石流災害では、35人が死亡し4人が行方不明になった。大島町はこの際、住民に避難勧告を出しておらず、対応に批判が集中した。

 9月16日に上陸した大型の台風18号が、西日本から東北にかけて広い範囲で被害をもたらし6人が死亡1人が行方不明になった。上陸を控え気象庁は8月30日から運用を開始した特別警報を京都、滋賀、福井の3府県に初めて出した。この他、夏以降の豪雨による土砂災害などで山口、島根、秋田、岩手各県で死者が出た。やがて2014年になった。

 この年、2月、猿島清子は、慶応義塾中等部を受験して合格した。しかし、この頃、猿島義彦は、首都圏から、もっと自然環境の良い場所へ引っ越そうと考えた。そして御殿場、沼津、辺りを探し静岡県駿東郡長泉町の高台、クレマチスの丘周辺に売り土地が出ているのを見て購入を決断した。三島から新幹線で品川経由で1時間程で慶応中等部のある三田へ通学できる。

 早速、3月に中に土地を探しに行くと高齢化で意外にも売地が出ていた。その中でも広さ100坪以上で建ぺい率50%、容積率100%以上の形が良い場所を教えて欲しいと地元の不動産業者に依頼し、3月10日、2ケ所の候補地を探してもらった。その後、娘と購入物件を見に行き気に入った土地が見つかり1860万円で購入契約を結んだ。そして金ができたので猿島義彦は、川崎の会社を退職した。

 その後、大手木造住宅メーカーの建坪45坪の住宅を3200万円で買い、太陽光発電装置、整地、駐車場整備などを含め総額5千万円で契約した。2014年3月20日、住宅建設を着工して8月中に引き渡しする条件で建設を開始。自宅のある長泉から車で、沼津まで25分、三島まで15分と便利であった。ちなみに自宅の周辺には、クレマチスの丘があり美術館公園もあり自然豊かな高原といった感じであった。

 また新東名、東名高速道路も近く、さらに高原へ向かうと多くのゴルフ場、森林公園もある風光明媚な地域。さらに、S銀行のグラウンド、施設もあり便利であった。その後、新幹線通学定期券「フレックス・パル」3ヶ月用が、約18万円で販売されていたので購入した。それを使い猿島清子の慶応中等部への通学に、それを利用する事にした。こうして8月22日3LDKの完成し引っ越した。

 それから毎朝、自宅から三島駅まで、父が、送り迎えすることになり新幹線通学を始めた。そして地元の自治会に入ると役員さん達に紹介してくれた。役員さん達は70代が多く高齢で隠居する人も多いと聞かされた。そのため、40歳になったばかり猿島義彦の入会を庄司雅之会長たちが、大歓迎してくれた。そして、釣り、ゴルフサークルを紹介してくれた。

 その後、自治会館で歓迎会をしてくれた。その時、この地区の一番の問題として高齢化だと教えてくれた。70歳過ぎると運転に自信がなくなり免許を返納する人も増えてきて自治会で中古の10人乗りハイエースを購入した。そのハイエースを60歳台の自治会メンバーが、交代で運転して海釣り、ゴルフに出かけると話した。そして、自治会最年少の64歳の友山秀道さんを紹介してくれた。

 彼が、猿島にゴルフ出来るでしょと聞かれ、やったことないと言うと驚いていた。東京、川崎、横浜には、気軽にゴルフするところはないかもしれないと言い一般庶民ではメンバーになれないしねと語った。その点、ここは、近くのゴルフ場のメンバーが、6人もいて1人3人までビジターを連れていけるので季節、天気の良い日には、月に1回は、ゴルフをしていると教えてくれた。

 そのうちゴルフ練習場でゴルフの達人に教えてもらえばよいと言った。また、ボートで、海釣りするメンバーもいて、クルーザーヨットを持っている人が4人いてシーズンには10人以上で海釣りに行くと語った。高齢でクルーザーヨットを手放したい人もいるから安く買えるし、あなたみたいに若い人なら2級船舶免許に合格するのも簡単で、2~3週間で免許を取れると説明してくれた。

 それを聞いてクルーザーヨットの免許を取りたいと伝えるとボート好きの筒井重行さんを紹介してくれた。挨拶すると若い人が入ってくれて本当に助かるよと握手してくれた。ウクライナで2月に親ロシア派のヤヌコビッチ政権が反政権デモで崩壊し親欧州連合「EU」派政権が発足した。それを見てロシア系住民が多数を占める南部クリミア半島にロシアが、軍事介入。

 その結果、3月にロシアがクリミア編入に踏み切った。武力を背景に領土拡大を強行したロシアの行動に冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。その後ウクライナ東部でもロシアが後ろ盾の親ロ派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け死者は、4千人を超えた。欧米や日本は、ロシアが事態収拾に応じていないとして制裁を発動した。

 イスラム過激組織「イラク・シリアのイスラム国」が6月、イラク第2の都市モスルを制圧した。そして指導者のバグダディ容疑者をカリフとする「イスラム国」の樹立を宣言した。シリア内戦でアサド政権の統治が及ばない北東部やイラクの北西部で活動した。そして、少数派や他宗派の迫害などの残虐行為を続けた。米軍は8月、イラク領内でイスラム国を標的とした空爆を開始した。

 オバマ政権は有志連合を形成し9月に開始したシリア空爆にはサウジアラビアなどの中東諸国も加わった。イスラム国は3万人超の戦闘員を擁するとみられ、壊滅には数年を要する見通しだ。一方、日本では、8月20日、広島市北部で豪雨に伴う土石流が複数箇所で起き多数の住宅が流された。未明の発生で被害実態が、すぐに把握できず、断続的に降り続いた雨のため捜索も難航。

 最終的には、広島市安佐南区の八木、緑井の2地区を中心に死者は74人。避難指示、勧告は、一時15万人以上に出され全面解除までに3カ月かかった。広島地方気象台は、災害当日の1時49分に非常に激しい雨を示す「1時間70ミリ」の予測を発表するなど広島県全域に土砂災害への警戒を促していた。しかし、広島市は災害発生後の同4時すぎに避難勧告を出すなど情報が生かされず、対応の遅れが指摘された。
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