第11話:皆既月食、テロ、核汚染水、消費税増税

文字数 2,145文字

 ほとんど、前面が暗くなる完全な皆既月食となり最高の条件で観測することができた。夜21時45分に部分月食が始まった。その後、11時5分に月が地球の陰にすっぽり入り皆既月食となった。皆既は、約53分間続き、11時58分、月は、再び明るさを取り戻し始めた。日付が変わり11日、1時18分、部分月食も終わり満月へ戻った。

 皆既月食になると月は、赤銅色に輝く。しかし、この明るさや色は、地球の大気の状況によって毎回、異なる様だ。今年の月食は、どんな明るさ、色で見えるかは、自分の目で確かめると良い。また、皆既中は満月の明かりが失われ、それまで見にくかった星も観測することができる。冬の明るい星と赤銅色の月が見え、幻想的な眺めになる。

 皆既月食中の月を見ると完全に真っ暗にはならず赤銅色に見える。これは、地球の大気を通る間に夕陽が赤くなるのと同じ原理。そして太陽の光のうち波長の短い青い光は地球大気に散乱されやすい。波長の長い赤い光は、地球大気を通り抜けやすいため赤い光の方がたくさん月に届き赤く見える。また皆既月食中の月の明るさは、地球の大気の状態にも大きく影響される。

 大きな火山噴火などがあった場合は、大気中に塵「ちり」が、多く、赤い光でさえも月へ届かず、暗い皆既月食になることもある。大気中に塵が少ないと明るいオレンジ色に見ることができる。こうして2012年となった。1月13日の朝、証券会社の担当者から猿島義彦にキーエンス株が18170円で安く買いと言われた。

 そこでキーエンス6千株、成り行き買い注文を出すと、10902万円で買え残金が20958万円となった。この年、社会保障と税の一体改革の柱である消費増税法が、民主、自民、公明の3党合意を経て8月に成立した。2014年4月に税率を5%から8%に17年ぶりに引き上げ、15年10月には10%にする予定であった。

 財政再建への「一里塚」とされ、増収分は医療や子育てなどの社会保障に充てられる。ただ、増税実施の可否は半年前に内閣が判断する。低所得者の負担軽減策など課題は山積。法律には、経済情勢によっては執行停止も含めた措置を講じるという「景気条項」も盛り込まれている。デフレ状況での実施には、反対論も根強かった。

 夏には、参院選を控えていることから増税の行方には不透明感も漂っている。6月、日本経済は春以降、欧州債務危機の影響拡大による海外経済の減速を主因に低迷が続いた。実質GDP「国内総生産」成長率は4~6月期にマイナスに転じ、7~9月期のマイナス幅は前期比年率換算で3.5%に拡大した。内閣府は10月、景気の基調判断で3年6カ月ぶりに「悪化」の表現を用いた。

 緩やかながらも拡大局面が続いていた景気は、既に3月ごろに「山」を越え後退局面に入ったとも指摘された。日銀は2月、「当面1%」という事実上のインフレ目標を導入して金融緩和姿勢を強化。9月、10月には、9年半ぶりとなる2カ月連続の追加金融緩和に踏み切った。1月、2012年3月期連結決算で、パナソニック、ソニー、シャープが、そろって過去最大の赤字を計上した。

 韓国勢などとの価格競争激化や円高で、テレビ事業が不振を極めたためだ。3社合計の赤字額は1兆6千億円を超えた。日本の産業界をけん引してきた家電大手の凋落「ちょうらく」ぶりが、鮮明となった。パナソニックとシャープは、2013年3月期も巨額赤字が続く見通しとなった。いずれも大規模な人員削減などで苦境脱出を図るが、展望は開けていない。

 一方、地上デジタル移行特需の反動で収益が悪化した家電量販業界では再編が加速しビックカメラがコジマをヤマダ電機がベスト電器を買収するなど弱肉強食時代に突入し2013年となった。アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設を1月16日、イスラム武装勢力が襲撃した。そして日本人を含む多数が人質にされた。アルジェリア軍が17日、施設内に突入した。そして武装ヘリコプターも投入して犯行グループの32人を殺害した。

 しかし、人質も巻き添えになり外国人39人が死亡した。日本人の犠牲者は、プラント建設大手「日揮」の10人で、国籍別では最も多かった。事件は、北アフリカの国際テロ組織、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダから離脱したベルモフタール司令官率いる過激派「覆面旅団」が実行した。背景にはアルジェリア政府と過激派の長年の対立に加え、この地域で誘拐がテロ組織のビジネスになっている問題もある。

 3月、東京電力福島第1原発では放射能汚染水の貯蔵タンクで水漏れが相次ぎ、海への流出も判明した。汚染水問題が深刻化する中、東京五輪招致で安倍晋三首相は「状況はコントロールされている」と明言した。政府が対策の前面に立つことになった。原子炉で溶けた核燃料を冷やした水は、汚染水となって増え続けている。

 貯蔵用の地下貯水槽では4月、遮水シートから汚染水が染み出た。また、継ぎ目をボルトで締めた簡易型タンクからも漏れた。漏れた汚染水が、原子炉建屋に近い海側の井戸では地下水から高濃度の放射性物質が検出された。政府は10月1日の閣議で、現行5%の消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げることを決めた。
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