マリア様・イエス様……これは、いけない事なんでしょうか?
禁忌に当てはまるんでしょうか?
アレンは、昨日と同じくカレンの部屋にやって来た。部屋に入るとカレンは忙しそうにココアを作ってくれ、今それをアレンは飲んでいる。
そして、言えることが1つある。
会話が無いことだ。アレンとカレンはココアを飲むことに必死になっており、会話が成り立っていなかった。
外は、相変わらず雪が降り続いている。どんどん町や教会を白に染めていく。それだけではない。今頃、フェリックスとルナは何をしているのだろうか、と考えてしまっていた。
どうしたのですか?アレンさん、寒かったら言ってくださいね。もう少し暖炉に薪を入れますので……
いや……そうじゃなくて……。僕の事もアレン、って呼んで欲しいです。だって、僕とカレンはお互いを愛し合っているはずです。だから……お願いします……
まだ恥ずかしいですよ。アレンさんは私より4歳も歳上なんですから……
カレンは、下を向いてもじもじしていたが、遂に決心を固めたのかアレンの顔を見つめた。
だって、アレンに名前を呼んで欲しい、と言われたので思いをこめて言ったんですよ!!私も恥ずかしいです!!
カレンは顔を真っ赤にさせ、アレンを睨み付ける。しかし、これはどう見ても相手を誘っているようにしか見えない。
アレンは、カレンから顔をそらした。このままだと自分の理性が飛んでしまう、と考えたからだ。この誘惑を耐えることが出来るかというと……さすがのアレンでも無理だと思う。女神と言われているカレンの微笑みは、超絶なダメージをアレンに与えてくる。理性が飛びそうな程だ。
ねぇ、アレン……。私からお願いがあります。聞いてくれませんか?
やったー。じゃあ、1回しか話さないからよく聞いて下さいね
アレンは息をのみ、どのような話が出てくるのかドキドキしながらカレンが話し出すのを待った。
ねぇ、ルナちゃんとフェリックス様はどこまで進んでいると思いますか?
分からないですよ……。僕は、フェリックスと同じ部屋だけど、フェリックスはプライベートの話とかあまりしないし……
でも、私たちルナちゃんよりは進んでいないと思うんですよね
私はまだまだ子供ですけど……アレンは、大人に近いですよね?
確かに19歳は大人だよ。でも、こんなに頼りない大人がいると思いますか?
そんなに落ち込まないでください。アレンは、とても優しくて羨ましいです。私は、女神とか言われてますけど、そんなに優しい人ではありませんから……
カレンがアレンを見つめる。アレンの言いたいこともなかなか言い出すことも出来ない。こんなにも美しい瞳で見つめられると……。
今は、僕とカレンだけです。だから、何をしてもバレないです。見ているのは、マリア様とイエス様だけです
確かにそうですわね。アレンも私の事誘ってるのですね
誘ってるよ!!だって、僕はカレンの事が大好きだから!!
じゃあ、私の事大事にしてくれます?愛してくれますよね?
カレンは、不安そうに呟いた。アレンは、それを聞き逃すことはなかった。不安そうにしているカレンをアレンは抱き締めたのだ。カレンを怖がらせないように優しく包み込むように……。
アレン……大好きです。優しくて私のお兄様に似ていて……私を安心させてくれますし
僕は、カレンのお兄さんではないです。僕は、カレンの恋人ですよ……
嬉しいですわ!!ねぇ、アレン。こんなお願い申し訳ないとは思うんですけど……
カレンは、アレンの戸惑いの返事を了承と捉えたのか、カレンはアレンの唇に軽く唇を当てるだけのキスをした。アレンは驚きを隠せず、口をパクパクさせている。カレンは、やってやった、というような悪戯な笑みを浮かべていた。
初めてのキスの味はココアの味がしましたわね♪まあ、さっきまでココア飲んでましたからね♪どうだったでしょうか、アレン
そりゃ、そうですよね。女の子からキスされるのは男の人からすると屈辱的ですよね。アレンの唇、柔らかかったですよ?
じゃあ、僕からもしても良いですよね……キスの1つや2つぐらい……
さっきのカレンからのキスが、アレンの理性を崩壊させ、アレン自身も訳を分からず、とんでもないことを言い出すが、そんな事はもうどうでも良い。
容姿に合わないほどの情熱的なキスをカレンに落としたのだった。
男は狼。羊のような顔をしていても心は狼だということを忘れてはならない。
カレンは、アレンに全てを委ねるだけであった。