第14話:宣伝料と募金、寄付金

文字数 2,409文字

 翌週、KG建設の三保さん、山下洋一さんから電話が入った。三保さんがKG建設に掛け合って、企業コマーシャルに、この学生寮を使ってくれる事が決定したと連絡が入った。TVとネットコマーシャルで合計年2千万円。この朗報を聞いて七郎は喜んだ。三保さんと施設代表の木下七郎など関係者全員の協力して善意の輪というイメージでコマーシャルを流したいそうだ。

 朝の調理風景やシングルマザーの働いてる姿、その子供の面倒見てる、おばあさん、勉強している学生の姿、食事風景、学校へ出かける風景など多くのカットを取りますので協力をしてくれるように言われたようだ。もちろん大歓迎だと七郎が言った。3日後、学生寮で朝10時に広告会社の人間と三保さんが来て撮影の打ち合わせをした。

 山下洋一さんからは我が社、M商事の上層部にコマーシャルの協力をお願いしたが、会社のイメージアップになりそうなので好反応だったとの報告。詳細は決まり次第連絡すると言ってくれた。その他、自分の知り合いの食品メーカーにも広告依頼していて、好反応な会社が数社あると言った。また、コストコとイオンをメインに食品を購入しているというので、コストコとイオンの本社とも掛け合っている様だ。

 また、学生寮の車の関係で、大手自動車メーカー3社とリース会社に、学生が使う自転車の大手メーカーと小売店にも話をいれておいたと言った。七郎は彼らの迅速な行動に感謝と共に大きな感動をもらった。山下洋一さんからブリヂストンからシティサイクルを72台無料のモニターとしてアンケート提出していただくがメンテナンスもしていくと言う条件で無料で貸していただけることになった。

 その他、日本最大のパンメーカーからも取りに行くという条件付きで食パンを無料でもらえると言うことになった。イオンからは持っているイオンカードのワオンポイントを常時、特別に3倍につける条件提供してもらった。そしてM物産からは学生寮の日常の生活をコマーシャルにして、TVとネットコマーシャルで合計年間2千万円の契約をしてもらった。

 学生寮のオープンから1ヶ月後、地元の埼玉テレビが取材に来た。その翌月、NHKから、取材の要請を受けて学生寮の学生に取材しないとい言う理由で了解した。調理室に働きに来ているシングルマザーの話を取材したり料理長の鈴木良三さん地元の協力者の木元さんが協力者になった理由、開設者の七郎が開設した理由。山下洋一さん三保さんが協力した理由などを取材していった。

 翌週のNHK特集で、この施設の事が放送され七郎が自費を投じて開設した、貧困学生、シングルマザーのための施設で、それをバックアップした地元の方々、木元さん、鈴木良三さん、友人の山下洋一さん、建設に携わった三保さんのスポンサー探しなどを衝撃的な内容にして全国に流したので、放送後、見学したいとか寄付したいとか多くの電話がかかってきた。

 その後、見学希望者が多くなり見学を人手不足という理由で、断り、寄付についてネットにサイトを立ち上げている所なので、少し待ってもらう様にした。中傷じみた電話もあったが、時間と共に忘れ去れた。その後、クリスマスパーティーをし2014年となった。仕事始めの1月5日を過ぎた頃、七郎に対して生い立ちや資金を作るまでのストーリーをテレビ映画にして、放送したいので取材したいと日本最大の有料衛星放送の企業からの電話があった。

 これに対しては、個人の人権が侵害される恐れがあるので丁重にお断りした。その後、七郎の美談をゴーストライター書いてもらい本にして発売したいから取材したいという申し出があったが断った。インターネットに入間の里というサイトをホームページを開設し、寄付金の受け入れ先をヤフーに言って、開設してもらい、寄付金が入るようになった。もちろん寄付者には学生寮での費用をエクセルを使い、収支を見える様にした。

 寄付金は100円単位で、Tポイントなど各種ポイント、各種クレジットカード払いもOKにした。寄付額は1口、1回、最低100円からとして広く浅くお願いするようにした。それでも月に多いときは百万円以上集まり非常に助かった。不定期で学生寮ニュースとして施設での出来事をネットの「入間の里」ホームページに書くと寄付者からの投稿も来た。その後、週刊誌で七郎の過去を暴こうとの動きがあったが、なかなか確証が取れなかったようだった。

 2014年も12月を迎え、マスコミの熱い取材攻勢の日々が過ぎていき、2015年となり「入間の里」の事も完全に忘れ去られていった。開設一年間は、企業の寄付金や、物での寄付で、かなり助かったが、翌年から、継続してくれるパン屋さんと2社の広告料だけになり2年目から費用がかさむようになった。

 今後は、「入間の里」のサイトを通じて、長く援助してくれる人達を増やし、寄付金を継続してもらう様、お願いしていこうと思った。七郎は仕事とプライベートは完全に分離したい人間で、奥さんの恵子さんは、この件に関して一切の手伝いは無用と言って手伝わせなかった。2015年秋に9月に米国と10月にタイから七郎の方に取材の要請が入った。

 米国からはコストコ本部で素晴らしいボランティア活動にコストコ製品が使われていると、聞いて話を聞きたいというので、取材要請と受けた。その後、「入間の里」のサイトに米国人から英語で多数のコメント来て米ドルで寄付できないかと言われたので日本円でないとできないと米ドルでの寄付は断った。それでも米国からの円の寄付金が増えてきた。

 次にタイからの取材要請は日本は仏教大国で仏教の国のタイでは、こう言う慈善事業を参考にしたいというので財閥の若手の見学希望があり、学生達への個人的な取材は禁止とし、それ以外ならOKという条件付きで引き受けた。言葉はタイ語は禁止で英語か日本語での質疑応答ならOKと答えた。
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